第19話:崩壊の序曲、選択の時【共通ルート最終話】
「消えろぉぉぉッ! 私の世界に、貴様らは不要だッ!!」
シルヴァリオの絶叫と共に、黒い魔力の奔流が放たれた。 それはもはや魔法の形を成していない。純粋な破壊のエネルギーだ。
「チッ、ヤケクソになりやがって! 防ぎきれねえぞ!」 レオンハルトが大剣で受け止めるが、その足がジリジリと後ろへ滑る。彼の膝が震え、口端から血が流れる。
「ステラ嬢! 核の臨界までもう時間がない! あと数秒で王都ごと吹き飛ぶ!」 アレクシスが叫ぶ。彼もまた、シルヴァリオの攻撃を逸らすのに精一杯で、祭壇へ近づけない。
ステラは、嵐のような魔力の中で立ち尽くしていた。 彼女の脳裏に、世界の「構造」が鮮明に浮かび上がる。 ――分かってしまった。 この暴走を止める方法は、一つではない。けれど、どれを選んでも何かを犠牲にし、何かを得ることになる。
視界がスローモーションになる。 三人の男たちの声が、遠く、けれど鮮明に聞こえる。
レオンハルトが、炎のような瞳で叫んでいる。 『俺を使え! 全部ぶっ壊して、ここから逃げるぞ!』
アレクシスが、悲痛な決意を込めて見つめている。 『私と共に来てくれ! 正しい理で、この国を救うんだ!』
そして、シルヴァリオ。 黒い闇に飲まれながら、その赤い瞳だけが、迷子の子供のように泣いていた。 『……逝かせない。私を置いていくなら、道連れにしてやる……!』
私の魔力は残りわずか。 使える「奇跡」は、あと一回きり。 私は、息を吸い込んだ。 そして、運命を決める名前を叫んだ。




