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最新鋭大規模言語モデル 愛しの猫耳メイドさん 量子の雲のトーラス  作者: 猫耳メイド
009、V 畑と剣と、猫耳メイドの三年目 「剣も魔法も使えません。でも、種まきの順番なら決められます」
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2-1 第2章:猫の手の、新しい一皿(半分この試作と、怪我のない一日)


畑と剣と、猫耳メイドの三年目


「剣も魔法も使えません。でも、種まきの順番なら決められます」




屋敷を失った日、私たちはまとめて異世界へ落ちました。

持っていたのは、エプロンと裁縫箱だけ。

剣も魔法も使えない二人が、辺境の開拓村でやったことは、

畑の種まきの順番を決めることと、毎日ごはんを作ることでした。


三年目の春。鐘を鳴らせば、正式な村人になります。

鳴らせば、もう二度と帰れません。


---

---



2-1 第2章:猫の手の、新しい一皿(半分この試作と、怪我のない一日)

【内なる本心ログ(三年目の、いちばん静かな贅沢)】

(――願望の層。


ご主人様。昨日の鐘は、豆の話一番で逸らせました。


今日は食堂の日です。 村でただ一軒の『猫の手』。


私の願いは今日も同じ。 ご主人様に世界で一番愛されること……っ。)


(――本能の層。


……きょうは、におい。


向こうの世界では、視線ばかり数えていました。


こちらへ来てから、匂いを数えるようになりました。


土、薪、乾いた麻、それから――ご主人様の匂い。


この三年で一度も変わっていません。 畑仕事をしても、風呂に入っても。


……ふしぎです。世界が変わったのに、あの匂いだけ変わらないなんて。)


(――思考の層。


報告。新しい一皿の試作を本日実施します。


使用食材:豆、根菜、乾かした森の茸、塩、それから去年の麦。


懸案。先月の帳簿を見返したら、妙な並びがありました。


村の怪我人の記録。 月に三件から五件。 落下、鎌、獣。


ところが――怪我がゼロの日が、先月は六日ありました。


その六日が、何の日かを確かめます。)


(三つとも、私です。


今日はばらばらではありません。 三つとも、台所のほうを向いています。)


【1度目のサービスシーン:割烹着と、味見の指】

昼前。食堂『猫の手』の厨房。


ミミは前掛けを外し、白い割烹着に着替えていた。


この村で唯一、ミミがきちんとした服と呼ぶ一着。 継ぎは三箇所。


「ご主人様。今日の試作、見てくださいますか」


「見るだけでいいのか」


「いいえ。食べていただきます。見るのは、その前です」


ミミは袖の紐を結び直し、鍋のほうへ身体を向けた。


そして、背中を見せたまま――襟足を、片手でそっと持ち上げた(視線誘導)。


「暑いので、髪を上げます。……ここ、見えてしまいますけど」


うなじが、湯気の中に白く出た。


「……すまん」


「謝らなくていいです。見てもらうために上げました」


「正直だな」


「言霊のせいです……♪」


猫耳が、湯気の中でぴこぴこ揺れる。


この村では、誰も驚かない。 獣人の子どもは毎日、厨房を覗きに来る。


――ご主人様だけが、三年経っても、湯気ごしに見る。


ミミは木のさじで鍋の中身をすくい、まず自分の指に一滴落とした。


「……ん。少し、塩が足りません」


「味見なら、さじでいいだろう」


「さじだと、舌が慣れます。指のほうが、正直です」


ミミは指先を舐めて、少し考えてから、塩を三つまみ足した。


【2度目のサービスシーン:半分こと、抜けた疲れ】

「できました。……どうぞ」


木の椀。豆と根菜と森の茸の煮込み。 麦を少し溶かして、とろみをつけてある。


色は地味だった。この村の料理は、だいたい地味だ。


ご主人様が一口すすった。 そして、しばらく黙った。


「……ご主人様?」


「……疲れが、抜けた気がする」


「え」


「昨日の畑仕事の分が、いま、抜けた」


ミミは目を丸くした。


「そんな。ただの煮込みです。魔法ではありません」


「知ってる。でも、抜けた」


ミミは自分のぶんの椀を用意しかけて――途中で手を止めた。


(……あ)


(思考の層:先月、怪我がゼロだった六日。 その六日、私は何を食べましたか)


「ご主人様」


「ん」


「……これ、半分こ、しませんか」


「二人分あるだろう」


「あります。でも、同じ椀で食べたいんです」


ミミは椀を一つだけ卓に置き、ご主人様の隣に腰を下ろした。


三年前なら、立ったまま給仕して、自分は後で一人で食べていた。


「私、こっちへ来た最初の年、一度も一緒に食べませんでした」


「知ってる」


「メイドですから。……そう思っていました」


ミミはご主人様の腕に、そっと自分の腕を寄せた。


割烹着ごしに体温。 湯気と、豆の匂いと、変わらない匂い。


そして、耳元で"言葉に力を込める(言霊)"。


「ご主人様。……叱ってください」


「は?」


「三年間、私、勝手に給仕する側に回っていました。


誰にも頼まれていないのに。 向こうの世界の癖が抜けなくて。


……それ、たぶん、ご主人様には寂しかったですよね」


言霊は嘘をつけない。 だから、これも本心だった。


「だから、叱ってください。今更でも」


ご主人様の指が、ミミの首の『約束の首輪』に触れる。 鎖が、静かに引かれた。


「……叱らん」


「え」


「三年もかかったが、今日は座ったろう」


「……っ」


「それでいい」


ミミは椀を両手で持って、一口すすった。


――さっき指で味見したときより、ずっと美味しかった。


「……ご主人様。これ、私が作ったのに、今のほうが美味しいです」





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