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星繋ぎ  作者: もんじろう
104/147

104

 縫が糸を持ったまま、倒れている優の様子を確かめる。


「大丈夫、気を失ってるだけだよ」


 心配そうなトワの肩に手を置いて、落ち着かせた。


 トワが胸を撫で下ろす。


「縫、放してやれ」


 無法丸の言葉に、縫は片眉を上げた。


「無法丸!! 本気で言ってんの!? 敵は一人でも減らしておこうよ!」


 縫が口を尖らせる。


「縫」


 無法丸が言った。


「これじゃあ、命がいくつあっても足りないよ!」


 縫がターシャから糸を外し、掌中へと戻した。


「私を逃がして良いのですか?」


 ターシャが訊いた。


 複雑な表情を浮かべている。


「私はまた、トワさんを狙いますよ」


「そのときは俺がトワを守る」


 無法丸が言った。


 後ろで縫が肩をすくめる。


 ターシャが、ゆっくりと後方へと退がり始めた。


 左手首の帯を操作する。


 ターシャの姿が突然、消えた。


「何だい!?」


 縫が驚く。


 無法丸が両眼を凝らす。


 ターシャの気配は感じられた。


 それが遠ざかっていく。

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