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「わらわは『太陽』の無い世界へ、たどり着いた!! わらわを殺せるものは、もう無い!!」
カーミラが勝ち誇った。
遠巻きに見ている人々を眺める。
「餌になりそうな下等な生き物も豊富なようじゃ。わらわにとって最高に住み良い場所になるじゃろう」
「お前は『太陽』が苦手なのか?」
無法丸がカーミラに訊いた。
「そうじゃ」
カーミラが答える。
「じゃが、そんなことは関係ない」
天上の月を指す。
「この世界には、もう『太陽』は無いのじゃからな!!」
「はははは!!」
無法丸が笑いだした。
「何じゃ、何が可笑しい?」とカーミラ。
「俺はずっと自分の女々しさが、これを抜けない理由だと思っていた」
無法丸が黒鞘の刀を前に掲げた。
「だが、いざ、こうなってみると」
無法丸が左手で黒鞘を持ち、柄を右手で掴む。
「日向が今、このときのために抜くのを止めてくれていたのかもしれないな」
黒鞘に巻かれた鎖が解け、下に落ちた。




