空を飛びたいな
セミはアブラゼミからひぐらしに変わりつつあった
「早いな日が暮れるの」また寝床を探さなければならないしかし昼の事もあり今度は防御面や逃走経路も視野にいれなければいけない
「確かアイツら上見えなかったな…」ドローン誘導作戦でヤツらの動きを少しばかり知ることが出来た
そこで僕は付近の比較的高いマンションに入る事にした (そういやマンションにはセキュリティがあったな)
詳しい事は知らないが外からでは開かないと聞いたのを思い出した 「だったら割ればいいか…そういや警報なるかな…」今度はガムテープをガラスに貼りツルハシで叩いた
今度はあまり音がせずに割れた
(良かったぁ警報鳴らなくて…)ソファを入口に置き頼りないがバリケードを作った
次は中の探索であるポケットから懐中電灯を取り出し灯を付けた
(怖っ…)僕はお化け屋敷が大の苦手である
高校に入学し親睦会で遊園地に行きグループでお化け屋敷に入り仕掛けに驚き慌てて入口に逆走した程である 更に昼間ヤツらと対峙 外ではひぐらしが鳴いてる
(最悪だなぁ…)懐中電灯の灯を頼りに階段を上がる
防火扉を慎重に開け廊下に何も居ないことを確認するとそっと閉めた マンションは5階建てでなるべく高い階に行きたかったのもある
3階から5階も同じように確認したが流石に部屋までは確認する余裕も無くなってきた
5階のドアノブをひたすらガチャガチャと回したが開かない ドアを蹴破る脚力は持っていないし針金で開ける技術もない 僕はとりあえず屋上に上がる事にした 鉄格子の柵をツルハシで殴り金属音を撒き散らしながら何とか破壊出来た
ヤツらの咆吼も聞こえない一応成功したようだ
屋上は非常に広く給水タンクもあり日陰もある
とりあえず給水タンクを背もたれにしガスコンロで食事を取ることにし湯を沸かし始めた
外にはカラスの大群が飛んでおり初めて高い所を見ると西町(元学校)当たりが焦土と化しておりその近くには6つのヤツらのグループがありどれも100体以上は居る「…ヤベェなコレは」更に小さなグループがドンドンと合流して一緒に行動し始めていた
(……ここから飛び降りようかな)ふと過ぎった危ない考えを頭を横に振って否定した 「まだ死ぬ訳にはいかんのだ…」お湯はもう湧いている
夕方6時頃凄まじい雨が横なぶりに振り始めた いわゆるゲリラ豪雨である(夕立と何が違うんだろ…)給水タンクの影で雨宿りしてる僕はふと思う…「水だ!?」急いでなべや袋を広げ水を溜め始めた
雨は15分もせずに止んだし水は思ったより溜まらなかった「ついてないよなぁ…」
夜凄まじい量の蚊の襲撃にあっていた どうやらタンクの周辺が水溜まり状態になり蚊が発生したようだ
「あぁチクショー」腕を振り回すが虚しく空を切るだけで蚊には当たらないリュックから虫除けスプレーを取り出し露出している所に掛けた
ようやく蚊を撃退出来て寝ることが出来た