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星繋ぎ  作者: もんじろう
121/147

121

「女っ!!」


 美剣が大喝(だいかつ)した。


「剣士同士の一騎討ちを邪魔をするとは許さぬっ!!」


 美剣の瞳が怒りに燃えた。


 縫が無法丸に微笑む。


 縫の糸が無法丸の身体に絡みつき、上方へと投げた。


 その直後。


 美剣の斬撃が、縫の右肩から左腰にかけて斜め一直線に両断した。




 縫は特殊な糸を自在に操る魔糸(まいと)使いの一族として生まれた。


 一族は以前は将軍家に使えた時期もあったが、政治的な争いに敗れ、山奥の隠れ里で細々と暮らしていた。


 もはや、世の表舞台に立つ野望などない一族は、それでも魔糸の技だけは伝承した。


 縫は天才的な才能を発揮し、里一番の魔糸使いへと成長した。


 縫は素晴らしい力を持ちながら、里から外の世界へ出ようとせぬ一族に疑問を感じた。


 外の世界を自由に旅してみたいと思った。


 縫は、その思いを両親に告げた。


 両親は里の指導的要職についていた。


 当然、縫の提案は激しく(いさ)められた。


 縫は納得いかなかった。

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