表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あしあと  作者: 夢霰
8/27

あしあと-8月21日(7ページ目)

 私は食べ物がなくなったのに気づき、スーパーへと出かけた。

 スーパーの中はクーラーがきいていて寒いぐらいだった。

 私は野菜を適当にカゴにいれ、次におにぎりコーナーへ行った。

 おにぎりをカゴにいれていると、横から声をかけられた。

「南風さんじゃないか」

 振り向くと、飯田がいた。

「俺は買い物頼まれてね。仕方なく来たんだよ」

 仕方なく、を強調しながら言って、おにぎりを一つ手に取って言った。

「俺はやっぱ明太子味のおにぎりがいいな。そういや、おにぎりの中に卵焼きを入れるというのも聞いたことがある」

 卵焼きを入れるのか……。

 大きなおにぎりになりそうだ。

「おにぎりってさ、海苔が巻いていない物以外はだいたい三角形だろ?あれってな、同じ量のご飯で丸く作るより三角形のほうが大きく見えるらしい。後、海苔が巻きやすく、握りやすいってのもあるらしいな」

 飯田が無駄な豆知識を教えてくれた。

 いや、無駄とは言ってはいけないのだろうが、生きていて役に立ちそうではない知識だ。

 おにぎりコーナーを後にし、適当に歩いているとカップラーメンが並んでいるところにきた。

 久しぶりに麺類でも食べようと思い、カップラーメンに手を伸ばした。

 ついでにきつねうどんも。

「油揚げといえば、キツネの好物とされてるんだよな」

 きつねうどんを見ながら飯田が言い始めた。

 というか、この人はなぜついてきているのだろうか。

 自分の買い物は終わったのだろうか?

 どうでもいい疑問が頭をよぎる。

「農耕上有益な動物で頭のよさそうなキツネを信仰し、お供え物をしていた時、お供え物の油揚げに口をつけたためキツネは油揚げが好きなんだ な、と思い込むようになったという説があるみたいだな」

 そうなのか……。

 実際にキツネに油揚げあげると死んでしまいそうだな。

 人間の思い込みってあほみたいだ。

「変な顔するなよ」

 飯田にそう言われて、表情に出ているのに気付いた。

「なにを考えてたんだ?」

 私はあほみたいなことを考えていたなんて言えるわけでもなく、ただ首を横振った。

「あー、そういえば」

 飯田が小さな声でそう言った。

「どこかの薬を研究してる施設がつぶれたんだってな。その施設、危ない薬を作っていたらしくてな、それが見つかった。研究長が逃走したらしくてまだ捕まってないらしい」

 私はあまり関係なさそうな内容だったので、食材をカゴに入れながら頷いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ