表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として  作者: 藤芽りあ
第3章 怖がらず動け、自分!

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/46

第45話 変革した未来へ(2)




 俺が陛下に留学を正式に断りを入れた数日後、王宮で宰相閣下と、アレク殿下、リアム様、ノア様立ち合いの元、ラキーテ公爵と面会することになった。

 なんでもラキーテ公爵の方から打診があったようだった。

 交渉などは、全て宰相が間に入ってくれたために、城で会うことになったのだ。

 本当に有難い。

 名目は、アレク殿下のパーティーでの件での謝罪ということだったが、俺は今にも倒れそうなほど緊張していた。

 

「そう緊張するな。ラキーテ公爵の望みは『蜜の花を適正価格で自分のところにも流してほしい』ということだろう」


 アレク殿下が緊張している俺に向かって言った。


「そうそう、レオはラキーテ公爵に何をお願いしようかな~~って考えればいいんだって」


 ノア様も軽い様子で言った。

 そう、俺は幸運にもラキーテ公爵と交渉をする機会を得たのだ。

 俺には、どうしても公爵に頼みたいことがあったのだ。


(どれほど怖くても、絶対に提案する!!)


「はい……しっかりと望みを伝えます」


 俺が胸を押さえていると、執事が「公爵閣下がお見えです」と言った。

 アレク殿下が「通せ」と言うと、しばらくしてラキーテ公爵が入って来た。

 公爵など、俺のような立場の人間からすると雲のまた上の人だ。

 正直、緊張して胃ではなく、全身に血液を送る心臓が痛い。


「随分と大勢で立ち会われるのですな」


 ラキーテ公爵は俺たちを見渡しながら嫌味っぽく言うと、俺の代わりにノア様の父の宰相閣下が答えてくれた。


「ええ。まだレオナルド殿は学生ですからな。今回の蜜の花の件。ノルン伯爵家は全面的にレオナルド殿に任せている。そして私はネーベル公爵より、仲介をするように依頼を受けた」


 実は蜜の花の件、伯爵家よりも位の高い家と交渉する場合、宰相が立ち会ってくれてたり、間に入って調停してくれている。本来なら莫大な費用がかかるが、その辺りは蜜の花を優先的に原価で回すということで了解を得ているのだ。


「ほう……そうでしたか。まぁ、これほどの代物だ。それが妥当でしょうな……」


 公爵は、俺をじっと見ると口を開いた。


「では学業の邪魔をせぬように簡潔に言おう。先日は娘が無礼な真似をしてすまなかった。あれから蜜の花について調べさせてもらった。こちらもぜひ蜜の花を適正価格で仕入れたい。そこで、お詫びと今後の友好の証として、そちらの要求を一つ聞き入れよう」


 俺は拳を握ると、公爵を見ながら言った。


(言え、震えるな、言え!!)


「それでは申し上げます。ラキーテ公爵のベア二クル渓谷の整備の許可を」


「ベア二クル渓谷の整備?」


 公爵が眉を寄せたが、アレク殿下が慌てて声を上げた。


「ベア二クル渓谷?? レオ、なぜそのような願いなのだ?」


 実はベア二クル渓谷は西に領を持つ者は、王都に用事がある時に必ずあの場所を通るが、整備されていないので、事故が多いのだ。

 ちなみに7年後……俺の父とオリヴァーが、岩が転げ落ちて来て亡くなる場所でもある。

 俺はもう……二人の父を失いたくはないのだ。


(あの場所が整備されれば、未来を確実に変えることができるはずだ!!)


 俺が挑むように公爵を見つめながら言った。

 

「あの場所は、西に住む者の交通の要。ですが、崖崩れなどが多く危険です。お願いです。どうか閣下の領民、及び、我々を含め西に住む多くの民のためにもどうぞ、ベア二クル渓谷の整備許可を!!」


 公爵はしばらく考えた後に口を開いた。


「整備の許可ということは、整備はあなたがするのか?」


「はい、もしも許可を貰えば、俺が整備したいと考えています」


 蜜の花で随分とノルン伯爵領は潤った、だが、どうしてもベア二クル渓谷を通る必要があり流通に支障をきたしているのだ、整備をしたくとも、ラキーテ公爵領なのでどうにもできなかったのだ。

 すると宰相が口を開いた。


「確かにあの場所で多くの事故が起こったり、荷が盗まれたり問題も起きている。まさか、そこをレオナルド殿が? あの場所が整備されれば、西に住む多くの者の流通効率が上がる!! もしもレオナルド殿が、公爵閣下を差し置いて整備すれば……陛下もさぞお喜びになるでしょうな」


 俺が真剣に見つめると、ラキーテ公爵がギロリと音がしそうなほど俺を睨みながら言った。


「言ってくれる……」


(公爵がかなり怒っている!!)


 俺が震えていると、公爵が大きな声で笑った。


「あはは、子どもの欲しがるものだ、大したことはないだろうと高を括っていたが……まさか、ベア二クル渓谷の整備とは……これは随分と高くついてしまった」


 笑う公爵を皆で唖然として見つめていると公爵真剣な顔をした。


「レオナルド殿、ベア二クル渓谷、早急に整備してやる。だから蜜の花、頼むぞ」


「よろしいのですか!?」


「ああ。ノルン伯爵家に整備させたとなっては、公爵の名が廃る。そうだな……2年……いや、1年後には整備を終えよう。それに領民も喜びそうな案件だ。だが……望みが道の整備か……あなたのような学生のいるこの国の未来は明るいな」


「1年後に整備が終わる!? ラキーテ公爵本当にありがとうございます!!」


 そして俺たちは、宰相閣下の立ち合いの元細かな取り決めをした。

 その中で公爵は確かに『ベア二クル渓谷の整備』を約束してくれた。


 この瞬間、未来が……確実に変わったのだった。

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ