表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幽鬼姫伝説  作者: 奏 舞音
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/84

第四十五話 幽鬼姫の宿命

 

 蒼龍祭が終わったと同時に年が明け、今度は迎春のために人々が浮き足立っている頃、華鈴は雪の積もった真っ白な庭で一人、暗い空を見上げていた。

 分厚い雲に覆われて、夜の星は姿を消している。


『僕はね、大切なものをすべて壊され、奪われ、絶望を詠う幽鬼姫が見たいんだ』


 呪いのようなこの言葉は、華鈴の心に深く残っている。

 蘇陵でぶつかったあの男は一体何者だったのか。

 何故、華鈴が幽鬼姫だと知っていたのか。

 それは、すべて蒼華大神の言葉で繋がった。


「髃楼は〈幽鬼姫〉に執着しておる」


 もう明日には髃楼ぐろうを探すために彩都へ発つ。

 そんな時、蒼華大神が華鈴の夢の中に現れてこう言ったのだ。

 その表情は険しく、同時に心配そうな瞳が華鈴に向けられていた。

 蘇陵で華鈴にあの言葉を吐いた青年が、きっと髃楼だ。そう華鈴は確信した。


「これも、〈幽鬼姫〉が背負う宿命なのかもしれぬ……」


 華鈴には何のことだか全く分からなかった。

 しかし、蒼華大神が〈幽鬼姫〉の宿命だというのなら、華鈴が逃れることはできないのだろう。

 ならば、受けて立つまでだ。

 謎の具術師、髃楼。

 幽鬼姫に執着していて、幽鬼を操る呪具を扱う。

 髃楼の呪具に宿る力は、凛鳴や山神様が幽鬼化していた時と似た力と似ていた。

 もしかすると、すべての幽鬼騒動の裏には髃楼の影があるのかもしれない。

 髃楼は、幽鬼姫の絶望を望んでいるのだから。


(もしかして、初代幽鬼姫が救いたい人って……)


 深紅山の陵墓内で見た美しい初代幽鬼姫。

 彼女は死してなお、涙を流して祈り続けていた。

 もし、その救いたい相手が髃楼なのだとしたら、自分を苦しめようとしている人を救うことになる。

 初代幽鬼姫と髃楼は一体どういう関係なのだろう。

 そもそも、初代幽鬼姫と髃楼とでは生きている時代が違う。

 それなのに何故? 疑問は次から次へと湧いてくる。

 華鈴の頭の中だけでは解決できそうになかった。

 真っ暗な空を見つめても、答えは帰ってこない。

 誰も、答えなど教えてくれない。

 どうすればいいのか、どうするべきなのかは自分で考えなければならない。

 これも、幽鬼姫である華鈴に与えられた宿命だというのなら、蓮や日比那に頼る訳にはいかない。二人のことは華鈴が守るのだ。

 守られるのではなく、守る側になるのだ。

 大切な人を守るだけの力を、きっと幽鬼姫は持っているはずだから。

 華鈴は答えを探して空を見上げるのをやめた。

 そして、覚悟を決めて部屋に戻った。


 その後ろ姿を、蓮が心配そうに見つめていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ