第37話 超消極な本音と動機
この国から出たことのない俺は、正直に言うと外に出るのが怖い。
怖くてたまらない。
だが……
特別留学生になれば、確実にこれまでの未来と変わる……
毒杯を煽る未来とは別の未来が――来るだろう。
とんでもなく名誉な職に就けるというのは、この際、恐れ多いのでおいていくとして、私が隣国へ行けば、弟のアルフィーに領主を任せる絶好の機会ではないか!!
でも一方で、これほど大事なことを自分だけで決めてもいいのかを悩む。
(父に相談したいな……)
以前はあれほど憎んでいた父だが、蜜の花の時や、お茶会の時も頼りにしてしまった。そして今も相談しなければと言いながらも父のアドバイスを求める自分に気付いた。
そしてパーティー会場に戻った後に、俺たちは小休憩を取るというアレク殿下も交えて控室で話をする時間があった。
するとアレク殿下はここまでの経緯を聞き驚きながら言った。
「レオに嫌がらせ? それはなんとも許し難いが……レオが特別留学生?! それで、レオはどう考えているのだ? 色々と思うところはなるが、レオの考えを優先するべきだろう」
俺は皆を見ながら言った。
「特別留学生のお話……父と相談してお返事をさせて頂いてもよろしいでしょうか?」
きっとこんないい話を貰ったら、みんなその場で即決するのかもしれない。
決断力がないと思われるのを覚悟で言った。
ところがエリザベス様は、嬉しそうに笑いながら言った。
「そう、わかったわ」
エリザベス様がそう言った後に、アレク殿下が俺を見ながら言った。
「レオ、はっきりと言うと……私はレオには国内に残ってほしい。我々と卒業まで共に学び、そして私を助けてほしいと思っている。だが……レオにとってまたとない機会だとも思うのでレオが後悔の無い選択をしてほしい」
一瞬、『私を助けてほしい』と言われて、驚いたが、この国にいれば皆アレク殿下の臣下となるので、自分を助けてほしいと言う言葉に深い意味などないだろう。
リアム様も声を上げた。
「レオ、私も隣国には行ってほしくはない。でも、レオならきっと隣国でも活躍するだろう」
「そうだね。ただ……僕はレオと一緒に卒業したいな」
ノア様もそう言って息を吐いた。
キャリー様はただひたすら俺を見ていた。
「少し考えてみます」
俺がそう答えると、エリザベス様がリアム様と、ノア様とキャリー様を見ながら言った。
「さて、とりあえず特別留学生の話は置いておいて……先ほどの失礼な方々への指導、手伝って頂けるかしら?」
(手伝う?? 何を手伝うのだろうか?)
俺が首を傾けていると、リアム様が悪い顔で言った。
「そうですね~~。牽制のためにも今のうちに動いておきましょうか……」
(牽制? 動く?? 本当に何の話だ!?)
俺は、エリザベス様とリアム様が何のことを言っているのかさっぱりとわからない。ところがノア様も話の意図を理解してようで、悪い顔で笑った。
「そうだね。それに……我が国の王子殿下の誕生パーティーの品位を落とした責任は取ってもらわなきゃね。じゃあ、まずは……」
話が見えないが、エリザベス様やリアム様やノア様が何か相談を始めた。
どうしようかと思っていると、キャリー様に腕を引かれた。
「レオ様」
「はい」
俺はキャリー様の顔をまっすぐに見ながら返事をした。
キャリー様は真剣そのものと言った顔で必死な様子で口を開いた。
「レオ様は、その……エリザベス様が好きなのですか?」
なぜそんなことを聞くのだろう?
俺は全く意味が分からなくて困惑していると、キャリー様が真剣な顔で言った。
(これはどういう意味だ? 何と答えればいい??)
俺がどう答えるべきかを考えていると、キャリー様が声を上げた。
「私は、レオ様をエリザベス様に渡したくありません!!」
その瞳があまりにも美しくて……思わず見とれてしまったのだった。




