プロローグ
毎日考えていた。
毎日毎日羨んでいた。
でもそれはこんな結果ではなかった。
――俺は何をしてたんだっけ?
硬い地面は冷たく、それと反対に頭が熱い。ドクドクと脈打つ頭を押さえようとして違和感を覚えた。
先程とは比べ物にならない熱が右肩で爆発した。喉の奥から大音量の奇声が飛び出す。
右肩から下は腕の代わりに赤い血だまりができていた。あまりの熱に過呼吸になりながらそれを確認する。
身体の様々なところから流れ出る血の量からして、俺は死ぬのだろう。
自分の周りに出来た水溜り、その水溜りに続く自分の体。明らかな致死量の出血。動かない身体、それでも押し出すように脈打つ身体。
全てを確認し理解した直後、思考は恐怖に支配され先ほどの熱は冷に変わり体の底を冷やし始める。
――いやだ、死にたくない。死にたくない。死にたくない。
どんなに「死」を恐怖しても彼の身体は一寸も動くことはなかった。
視界が揺れ、定まらない。がくがくと震え、過呼吸を起こしている。そんな自分に更に恐怖する。
ドクドクと身体中が脈打つ。それは次第に大きくなっていく。
歪む視界に細長い影が見える。おそらくこれは人だ。
口を開き助けを乞おうとするがヒュっという空気だけが漏れる。それでも必死に助けてと訴え続ける。
人影は俺に手を差し伸べ、その手を俺の頭の上でグッと握りしめた。
瞬間、視界に火花が散り俺の意識はブツンと落ちた。