あしあと-エピローグ(26ページ目)
私は南風楓の日記を手に取った。
日記のタイトルは『あしあと』。
一ページめくったところにこう書いてあった。
「私が生きてきた跡を残す日記」
私は後悔と後ろめたさしかなかった。
一文字ずつ拾い上げるように、ゆっくりと日記を読んでいく。
読んでいくにつれて涙が溢れてくる。
九月十一日の日記を読み終えると、私はしばらく顔を上げれなかった。
ここに確かに彼女は生きていた。
そして、もうここには彼女はいない。
もしかしたら私は彼女を救えたかもしれなかったのだ。
だが、私は自分の将来を取った。
少女一人の命と引き換えに。
私は日記を抱えるように持ち、立ち上がった。
そこでふとした疑問が頭をよぎる。
九月十一日は誰が書いたのだろうか。
明らかに楓ちゃんの字ではない。
一人称も「彼女」か楓ちゃんの名前で書かれてある。
しばらく考えた後、それが分かっても悲しくなるだけだという結論に達した。
私はとあるビルに入り、最上階までエレベーターでのぼる。
豪華な椅子に座った人に日記を渡した。
「すばらしい、よくやったよ君は」
私は唇を噛み締めた。
その人は日記をぺらぺらと読んでいく。
そして一言こう言った。
「いい実験になった。おつかれさま。お金と引越し先は約束通りこちらで負担しよう、野杉君」
私はその場で号泣した。
だが、この悲しさをあの少女が知ることもないのだろう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
一応続き物として書いています。よかったら読んでください。
『あゆみ』
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