表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「全ステータスF・魔力ゼロで転生したが、殴られるたびに限界を超えるので問題ない」  作者: ラーメンが好き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/100

第六十四話「殿下の解読」

 ライゼルの研究室は相変わらず本が山積みだった。

 扉を開けると、殿下は机に向かって何かを書き写していた。古い羊皮紙と現代語のノートが並んでいて、羊皮紙の方はところどころ文字が掠れていた。蒼が入ってきても気づかなかった。

「殿下」と声をかけると、ライゼルが顔を上げた。

「ああ、蒼か。今いいところだ、少し待ってくれ」

 蒼は待った。ライゼルが文字を書き写して、一つ頷いてから振り返った。

「古代語の文書を解読していたんですか」と蒼は言った。

「そうだ。北部から戻ったと聞いて、あなたたちが見つけた廃村の情報を参考にしていた。それで一つ気づいたことがある」ライゼルが書き写したノートを指した。「この文書、ラーデンの一族が書いたものだと思う」

────────────────────────

 文書は王都の古い記録保管所に眠っていたもので、ライゼルが独自に収集していた資料の中の一つだという。内容は蒼が廃村で見つけた日誌と同じ時代のもので、炉の材料を巡る話が書かれていた。しかし違う点があった。

「炉の材料だけでなく、封じられた存在についての記述があります」とライゼルは言った。「当時の言語で書かれていて、一部は私では読めなかったんですが、あなたなら読めますか」

 蒼は文書を手に取った。《知識蓄積》が反応した。読める。ゆっくりと目を動かしながら、意味を声に出した。

「封じられた存在は意識を持っている。怒っているのではなく、待っている。何かを伝えようとしているが、炉の封印がその言葉を遮断している。設計者は言っていた。いつか炉を作った者と同じ性質を持つ者が来て、封印越しではなく直接話を聞けば、この世界の本当の歴史がわかると」

 ライゼルが息を飲んだ。「封印された存在が、意思疎通しようとしているということですか」

「そう書いてあります」

────────────────────────

 封じられた存在と直接対話する、というのは、七年後の調整でセンから聞いていた話だった。ただその意味が、今少し変わった気がした。調整の必要性から来る対話ではなく、その存在が自分から伝えたいことがある。

「これは重要な情報です」と蒼は言った。「七年後の調整で、封印された存在と対話しなければならない理由が、もう一つ加わりました」

「七年後に何があるんですか」

 蒼はセンから聞いた話を、ライゼルに説明した。殿下は話を聞きながらノートにメモを取り続けていた。古代史の研究者の顔だった。

「面白い」とライゼルがつぶやいた。

「面白い場合ですか」

「学術的に面白いという意味です。すみません、職業病です」殿下が少し苦笑した。「七年後に向けて、私にできることは何ですか」

「消された歴史の記録を集めて、解読してください。封じられた存在が何者かを理解するためには、建国以前の歴史を正確に知る必要があります。殿下の研究が一番の近道だと思います」

「任せてください」ライゼルが目を輝かせた。「久しぶりに、本業が役立てる」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ