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両眼を細め、妙な表情をしている。
「おい」と無法丸。
やはり、縫は黙っている。
「何をしておる!!」
美剣が大音声で言った。
無法丸は最後にちらりと縫を見て、美剣の方へと進み出た。
美剣が満足げに頷く。
「刀吉!!」
美剣が呼んだ。
「ほーい、美剣様!!」
刀吉が美剣の左側に座った。
美剣が左手で大刀を掴む。
「美剣様っ!!」
美剣の背後から、楽法が声をかけた。
「『星の子』だけは無傷で連れ帰らねばなりませぬぞ!」
「分かっておる」
美剣が言った。
「そこで黙って見ておれ」
美剣の言葉に楽法は口を閉ざした。
美剣が左手で腰の横へと大刀を持ち、右手で柄を握った。
美剣のすさまじい殺気が辺りに拡大していく。
常人であれば、それだけで動けなくなるほどの美剣の気迫の嵐の中で、無法丸は刀を構えた。
息を整え、体内で気を練り上げる。
おそらく、初撃で全てが決まる。
最強最速の技を叩き込み、美剣を先に倒さねば、無法丸の身体が両断される。




