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血を吸い、力を蓄え、龍虎を始末する。
カーミラは本堂の陰の中、じっと動かずに思案を続けるのであった。
突如、きらめいた銀糸が、ターシャの小刀を持つ右手に巻きついた。
振り下ろそうとしても動かせない。
ターシャが素早く、左手に小刀を持ち替えた。
そのまま、白刃でトワに斬りつける。
林から走り出た無法丸の黒鞘が、ターシャの小刀を手から叩き落とした。
無法丸の返す刀がターシャの頭へと打ち込まれる。
が、黒鞘は当たる寸前で、ぴたりと止まった。
「おやおや」
ターシャの右手を縛る糸を持つ縫が、林から姿を現した。
「また、女は殺しにくいってやつ?」
「ああ」
無法丸が頷く。
「それと、太刀筋に迷いがあった」
「ふーん」と縫。
ターシャをじろじろ見る。
「知らない女だね。あんた、何者?」
ターシャは答えない。
「縫、優を見てやってくれ」
ターシャを油断なく見つめ、刀を突きつけた無法丸が言った。
「へーい」




