表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「全ステータスF・魔力ゼロで転生したが、殴られるたびに限界を超えるので問題ない」  作者: ラーメンが好き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/101

第四十八話「王城の老侍女」

 王城に入ったのは翌日の午後だった。

 ライゼルが手配してくれた。殿下が軍を引いたことで、管理局と王家の関係が一時的に改善していたおかげで、入城が比較的スムーズに進んだ。蒼とリーナ、そしてカインが同行した。

 王城の奥の区画は、外の喧騒と切り離された静かな場所だった。石廊下が続いて、高い天井から差し込む光が床に縞模様を作っている。歩くたびに靴音が響いて、蒼は無意識に足元を気にした。

 現国王の寝室の近くに、小さな部屋があった。そこに老侍女はいた。

 七十代か八十代か、正確にはわからない。白髪を丁寧に結い上げて、背筋が真っ直ぐだった。蒼たちが入ると、顔を上げた。その目が鋭く、何かを見透かすような光を持っていた。

「転生者が来たんですね」と老侍女は言った。挨拶よりも先に。

「はい」と蒼は答えた。

「炉の件は聞きました。うまくやりましたね」

「あなたは知っていたんですか、炉のことを」

「五十年ここにいて、知らないことはほとんどない」老侍女が静かに笑った。「ラーデン、という名前に心当たりがあって来たんでしょう」

────────────────────────

 老侍女の名はヨルダという。ラーデンは名字ではなく、彼女の一族が代々継いできた称号のようなものだと説明した。

「四つの一族の最後の一つ、ということですか」と蒼は聞いた。

「そうです。ヴァルクが炉の接続を担い、フォーセルが炉の守護を担い、アーヴィンスが炉の記録を担い、ラーデンが炉の観測を担った。それが本来の役割分担でした」

「観測というのは」

「炉の状態と、封じられた存在の状態を、常に把握すること。異常が起きたとき、最初に気づく役割です」

「それをずっとやっていたんですか、五十年間」

「私だけでなく、代々続いています。百年前の改修以来、観測が一番重要になった。改修によって炉が正常ではなくなったので、いつ問題が起きるか、常に見ていなければならなかった」

 リーナが口を開いた。「私の名前、フォーセルというのが石板に刻まれていました。それについて何か知っていますか」

 ヨルダがリーナを見た。「知っています。ただ、今のあなたに話しても、信じられるかどうか」

「話してください」とリーナが言った。迷いのない声だった。

「あなたの祖先は、炉の守護者として代々剣を持ち続けた一族です。その力は血の中に残っています。あなたが炉に近いところにいたのは、偶然ではない」

────────────────────────

 帰り道、リーナはずっと静かだった。

 廊下を歩きながら、蒼は横の彼女を見た。何か言おうとして、やめた。こういうときに言葉をかけることと、黙っていることのどちらが良いかを考えた。

 城門を出たとき、リーナが言った。

「運命みたいな話は、あまり好きじゃないんですよね」

「そうですか」

「生まれた家とか、血のつながりとか、そういうもので全部が決まっているような感じが、どうも苦手で」

「それはわかります」と蒼は言った。

「でも」リーナが少し間を置いた。「炉を守りに行きたいと思ったのは、本当のことだったので。理由があってもなくても、自分がそう思ったのは事実だから、まあ、いいかと思います」

「それで十分だと思います」

 リーナが前を向いた。「あなたは運命とか信じる方ですか」

「必要だったから届いた、と炉に言われました。それは運命に近いかもしれないですが」蒼は少し考えた。「それでも、最後に動いたのは自分の意志なので、運命だけとは思っていないです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ