第五十一話「次の出発」
王都に来てから、どのくらいの日数が経ったかを蒼は数えた。アルガを出発したのが転生から一週間後で、途中の街や道中を含めて王都に着くまでが三日。それから炉の問題が解決するまでが二十二日。合計すると、転生からまだ一か月も経っていなかった。
それが信じられなかった。
転生した日の自分を思い出した。森の中に放り出されて、熊みたいな魔物に殴られて、ステータスは全部F。リーナに拾ってもらわなければ、あの日のうちに死んでいた。今のステータスを確認した。
────────────────────────
天宮蒼
体力:C 筋力:D− 速度:C−
魔力:0 魔法適性:なし
スキル:《限界突破》《知識蓄積》
────────────────────────
まだ低い。魔力はゼロのままだ。ただ、一か月前と比べれば別人に近かった。
王都での仕事は一段落した。炉の封印は維持されている。ヴァルク村の記録復元はガーレン局長が進めることになった。マルクスの処遇はライゼルと局長が判断する。アリエルは離宮を出て、カインのそばで生活できるようになった。ヨルダ老侍女は引き続き観測の役割を続ける。
自分がここに留まり続ける理由が、なくなっていた。
────────────────────────
リーナに話したのは夕方だった。
「王都を出ようと思います」と蒼は言った。「残された記録の調査と、ラーデン一族の謎の続きが、王都の外にある気がします。それと、もっと強くなる必要があります」
「どのくらい強くなりたいの」
「まだわかりません。ただ、炉の問題の後ろに、百年前の改修を主導した誰かがいます。マルクスもヴァーン老人も、その計画の実行者に過ぎなかった。計画の最初に何があったのかが、まだわからない」
「それを調べに行く」
「はい」
リーナが少し黙ってから言った。「どこに行くの、一緒に行く」
当然のような言い方だった。蒼は驚いて、それから笑った。
「北部の山岳地帯が最初の目的地です。消された集落の痕跡が残っているかもしれない」
「わかった。準備する」
────────────────────────
エムとカインに出発を告げた。
エムは少し考えてから言った。「私も行きます」
「アリエルさんは?」
「殿下がいる。カインもいる。私は行ける」
「危険です」
「あなたに言われたくないです」とエムが静かに言った。珍しく、はっきりとした言い方だった。
カインは蒼の手を握った。「世話になりました。アリエルを守ってくれたことは、一生忘れない」
「カインさんこそ、最後まで一緒に戦ってくれました」
「またどこかで会いましょう」カインが少し笑った。「あなたはまた何か大きな問題を引き起こす気がします」
「そういうつもりはないんですが」
「そういうつもりのない人間が一番そうなる」




