第五十四話「再会」
二つ目の経由地、ベルタという街についたのは四日目の夕方だった。
ターグより少し大きく、山に近いせいか採掘関係の冒険者が多かった。ギルドに宿を紹介してもらおうとしたとき、ボードの前に立っている人物の背中が目に入った。
見覚えがある体格だった。
「ハルク?」と蒼は言った。
男が振り返った。ハルクだった。アルガで蒼に絡んできたDランクの男で、出発前夜に王都のことを忠告してくれた人物だ。ハルクは蒼を見て、それからリーナを見て、それから見知らぬエムとクルトを見て、少し困惑した顔をした。
「なんでこんなところにいるんだ」
「北部の調査で来ています。ハルクさんこそ」
「依頼だよ。山の採掘場周辺に魔物が増えてるって話で、Dランクの仕事が回ってきた」
「魔物の増加ですか」と蒼は言った。頭の中で、ターグの草地の変化と繋がった。
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その夜、全員で食堂のテーブルを囲んだ。ハルクは最初、蒼の仲間に加わることを遠慮していたが、リーナが「座りなさい」と言うと素直に座った。
ハルクが依頼の詳細を話してくれた。採掘場から二時間ほどの山道に、Cランク相当の魔物が二体確認されていて、作業員が近寄れなくなっているという。ただし、その魔物は以前はその場所にいなかったものだという話で、最近になって山の奥から下りてきたらしい。
「魔脈の歪みが原因だと思います」と蒼は言った。「王都の炉で逆転が起きていた影響が、地方に残っている可能性がある」
「王都の炉?」ハルクが眉を上げた。「お前、そんなものに関わってたのか」
「色々あって」と蒼は短く答えた。
「色々ってなんだよ」
「王都に着いてから炉の封印が止まりかけていることがわかって、止めてきました」
ハルクがしばらく蒼を見た。それから少し笑った。「Gランクのくせに」
「今でもGランクです」
「本当に何なんだお前は」ハルクが頭をかいた。「で、その魔脈の歪みが原因なら、魔物の問題はどうすればいい」
「完全に解決するのは時間が必要ですが」と蒼は言った。「魔物を退けることはできます。その依頼、一緒に受けていいですか。俺たちも山道を通る必要があるので」




