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「どういうことだ?」と無法丸。
首を傾げる無法丸と縫に、優は話し始めた。
優の住む村にトワは三年ほど前に突然、現れた。
まず、村人たちはトワの容姿に驚いた。
そして、これが噂に聞く「外国人」というものかと結論づけた。
トワは村長から、いろいろと質問されたがほとんど会話をせず、分かったのは名前が「トワ」であるということだけだった。
村人たちは皆、根が優しく、トワを村で受け入れると決めた。
そもそもが、さしたる作物も育たぬ小さな貧村であるため、この地を治める戦国大名家の役人さえ、まれにしかやっては来ない。
トワは不慮の事故で連れ合いを亡くした優の母親の元で預かることになった。
貧しいながらも村人たちはトワを気に止め、優の家になけなしの食べ物を差し入れたりした。
ほとんど喋りはしないのだが、トワの素直で他者を思いやる本質を感じ取り、たとえ容姿が違ったとしても誰もトワにつらくは当たらなかった。




