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美剣の言葉と共に、大量の血が吐き出される。
「その女を使った卑怯な策に敗れたのだ!! ゆめゆめ、自惚れるでないぞ!!」
言い終えた美剣が、ゆっくりと後方へ、大の字に倒れた。
そして、ぴくりとも動かなくなった。
「大剣豪」美剣は死んだ。
「美剣様!!」
刀吉が美剣に駆け寄った。
「何てことだーよ!!」
美剣の死体に己が身をかぶせ、大声でわんわんと泣きだした。
楽法は真っ青になって、立ち尽くしている。
縫は、まだ生きていた。
血の気が失せた顔で、無法丸に弱々しく笑って見せた。
無法丸は絶句した。
何も言えず、ただ、縫の顔を見つめていた。
縫の唇が動く。
何かを言おうとしているのか。
無法丸が縫に顔を寄せた。
縫は何も言わず、無法丸の唇に自分の唇を重ねた。
その直後、縫の身体から力が抜けた。
縫の瞳が閉じた。
カーミラへの道を阻む大勢の吸血鬼たちを左の手刀と右拳で退けながら、龍虎は進んだ。




