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あしあと  作者: 夢霰
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あしあと-9月10日(24ページ目)

 なぜ日記が書けているかというと、簡潔に言うと、起きたらなぜか身体から痺れや痛みがなくなっていた。

 起きたら、と言っても十日の朝ではない。

 これは九月十一日の朝に書いている。

 悪化していない時でも多少の痺れはあったのだが、今は本当になにもなかった。

 普通の健康な人ってこんな気分なんだな、というのが実感できる。

 この快感は私だけの特権だな。

 しかし、なぜこんなことが起きたんだろう。

 まさかあの少年が……?

 そんなわけはないだろう。

 願いが叶うなんてことは神でない限り無理だと私は思っている。


 そもそも神なんて信じていないので、きっと身体がどうにかしたのだと思う。

 さて、十日分の日記を書く。

 といっても、症状がどんどん悪化してきて、噛む力さえ出なかった、としか書きようがない。

 しゃべるのもしんどい。

 痛い、しんどい、辛い。

 そんな言葉が出るより先に意識がやられていたような感覚だ。

 死を実感していた。


 今はしんどくはないが、きっと私の命は短いと思う。

 こればっかりは医学とか関係なしに自分の勘っていうのかな。

 虫の知らせ?

 そんな気がするんだ。

 さて、これで私の日記は最後になるかもしれない。

 あの声が出た場所に野杉と行ってきます。

 もしも、明日も来たなら。

 私はなにをするだろうか。

 きっと変わらないのだろうな。

 普通の人は明日が来るなんていうのは普通のことなんだろうな。

 弱音は吐かない。


 行ってきます。

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