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星繋ぎ  作者: もんじろう
113/147

113

「………」


「顔は平気にしてても、心が泣いてるようにね」


 縫の猫のような眼が月明かりを集め輝いた。


「何も考えなくていい」


「………」


 縫が無法丸に顔を近づけ、口づけした。


「あんたがあたしを抱くだけじゃない。あたしもあんたを抱くんだよ」


 縫が自分の着物の上をするりとはだけ、胸を(あらわ)にした。


 白い肌が美しい。


 続いて縫が、無法丸の胸元を脱がせた。


 無法丸は縫に抗わなかった。


 自分でも不思議だった。


 いつも馬鹿ばかりを言う縫の言葉が、今は何故か心に染みた。


 縫が自分の形の良い双丘を無法丸の細身だが筋肉質な胸に当てた。


 無法丸は驚いた。


 日向が死んでから全くそんな気持ちにならず、誰にも反応しなかった自分の身体が、男としての猛々しさを見せたからだ。


 縫が今一度、無法丸に口づけした。


「縫」


 無法丸が言った。


 少し震えた声。


「しー」


 縫が今度は、自分の唇の前に人差し指を立てた。


「こうなったからには」


 微笑んだ。


「女に恥をかかせるもんじゃないよ」


 二人の影が月明かりの中で、ひとつに重なった。




 次の日、優が回復するのを待って、無法丸たちは旅を再開した。


 トワが行きたがる方角へと道を進んだ。


 野宿や民家の納屋を借りるなど、なるべく人と関わらないように細心の注意を払った。


 九日間は何も無かった。

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