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敵は皆、村人や町人の風体で、次から次へと湧いてくる。
木々の立ち並ぶ森の中に、あらかじめ用意した伏兵といったところか。
カーミラは龍虎に倒される手下たちの様子を一番奥から、じっと窺っている。
「あの女!」
お龍が龍虎の口で言った。
「こんなに人間の血を吸ったのか!?」
おそらくは龍虎との戦いのために付近の村や町を襲ったのだろう。
「許せねえ!!」
お龍が憤る。
「しかし」
虎造が言った。
「こいつはおかしいぞ」
「何がさ?」と、お龍。
「いくら手下を揃えても、俺たちには通じねえ。疲れさせようとでも考えてやがるのか?」
龍虎が左手で吸血鬼たち二人の首をはね、右拳で二人の頭を叩き潰した。
「ははっ!!」
お龍が笑う。
「こんなもんで疲れるわけねえだろ! 舐めやがって!!」
「確かに時を稼ぐぐらいにしか、ならねえな…」
虎造は何やら胸騒ぎがした。
(しかもあの女、丁度、俺たちが追えるぎりぎりのところで逃げるのをやめる)




