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上級吸血鬼とほぼ同等の力を持った異端児「詩音」に血を吸われた虎造とお龍は、カーミラほどではないが再生能力を有し、異常とも言える頑強さも兼ね備えている。
(まだ戦える!!)
虎造とお龍がカーミラの触手をちぎり飛ばし、周りのウロコ衆をひねり殺そうと動きだす直前。
龍虎を拘束する触手とは別の触手たちが束なり、何本もの槍先と化した。
その槍先たちが矢継ぎ早に攻撃を開始する。
その目標は龍虎ではなく。
龍虎の斜め上方の天井。
洞窟のその部分は特別に脆いようで、瞬く間に大きな穴が空いた。
そして、そこから。
いつの間にか洞窟の外で昇り始めていた朝日が差し込んだ。
清々しい朝の光は屋守翁とウロコ衆たち、カーミラの触手、そして龍虎をまともに照らした。
まずは屋守翁とウロコ衆たちが絶叫した。
全身から煙が噴き上がり、瞬時に土くれの如く崩れだす。
続いて龍虎の身体に巻きついたカーミラの触手が煙を上げ、ぼろぼろになって四散した。




