8話
少し長めです。
ふぅ~、こんなにも長く書いたのは初めてです。
あのクエストが終わってからゲーム内の3日がたった。これで俺のオリジナルスキル「諸刃の剣」の代償が終わった。
どうやらこのスキルは1回使うと代償の効果が終わるまで使えないらしい……当たり前か。
「長かったな」
俺は今、初心者フィールドの少し進んだ所にある丘の近くにあった木に背を預けて座りクリスを膝枕している。
「この3日間で色々な事があったな」
そう呟きながらこの3日間の事を思い出していた。
クエストが終わった俺達は取り敢えず町に帰った。
「なんとか無事に帰って来れたな」
「うん!」
さて、無事に帰って来た事だし、どうしようかな?
くぅ~
「腹が減ったな」
「大丈夫?お兄ちゃん」
このゲームには空腹度システムがあって、プレイヤーが空腹時にお腹が鳴るようになっている。
また、空腹ままずっと居ると餓死して死に戻りする
「露店で腹ごしらえでもするか。クリスも何か食べるか?」
「うん!」
露店を探すこと10分やっと見つけた。
「あったあった」
店の名前は「おいでよ 串焼き屋」だった。
なんで、どう○つの森風なんだよ。行きたくないよ。
まぁ、行くけどさ…
「すいません串焼きを2本ください」
「はいよ!チキンの串焼き2本で200ガルドだ!」
“チキン”は初心者フィールドにいる名前で分かるように鶏みたいなモンスターで、こっちが攻撃しない限り襲っては来ない。
串焼きに使用されている部位はもも肉だ。
チキンの串焼き(もも肉) ランク3
効果 空腹度を20%回復
説明 チキンのもも肉を秘伝のタレにつけ、ゆっくりと炭火で焼いた物。
これを食べた者は、次回も必ず来たくなるほど中毒性の高い品だ。
200ガルド払って食べてみる
もぐもぐ……
「うまっ!?」
「おいしいね、お兄ちゃん!」
めちゃくちゃ美味かった。串焼きにかかっているタレが美味い。そして小さい口で一生懸命串焼きを食べているクリスも可愛いかった。
「おうよ!うちのタレは秘伝のタレでよ、代々受け継いできてんだ!」
どうやらこの人はNPCらしい。NPCでも露店を開くんだなとビックリした。
「おっちゃん、また来るよ」
「おう!基本的に此処で開いてるから何時でも来い」
食べかけの串焼きを持って露店から離れてベンチに座って食べる。
食べながら、ウィンドウを開くと見慣れない“掲示板”という文字が目に入った。
「さっきまで無かったよな?」
掲示板を開いて見ると【雑談】、【スキル】、【クエスト】、【俺は見た可愛い幼女を】があって、雑談はそのままで、スキルもどんなのがあるのか、クエストはどんなクエストがあるのかを相談していた。
…一番下のスレについては触れない方がいいと思ったからスルーした。
雑談のスレを見ると俺たちの事が書かれていて騒いでいたから詫びの言葉を書いた。
「やっぱりろくでもないスレだったな」
そして例のスレをたてる理由もあって理由もしょうも無かった。
「よし、クリスのスクリーンショットを撮ろう」
クリスにこっちを向いてもらって撮る……このときに少し可愛いと思ったのは秘密。
「どうひたの?おひいひゃん」
「クリス、口の中に物がある時は喋ってはいけません」
「ふぁーい」
可愛くて思わず頭を撫でてしまった
スクショを掲示板に載せたあとに【スキル】にオリジナルスキルの事を、【クエスト】に俺が受けたクエストの事を報酬は少し伏せて書いた。
食べ終えた串をゴミ箱に捨てて、クリスの口の周りが汚れていたから拭いて綺麗にした。
「クリス、口が汚れているぞ」
ゴシゴシ…
「ありがとう、お兄ちゃん!」
さて、腹ごしらえしたし、もうログアウトしようかな?
「じゃあ、クリス“戻れ”」
そう言うとクリスが光の粒子となって石の中に入っていった。
クリスを召喚するための石「召喚石」には直接魔法陣が書かれているため、スキルを取得しなくてもいいらしい。
これが召喚石の説明
「クリスの召喚石」 ランク7
この石には精霊を召喚するための魔法陣が書かれている。呼び出したい時は“出でよ”または“おいで”でもいい。
戻す時は“戻れ”と言う。また、持ち主がログアウト中、死に戻りした場合強制的に召喚石の中に戻る。ただし、持ち主が認めた時はログアウト中のみ戻らなくてもいい。
ランクは最高で10である。
この召喚石のランクが高いことが分かる。
ちなみに召喚石は大事な物に入る。
「さて、ログアウトするか」
ウィンドウを開いて一番下にあるログアウトボタンを押す
ウィンドウ画面では上から順に、ステータス、イベントリ、スキル、装備、フレンド、チャット、ヘルプ、ログアウトとなっている。
ログアウトボタンを押すと“Yes/No”と表示されてすかさずyesを選ぶ。
視界がブラックアウトして、戻ってきた。
「ふぅー」
息を吐いてヘッドギアを外し、体を伸ばしてほぐした後に部屋を出た。
部屋を出る時に見た時計は昼の13時を指していた。
「今日の昼ご飯はチャーハンでいいな」
そうと決まれば、ご飯と卵とネギと買っておいたチャーハンの元を出して炒め始めた。
チャーハンを作り終えた俺は出来たチャーハンを食べた。
ゲームの中でもご飯を食べ、現実でもご飯を食べて…忙しい奴だな俺。
「ご馳走様でした」
食べ終えた後の皿を洗い、一息付いて親に電話を掛けた。
prprpr…ガチャ
「もしもし母さん?」
『あら、黒生どうしたの?』
「ゲーム、ありがとう」
『あらあら、気にしないの。ゲームはしたの?』
「うん、したよ。凄い楽しかった」
『そう、喜んでくれたようで嬉しいわ!』
「そういうことだから、バイバイ」
『待って、ゲームの中で友里に会った?』
「姉さんに?会ってないけど。というか姉さんゲームをしてたの?」
『えぇ、なんていってたかな?なんちゃらテスターって言ってたような…』
「βテスター?」
『そう!それよ』
「そうなんだ、さっきご飯を済ませてこれからやろうと思っていたんだ」
『そう、じゃあゲームの中でも仲良くしなさいね』
「わかっているよ。切るねバイバイ」
「姉さんsooしてたんだ」
まぁ、あのゲーマーな姉さんがしてない筈がないか。
だったら、ログインした後に少し姉さんを探してみようかな?
部屋に戻った俺はすぐにヘッドギアをして、ベッドに寝た
sooにログインして俺が立っていたのは始まりの町の噴水がある広場だった。
「へぇ、ここに出るんだ」
いつもはこの噴水広場だけどsooの公式サイトによると自分の家をあるクエストをクリアした後にお金を持って特定の場所に行くと買えて、自動でそこがホーム設定されるらしく次からは自分の家にログイン出来るようになるらしい。
自分の一軒家・・・欲しいですね!?
「取り敢えず“おいで”クリス」
そう言うと召喚石から光の粒子が出てきて俺の横に集まり、クリスが立っていた。
「お兄ちゃん、おはよ?」
そう言って首を傾げてきた。
ちなみに時間帯はもうすぐ夜になる頃だ。
「いや、もうこんばんはだぞクリス」
「そっか、じゃあこんばんはお兄ちゃん!」
俺に満面の笑みを向けてくるクリス。思わず萌えたのは秘密だ
姉さんを探しに行く前に俺はステータスを確認しておいた。
名前 クロ
種族 ヒューマン
Hp33/33 (100/100)
MP43/43 (110/110)
Str3 (10)
Vit3 (10)
Int3 (10)
Men3 (10)
Agi5 (15)
Dex3 (10)
所持ポイント6
スキル 剣術Lv3 アクロバティックLv3 スピードアップLv1 魔力アップLv1 鷹の目Lv5 採掘Lv1
鍛治師Lv1 革師Lv1 調合Lv1 足技Lv2
控え 諸刃の剣Lv1
残り“27:00:00”
となっている。
(まだ、27時間もあるのか…)
うーん何にポイントを振ろうかな?
取り敢えず、Str Vit Dexに2ポイントずつ振ろう。
そうしてこうなった。
Str6 (20)
Vit6 (20)
Int3 (10)
Men3 (10)
Agi5 (15)
Dex6 (20)
残り“26:57:00”
これでもまだ一桁なんだから本当にオリジナルスキルの代償がキツ過ぎる……まぁ、自分が望んだ事なんだが。
かっこの中が本来のステータスだ。
「そういえば、クリスのステータスはどうなっているんだ?」
「うーんと…これが私のステータスだよ」
見せてくれたクリスのステータスがこれだ。
名前 クリス
種族 精霊(水)
HP140/140
MP350/350
Str20
Vit20
Int72
Men72
Agi30
Dex15
スキル 水魔法Lv8 回復魔法Lv4 魔力アップLv5
魔力操作Lv10 魔力気配察知Lv5 詠唱省略Lv3
ステータスをみて分かるようにクリスは水属性の精霊のようだ。そして普通に強いんですけど……
セレスさんが言ってた事が良く分かった。
それにクリスにもプレイヤーより入りにくいがポイントが貰えるらしく、Int Menが上がりやすいらしい。
俺たちプレイヤーがモンスターを1体倒して1ポイント貰えるにクリスは3体倒してやっと1ポイント貰える。
格上とボスモンスターにはプレイヤーと同じくらいポイントが貰えるらしい。
呆然としている俺にクリスが「どうしたの?」と
聞いてきてやっと我に帰った。
「クリス、このステータスは絶対に他の人に見せてはいけないよ」
「うん!分かった!」
笑顔で分かったと言ってくれて、可愛くてついつい頭を撫でてしまった…まぁ、気持ち良さそうに目を瞑ってるから良いいけど。
少しの間撫でていたけど、姉さんを探さないといけない事を思い出したから撫でるのを止めた。
「もうやめるの?」
クリスさん、そんな名残惜しそうに上目遣いで俺を見ないで下さい。
思わずギュッと抱きしめてずっと撫でていたくなるから。
「すまないなクリス。探したい人がいるんだ、また今度な」
「探したい人って誰?まさか女の人?」
あのクリスさん?
少しだけ黒いオーラを感じるんですが気のせいですよね?
「あ、あぁ。探したい人っていうのは俺の姉さんなんだ」
「なんだ、お姉さんか」
そう言っているクリスからはもう黒いオーラを感じない。何だ、やっぱり俺の気のせいか。
始まりの町を少し探し回ってみたが、居なかった。
今はログアウトしてるのだろうか?
でも、βテスターって言ってたしもしかしたら先のエリアに言ってるかも知れないな。
「居ないね?」
「あぁ、もしかしたら先にどこか、行ってるのかもな」
「諦めるの?」
「ああ、また今度にするよ」
そう言ってクリスの頭を撫でた。嬉しそうにしているクリスだった。
姉さんの事は今度にするとしてこれからどうしようかな?
そうだ、ゴブリンのドロップ品を売ろうかな。
採掘するための鶴嘴を買わないといけないからな。
…でもどこで売ればいいんだ?
雑貨屋か?それともそれ専用の店があるのか?
どうしよう。
少し考えてから、片っ端から売れるかどうか聞けばいいやってことになり色んな店を回った……クリスの熱いご要望に応えて肩車をしながら。
色んな人に微笑ましい物を見るような目線を向けられたが無視をしまくった。俺だけが!
クリスは皆に笑顔で手を振っていた。たまにクリスに振り返えしてくれている人も居た。
「降ろしてもいいか?」
「やっ!」
と涙目で拒否された……なんで涙目なんだよ。罪悪感が半端ないんですけど。
「お母さんは忙しくて肩車なんてしてくれなかったから、嬉しいの…でもお兄ちゃんに迷惑掛けたくないから降りるn」
「迷惑じゃないから降りなくていい!」
そんな事言われたら無理に決まってるだろ!
思わずこっちがクリスが健気過ぎて泣きそうになったわ!
そんなやりとりをしていると次の店が見えて来た
「この店はいけるだろうか?」
今の所他の4件ぐらい回ったけど全部断られている。どうしてだろう?
まぁ、考えていても仕方ない。入ろう。
ガチャ……チリンチリン
「いらっしゃいませ」
そう言ってカウンターに居たのは16歳ぐらいでポニーテールにしている頭に犬耳がある女性だった。
「ここはプレイヤーが経営している店ですか?」
「そうよ」
理由は簡単だ、この町で獣人が経営している店は無いからだ。それにsooのNPCは皆プレイヤーのことを異世界人と呼ぶからだ。
「それでも早くないですか?店を建てるのは」
「それは、私が元βテスターだからよ」
「なるほど」
元βテスターだったらお金もある程度貰えるらしい。ちなみに店を建てるのに安くても100万ガルドかかる。家だったら安くても150万ガルドだ。
「そんな事無いわよ」
「そうなんですか?」
「ええ、ただ私がβテスター時代の時も店を建てていたからよ」
「でも、何を売ってお金を貯めたんですか?」
基本的生産職の人じゃ無いと店を建てれるくらいのお金は貯めにくい……戦闘職でも貯めれる人は居るけどそれも結構稀だ。
「それは、鍛治をしてだよ」
「そうなんですか?俺も取っています」
「本当!?だったら私が教えてあげようか?いえ、教えさせて下さい」
いや、どんだけ必死何ですか!?
それと上目遣いで見ないで下さい。了承したくなりますから。
「ありがたいんですが断りまs」
「そう……」
そんな悲そうな顔しないで下さい。罪悪感で心が潰れそうです。
クリスといいこの人といいずるくない?
「いえ、時々でいいんで教えて下さい」
「本当?」
本当だから涙目で上目遣いしないで下さい。思わず見惚れてしまいそうになった。
「本当です」
「やったー!」
凄く無邪気に喜んでいる。すげー可愛い。
あ、尻尾がブンブンと振られている。凄い触りたい。
「む~」
クリスさんが頬を膨らませてむくれてらっしゃる。
ほっといたのは謝るから俺の頬を引っ張らないで。
ペチペチと頭を叩かないでください、少し痛いです。
「ごふぇんごふぇん悪ふぁったはら離ひて(ごめんごめん悪かったから離して)」
そういってもなかなか離してくれない
「そういえばまだ自己紹介してなかったわね。
私の名前はエリアナ、鍛治職人よ。それと敬語は使わなくていいよ。私と同い年でしょ?」
「そうだな、わふぁった、俺のなまふぇはふろだ(そうだな、分かった、俺の名前はクロだ)」
それとクリス本当にいい加減離せ!こら引っ張るな!
エリアナがビックリしたように聞いてきた。
「ふふっ。仲がいいのね。その子NPCよね?」
「ああ、いろいろとあって仲間になった」
エリアナにクエストの事を教えた。クリスの正体が精霊って事は伏せておいた。
クリスを肩車から降ろしてから、抱っこをして頭を撫でると機嫌を直して許してくれた。
「へぇー、そんなクエストがあったんだ。βテスター時代の時は無かったはずよ」
「そうなのか?だったら正式版から配信されたのかもな」
「多分ね。あぁー、私も良く町を見て回ればよかった
」
そう言って、カウンターにうずくまるエリアナ
「クリス、お前のような子は他にも居るのか?」
「うーん…良く分からないけど探せば居ると思うよ。この町には私だけだけど」
「じゃあ次の町に行けば居るんだな?」
「うん」
「だとさ、エリアナ。どうするんだ?」
「行く!パーティーに寄生してでも行く!」
「いや、寄生は駄目だろ。ちゃんと役にたってあげて。 装備品を揃えるとかして」
しかし、テンションが高いエリアナに聞こえているはずもなく……
「私、これから行ってくる!だから教えるのはまた今度でいいよね?ね!?」
「あ、おい!まず落ち着けって!俺はこのゴブリンのドロップを売りたいんだって」
「そんなの…はい、1000ガルド!これでいいでしょ?急いでるんで」
「そんなに!?フレンド登録もしとこうぜ、じゃないと教えて貰う時に呼び出すのに不便だから」
「分かったわ……はい、申請したよ」
確かに着ている。
すぐに受託した……初めてのフレンド、なんか嬉しいです、でもこんな慌ただしい人は少し嫌だ。
というかどんだけ仲間にしたいんだよ……気持ちは少し分かるけど、そんなに慌てなくてもいいのに。
「じゃあ、私もう行くね!」
「しばらくお店を留守にします」という札を扉に掛けてすぐに行ってしまった。
「何だったんだろうね?」
「クリス…あんな人になってはいけないよ。お兄ちゃんからのお願いだ」
「うん!分かった!」
エリアナの店を出た俺たちは鶴嘴を買いに行った。
「鶴嘴が300ガルドって高くない?」
鶴嘴を買ったけど思った以上に高くてビックリした。これで所持金が1650ガルドになった。
町を出て初心者フィールドに出た。
今は夜のために少し敵が強くなっている。
朝と昼に出てくるモンスターはスライム、ホーンラビット、モウだ。
スライムは某人気RPGに出てくるモンスターと姿は一緒だ。ホーンラビットは額に一本の角が生えているウサギでモウは牛型のモンスターだ。
それと、チキンだ。
夜は、ホーンラビット、ウルフの2種類だ。
だが、ホーンラビットは昼と違い、強くなっている。
ウルフはそのままで狼だ。そしてチキンは出てこない。多分だがウルフに食べられてしまうからだと思う。
「クリス、俺は今オリジナルスキルで弱くなっているからサポートよろしくな」
「うん、お兄ちゃん任せて!」
俺は鷹の目を使って注意をしながら進む。
さぁ……狩りの始まりだ!
いかがでしたか?
オリジナルスキルの名前は気にしないで下さい、作者がネーミングセンス無いだけです。
……次はいい名前がつけれるように頑張ります
誤字脱字がありましたら、教えてください