表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「全ステータスF・魔力ゼロで転生したが、殴られるたびに限界を超えるので問題ない」  作者: ラーメンが好き


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/100

第三十一話「村の記憶」

 七日後の朝、蒼は一人で炉の地下に降りた。

 クルトが同行しようとしたが、今回は断った。炉が話しかけてくる可能性があること、そのためには集中が必要なことを説明すると、クルトは渋い顔をしながらも地下の入口で待つことにしてくれた。

 階段を降りると、地下の空気がいつもより重く感じた。炉の光が揺れていた。近づくと、表面の古い文字が強く輝いた。

 蒼は炉の前に立って、意識を集中させた。前回と同じように、頭の中で語りかけた。

「来ました」

「早い」と炉が答えた。「思ったより早く来た」

「残り十一日しかありません」

「そうか。では話そう」

────────────────────────

 炉が語り始めたとき、言葉だけでなく映像のようなものが流れ込んできた。

 村だった。

 緑の丘に囲まれた小さな村で、石造りの家が並んでいて、広場に井戸がある。子供が走り回っていて、老人が日向で座っている。ごく普通の、穏やかな村だった。それがヴァルク村だと、蒼は直感でわかった。

 映像が変わった。夜になっていた。村の外から松明の列が近づいていた。軍の装備をした男たちで、その数は村人よりずっと多かった。

 そして、燃えた。

 蒼は映像を見ながら、体の奥が重くなる感覚があった。これは歴史の記録だ。百二十年前に実際に起きたことだ。

「なぜ炉がこの記憶を持っているんですか」と蒼は聞いた。

「この炉はヴァルク村の人々が作った。彼らの記憶が炉の中にある」

「村が消えた理由は」

「炉の真実を知っていたから。調律炉が何かを封じているということ、その封じられた存在が何かということ。それを知っている人間が邪魔だった」

「封じられている存在は何ですか」

────────────────────────

 炉が少し沈黙した。光が一度強くなってから落ち着いた。

「封じられているのは、この世界の創造の痕跡です」

「創造の、痕跡」

「この世界は自然にできたのではない。誰かが作った。その作り手がいなくなるとき、世界を維持するための力を炉の下に封じた。その力は定期的に解放して調整しなければ、時間とともに世界の構造を歪める」

「だから調律炉は封じるだけでなく、解くためにもある」

「そうだ。百年に一度、封印を一時的に開いて調整する。それが本来の炉の役割だ。しかし百年前の改修は、その調整を永久に停止させて、力を一気に解放するための準備だった」

「力を一気に解放したら何が起きますか」

「世界の創造の痕跡が一か所に収束する。それを手にした者は、世界の構造を書き換える力を得る」

 蒼はしばらく黙った。世界の構造を書き換える力。それが、百年前から続いてきた計画の目的だった。

「止めることはできますか」

「できる。ただし炉の逆転を止めて、調整機能を正常に戻す必要がある。それには」炉が答えた。「お前の《知識蓄積》と、ヴァルクの素養と、もう一つが必要だ」

「もう一つは何ですか」

「本気で、この世界を守りたいという意志だ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ