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神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として  作者: 藤芽りあ
第3章 怖がらず動け、自分!

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第36話 風が吹けば令息が認められる?



 リアム様の説明をまとめてみた。

 特別留学生とは……


・留学にかかる全ての費用を国が出してくれる。

・特別留学生は留学期間を終えたら国籍を選ぶことができる。


 リアム様が「最後に……」と言って教えてくれた。


「つまり、レオが望めば隣国に国籍を移し生活することも可能だ。しかも特別留学生枠での移住の場合、貴族籍も貰えるので隣国でも身分の必要な職に就くことも可能だ」


 俺はあまりにも現実離れした話に目を回しそうになった。

 

 確かに俺は一度目の失敗を繰り返さないため、アルに領主を任せようと思った。

 そのために自分は家から出て、生活できるように文官や騎士になろうと決意したが、まさか隣国に移り住むという選択肢が与えられるとは思わなかった。

 俺はエリザベス様を見ながら言った。


「あの……どうして私をそのような特別留学生に選んで頂いたのでしょうか?」


 するとエリザベス様が真剣な顔で言った。


「特別留学生を選ぶのってとても大変なのよ。ある程度双方の国にメリットがなければならないけど……スパイ活動なんかをされると困るわけ。その点、レオは蜜の花を保護すると決めた着眼点や、学園での成績。なにより、とても公平で紳士的だわ」


 信じられないほど褒められているが……

 いいのだろうか!?


 エリザベス様が俺を見ながら言った。


「それにね……私、野菜が食べられるようになったの」


「え?」


 俺は突然、エリザベス様が口にした言葉の意味がわからなかった。


「あなたが助言したのでしょう、レオ? 野菜のケーキが野菜嫌いな人に野菜を好きになる可能性があるって……私、野菜がどうしても苦手だったのだけど、野菜独特の苦みもクセもケーキで少し慣れれば……食べられるようになったわ、全部というわけではないのだけれど……」


 そう言えば、ノア様の家のお茶会に招かれた時に俺は野菜のケーキを食べた後にアルの野菜嫌いを思い出して口にしたかもしれない。

 だが、あれは俺は全く関係ない。


「ですが、それは野菜のケーキを作られたノア様とキャリー様が凄いのであって、私ではありません!!」


 俺が声を上げると、ノア様が口を開いた。


「レオ。俺たちは『エリザベス様は野菜が嫌いだから野菜のケーキをお出しするのはやめよう』と言っていたんだ」


 ノア様の後にキャリー様も頷きながら言った。


「ええ。そうなのです。野菜が嫌いな方には野菜は出さない、だから『お試し下さい』とも言わなかったのです」


 確かに野菜が嫌いな人に野菜は出さない。

 でも、みんながそうやって野菜が嫌いだからと野菜を出さなければ、野菜を食べる機会はないのかもしれない。

 するとエリザベス様が俺を見て口を開いた。


「だから、あなたに一度会いたいと、アレクにお願いしていたのですわ」


(なるほど、それでエリザベス様が俺の家のパーティーにお越しになったのか……)


 俺は自分の発言が誰かに影響を与えていたことを不思議に思った。


「会ってみたら、あなたは想像以上に穏やかで冷静な人だったわ。レオナルド、はっきりと言うわ。留学してくれたら、大公家の人間として相応しくなるように勉強してもらうわ」


「……え?」


 全く想像もしていなかった言葉に、声を上げるとリアムが口を開いた。


「エリザベス様。ここまでにして下さい」


 するとずっと唖然としていたノア様も声を上げた。


「あ、ああ。そうだね」


 二人が会話を終わらせようとした時だった。

 キャリー様が真っすぐにエリザベス様を見つめて尋ねた。


「今の……どういう意味ですか? なぜレオ様を……もしかして、エリザベス様……」


 俺は思わずエリザベス様を見た。


(え? どういうことだ?? つまり俺は留学したら将来隣国の大公家に仕えるってこと?? それは凄いな……)


 俺が大公家に仕えることになるとは思わずに驚いていると、声が聞こえた。


「……ええ、そのつもりよ」


 エリザベス様がまっすぐにキャリー様を見て答えるとキャリー様が唇を噛んだ。


「イヤです。そんなの容認できません!!」


「あなたが口を出すことではないわ」


 睨み合う二人に、リアム様が声を上げた。


「お二人ともそこまでです」


 そしてノア様も真剣な顔で言った。


「キャリー。やめなさい」


 エリザベス様が「そうね」というと、キャリー様は「はい」と言って静かになった。

 そして俺たちは無言のままアレク殿下のパーティー会場に戻ったのだった。


 俺は、新たに隣国の大公家で働くという選択肢が出来て驚きながらも将来について考えたのだった。


 


 

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