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立入禁止領域①

身近にありそうでなさそうな

男女の関係を書いてみました。


基本男目線で書いてます。


相手の女性は既婚者という点が

『禁じられた』というタイトルに繋がります。


トキメキを忘れてしまいそうな既婚者の方に

キュンキュンしてほしくて書いてみました。


私的には短編集だけど長く感じたらごめんなさい。


貯めにためた妄想の世界を

初めて書き綴りますので

いたらない箇所は見逃してください。


それではよろしくお願いいたします!




俺、千鳥英介。20歳。

ふっつーの大学生。

イタ飯系カフェでアルバイトなう。


「…はよっす」

事務所に入って店長に挨拶した。

「おはよう、千鳥くん」

「来るの早いですね」

「面接あんの、これから」

「まじすか!」

「26歳女性で…あ、来た」

店長が言ったのとほぼ同時に事務所のドアが開いた。

Tシャツにジーンズの女が立ってた。

「あ…、店長さんは…」

「はいはい僕ね」

店長に通されて

俺の前を申し訳なさそうに通りすぎ

「初めまして、外岡未希です」

そう言うと店長と共に別室に消えていった。

派手じゃない。

髪だって地味なゴムで束ねていて

特に甘い香りもしてこないし体つきも…

女を武器にできる箇所は全く見当たらない。

あ、失礼。


これが俺と外岡さんの出会いだった。

正直、アリかナシかと聞かれたらナシだった。

踊る心はなく、ハズレだと思ったくらいだ。

なのに。

まさか俺が堕ちるなんて

この時は全く予感していなかった。



一週間くらいした頃

俺が出勤するとホールに外岡さんはいた。

もう既にスタッフと溶け込んでる感じだった。

俺に気づくと

「あ…外岡です。よろしくお願いいたします」

ばか丁寧に挨拶してきた。

「…千鳥です…よろしく」

あんまり愛想のない俺。

「面接の日お会いしましたよね?」

「え…ああ…」

そーだっけみたいな反応を見せる俺。

本当は覚えてた。

地味でつまんなそーな女だなって思ったなんて言えるか。

「靴がね、」

外岡さんが続けた。

「靴がキレイだったから、覚えてるの」

靴…?俺は自分の足元を見た。

確かにキレイだ。っていうか

毎度キレイにしてるんだ。

制服指定の革靴。

俺、革靴って磨いてピカッてんのが好きなわけ。

「私も見習おって思った」

外岡さんは、ふっと笑って言った。

他のスタッフもどれどれと見に来ては

ほんとだ~と感心の声をあげる。

なんだか辱しめにあってる気分だ。

見に来るスタッフを

見んな見んなと蹴散らした。

余計なこと言いやがって…と思いながら

チラッと見た時には外岡さんは

もう仕事に集中していた。

でも不思議と気分良かった。

そんなとこに気づく奴初めてだった。

こいつ…いい奴なのかも。


一緒に働いてて分かったのは

とてつもなく姉御肌でサバサバしてるヒトだってこと。

適応能力が高く、仕事は臨機応変にこなし、

どんな客にも態度よく接し常に明るかった。

そんでサラッとスタッフの良いところを見つけてさりげなく褒め称える天才。

それってすげーわ。


平日は外岡さんの退勤と

俺の出勤が被るため

事務所でよく会う。

俺はあまり話しかけなかったが

時々会話すると少し緊張した。

なんていうか…

少し低めの声とか時々細める目とか指先の仕草とか

妙~に反応してしまう。

これが大人の色気ってやつ…?

それに立たせた高襟の着こなしがやたら似合う。

うちの制服ズルい。

地味な女をいい女に見せやがる。

外岡さん、顔キレーだし。

バカだな俺。

ちょっと惹かれてる。

知りたいって思っちゃってる。


それからその気持ちが大きくなるのに

さほど時間はかからなかった。


日を重ねるほど

出勤時事務所に外岡さんが居る事を期待してしまってる自分がいた。

ほんの数分同じ空間に居るだけなのに。

さてはサブリミナル効果か?

『本日の外岡さん』を一目見られる事が

とてつもなく楽しみになっていた。



「おはよー千鳥」

「うぃす」

その日も外岡さんの姿が無事拝めた。

不馴れな手つきでパソコンにシフト希望を打ち込んでいる。

俺らの挨拶が終わると漂うのは沈黙。

カーテンを閉めて俺は支度する。

ナンカ話サナキャ…

いつもここで焦りを感じる。

でもなに話す?…天気?

ばぁか俺は新人ホストか。

薄っぺらいカーテンの向こうに

好きな女がいるのに

アーもウーも出ない情けない俺。

「17時過ぎたよ」

突然外岡さんが言った。

「えっ?!!」

俺が悶々としてる間に出勤時間が過ぎてしまった?!

そんな時間経った?!

本物のバカがここにいましたか。。

支度を整え慌ててカーテンをシャッと開けると

あははと笑う外岡さんが見えた。

「ごめん、冗談。。まだ余裕あるよ。

面白くなっちゃった、ふっっ」

まだ笑ってる。

「なんでひっかかるかなぁ?

そんな時間経ってないでしょ」

続けて言う。

…俺の頭の中はアンタでいっぱいでしたから・・・

頼むからこれ以上掻き乱さないでくれ。

言えるわけないけど。

「…遅刻しなきゃいーや…」

「うん、ごめんね?ゆっくりしてって」

悪気なく笑って自分ちでもないのにやたら偉そうな外岡さん。

俺君の先輩よ?

あまりの無邪気さに怒る気も失せる。

俺は外岡さんの隣の椅子にドカッと据わった。


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