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「お前に、この世界を滅茶苦茶にはさせない。俺は、もう迷わない」
「何を言っておるのじゃ? わらわを恐れるあまり、とうとう頭がおかしくなったのか?」
「頼むぜ、日向」
無法丸が刀を黒鞘から抜いた。
露になった刀身は温かな光を発し、辺りを照らす。
それはまさに水平線から昇る朝日そのものだった。
その光を浴びたカーミラは全身から煙を噴きあげた。
後方へ跳び退がろうとするが、すでに両脚が動かない。
身体から出す触手は、光を浴びた途端にぼろぼろと崩れ落ちる。
両腕を上げ、何とか光から顔だけは守った。
「何故じゃ!! 何なのじゃ、これは!?」
「魔剣鍛冶、日向が自分の命を込めて打った刀さ。俺への想いと…」
無法丸は、ほんの少し黙った。
「自分の名前の力をな。お前が大嫌いな『太陽』の光だ」
「ぐおおおおっっっ!!」
カーミラが唸った。
刀の光から逃れようと足掻く。
「こんなはずはない! わらわは…わらわは無敵になったのじゃ!!」




