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立入禁止領域 ②

「外岡さんってさぁ…」

緊張の糸が切れたように喋りだした。

あんなに出なかった言葉が次々出てくる。

「…なに?」

一度閉じた目をゆっくり開けながらこちらを見るその顔の向け方。

いたずらっぽくてどきっとする。

「どっちかっていうと…」

「…?」

「人をいじめたい方の人?」

「そう見える?」

「あ、いや。俺的には…」

外岡さんは身体ごとまっすぐこちらに向けている。

「普段Sに見えて実は彼氏の前だとMっぽい人だと思う…」

何 言ってんだ俺。。

「ぷっ…なんだ。そういうことか」

あははと笑い飛ばす余裕。

俺が敵わないのはそういうとこ。

ふっかけた俺が恥ずかしくなってどうする。

「職場問題かと思ったら恋愛の話?」

外岡さんが言った。

「ん、たまには…ね」

「自分がSとかMとか、感じたことないな」

「……彼氏には…何て言われてるの?」

「さあ~、彼氏いないし」

聞いたか。

俺ははっきり聞いたぞ。


カレシ イナイ シ…


ここ重要。かなり重要。

他愛ない会話から探る。

片思い中の男子諸君。

この手使えるぞ。

「ふーん、そーなの」

犬なら尻尾ふりまくりなところだが見事なポーカーフェイスを作るのが人間の俺だ。

「だってあたし…」

次の瞬間。

外岡さんの口からとんでもない爆弾が飛んできた。

「結婚してるし」


ケッコン シテル シ…


俺の火の点きかけた打ち上げ花火はこれからだったのに…

じわじわ導線を燃やしていく予定だったのに…

はえーよ。この火薬、爆弾でした…。

それだけでも大打撃だったのに

勤務中はしてない指輪を、財布から取り出して薬指にはめて見せてきた。

いいよもう。証拠なんて。

「私アクセはゴールドが好きだから、これ気に入ってるの」

あっそ。あっそ。

これからのない俺らにそんな情報役に立つわけない。

そう思いながらもゴールドが好きと心にメモを取る自分がいる。

諦めきれない俺。

「千鳥は結婚願望あるの?」

ねえ…俺今どんな顔してる?

普通でいられてる?

「…なくなった」

「え?」

バカ言うな。取り繕え。

「ないない。まだ若いし」

「だよねぇ、男は30まで遊びたいとか言うもんね~」

そんなもん?じゃー遊んでやる。

女とっかえひっかえ抱いてやる。

「遊び半分で付き合うほど女に使える金ないし」

おい遊び人根性どこいった。

なに振られた女前に誠実ぶっちゃってんだ。

「遊ぶって女じゃないよ(苦笑)趣味とかさぁ」

…あー変態。俺の頭ん中変態。

もう話すのやめよう。今日は完敗だ。

一回整理して頭冷やそ。

落ち着いたら諦めつくかもしんないし。

「…俺もう行くわ…おつかれ」

「ん、おつかれー」

サロンを腰にかけて事務所を出た。


その日は仕事など手につくはずがなかった。

スタッフとどんな会話をして、客にどんな対応したのかまるで思い出せない。

爆弾の燃えカスが灰が煙が

燻ったまま消えない。


それでも人間腹が減る。

仕事終わり、新しく出来た駅ビルのレストランに入り

胃袋を満たした。

ついでに雑貨屋を見て回る。

部屋に焚くお香を選んだ。

その隣のショーケースに入ったゴールドのアクセサリー達が外岡さんの事を思い出させる。

くそっ…

買い物を済ませた足は力なくだらだらと家に向かった。

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