126/147
126
しかし、考えてもカーミラの意図は分からない。
(たとえ罠だとしても、とにかく近づくしかねえ)
虎造は迷いを振り払った。
龍虎が吸血鬼たちの壁へと突進する。
今まで以上の激しい攻撃でカーミラへと迫った。
カーミラは龍虎の動きを見て、踵を返す。
龍虎との距離が最初のところまで来ると再び振り返る。
その攻防が長々と繰り返された。
そしてついに。
カーミラと龍虎の邪魔をしていた吸血鬼たちが全て倒され、新手も現れなくなった。
カーミラが逃げだした。
「往生際が悪いぜ!!」
お龍が叫ぶ。
前方に小さな山の斜面にある洞窟の入口が見えてきた。
カーミラは、その洞窟へと逃げ込んだ。
龍虎も、すぐに後を追う。
ある程度、奥まで進んだカーミラが龍虎へと振り返った。
「やっと、さしの勝負だな」
虎造が言った。
カーミラの顔が憎悪に歪む。
「お前たちのような下等な者に煩わされている暇はない。わらわは『星の子』を手に入れる」




