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そして、道中で見つけた寺の僧に縫の遺体を預け、翌日には再びトワが行かねばならない方角へと出発したのだった。
無法丸は寺を出るまでは、ほとんど喋らず、その面に沈痛な表情を浮かべていたが、旅を再開してからは、以前の無法丸に戻った。
が、優とトワは気づいていた。
野宿で焚き火の横、二人の少年たちを休ませるとき、道中で何気なく周りの景色を眺めるとき、優とトワがお互いを思いやり食べ物を分け合うのを見るとき、無法丸の双眸に狂おしいほどの悲しみが押し寄せているのを。
旅は二十日ほど続いた。
旅では最もよく喋り、最もふざけていた縫が居なくなったため、道中はひどく静かなものになった。
一行は山中で、開かれた場所にある、石造りの祭壇のようなものにたどり着いた。
すっかりと陽は落ちて、頭上には月。
無法丸と優が持った松明が周りを照らしている。
「ここ」
トワが言った。
祭壇へと進み出る。
「ここなのか?」と優。




