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トワが、ある方角へと行きたがる回数が日に日に増え、優の母と優がいよいよ困り果てていた矢先。
村が昨晩の襲撃を受けたのだ。
異常を感じた優の母は二人を逃がし、自らはウロコ衆によって殺されてしまったのだった。
その後は無法丸と縫が知る顛末となる。
優の話を聞き終わった無法丸の片眉が、ぴくりと動いた。
「それでトワが行きたがる方角へ、お前一人で連れて行くと?」
無法丸の言葉に優は頷いた。
一夜にして母や村の仲間を失ったというのに、優は気丈に振る舞っていた。
皆を弔ってからは一度も涙を見せていない。
「もう、村の生き残りは俺たちしか居ない。俺はトワを守って、行きたい場所へ連れて行く」
無法丸に向けた優の顔は少年であるにもかかわらず、不退転の決意が浮かんだ男の顔になっていた。
(いい顔だ)
無法丸は思った。
「それは好都合!」
縫が両手を打った。
「くそがき二人は旅に出る。あたしと無法丸は、しっぽりと」
そう言って縫が無法丸に艶っぽく寄りかかった。
無法丸が無言で縫の頭をぽーんと押し返す。
縫はくるくると踊りのように回った後で、両手を広げてぴたっと止まった。
「ぱっ」
縫が言った。
「優」
無法丸が呼んだ。
「お前、路銀は持ってるのか? そもそもトワが行きたい場所まで、どのくらいなのか分からないんだぞ」
無法丸に指摘され、優の顔が曇った。
確かにそうだった。
「そうそう、諦めな」
縫が、さっきと真逆を言い始める。
「くそがき二人で旅なんて無理、無理。すぐに悪党に殺されて終わり。それはまだましで、拐われて慰みものにでもされてみな。地獄が待ってるよ。ここに残ったほうがいい。そして、あたしと無法丸はこの先の宿場でしっぽりと」
「俺がいっしょに行ってやる」
無法丸が少年たちに言った。
「そうそう。無法丸はくそがきたちといっしょに行く。あたしは一人でしっぽりと…ん?」
縫が首を傾げた。
「ちょっと、何を言ってんだい!?」




