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トワが祭壇から身を起こす。
「星を繋ぎました」
トワが言った。
「?」
無法丸と優には、トワが何を言っているのか分からなかった。
「私は自分の星に帰らなければいけません」
トワの言葉に優が顔色を変えた。
「トワ、お別れなのか?」と優。
トワが首を横に振る。
「僕は優と離れたくない。いっしょに僕の星に来て、優」
トワが切実な表情で訴えた。
優がトワを抱きしめる。
「俺、トワといっしょに行くよ。どこまでも」
優が言った。
トワが涙目で頷く。
無法丸が、この場所へと続く唯一の道へと顔を向け、松明を捨てた。
両手で刀を構える。
道の向こうの暗闇に数えきれないほどの赤い光が浮いていた。
それは眼だった。
道いっぱいに、ひしめき合う吸血鬼たちの赤く光る両眼。
「わらわも、その星とやらへ連れていくがよい」
吸血鬼たちの背後から、女の声がした。
吸血鬼たちが、さっと左右に分かれ、道を開ける。
カーミラの姿が現れた。




