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明るい太陽みたいな君のおかげで

作者: 人参大根

 好きになるということ。それは別に特別なことでは決してない。理性のない獣だって虫だって、日がな愛を求めあっている。しかしながら、我々理性を持つことを自称する人間はどうだろうか。恋愛?なにそれおいしいの?を地で行く小心者のなんと多いことか…。そして、その逃げ場として、陰キャ、オタク、ニート、そんな仲間グールプなんかつくちゃって。

 

 まぁ、かくいう自分もそんなグループの一員だったりするんだが。そうなるべくして生まれたとも思うよね。小学校、中学校でも友達ができず、もちろん恋人だって…。つれぇよ。でも!だからこそ、高校では!なんて思っていた自分がいたよね。そう、入学式の次の日くらいまでかな?いや当日だったかも(笑)。なんだかなぁ(泣)。情緒不安定にもなるよね!?意気揚々と入ったクラス内ではもうグループが出来上がってたなんて。なんでなんだろう?もう7月に入るけどいまだに謎だよね。

 

 別に人としゃべれないってわけじゃないと思うんだ。きっと。話しかけてくれさえすればね?きっと、この口は流ちょうにしゃべってくれるよ…。いや、わかってる。これが言い訳なんだってことも。実は自分が一番逃げ場にすがっている小心者なんだってことも。

 

 さてと、こんなことを考えてるうちに午前中の授業は終わっていた。昼休みだ。さて、我が小心者の仲間たちよ。みんなは昼休みどう過ごしていたかな?僕はね、結局教室の自分の机を使うのが一番いいって気づいたんだ。よく、アニメなんかでは屋上だとか、人の少ない中庭だとか、トイレだとか、が使われている。けどね?よく考えてみてほしい。実際に一人で食べているところが見つかったら…。僕、恥ずかしくって死んじゃうよ。本当にぼっちなんだって、思われるじゃん!絶対!まぁ、こんなことを考えているやつが往々にして陰キャとか呼ばれるんだけどね。

 

 昼休み中、クラスでは机くっつけて食べる男女男男女男女たちは、本当に楽しそうだとは自分も深く深く思う。そして、一人の自分が寂しいやつなんだってこともわかっているのだ。

 

 「ねぇ、この席って誰?」

 

 そう、寂しいやつだよなぁ。

 

 「ねぇってば、斎藤くん?」


 うちのクラスって斎藤二人もいたっけな?あっ、ちなみに僕は斎藤陽介です。名前に陽なんて文字入れやがってよ。親の期待はつらいぜ。

 

 「ねぇってばー」


 肩を叩かれ、ようやく前を見ると名も知らぬ女子生徒が前の机を指さしながら自分に呼びかけていた。

 

 「あ、はい?」

 「だからー、この席誰の?」

 「あっ、えっと、前野くんのです。」

 「ん、ありがと」

 

 僕が言ったことに満足そうにうなずくと、

 

 「前野ー!この席使っていい?」

 「いいぞー」

 

 いやぁ、ほらね?喋れたでしょ?あの子どんな名前なんだろ。かわいい子だったなぁ。え?女の子なんてみんなかわいいだろって?その通りだよ!僕なんかがね、選り好みしちゃだめだね。

 

 「うわぁ斎藤君のお弁当綺麗だねー!」

 

 おいおい、斎藤君また話しかけられてるよー。お弁当で会話のネタになるなんてなぁ。僕もお弁当だよ!!

 

 「自分で作ってるの?まぁ男の子だしそれはないか。」

 

 いやいや、最近はね男の子でもお弁当くらい作る時代ですよ。僕だって作ってるんだから。

 

 「一口もらっていい?いいよね!?」

 

 その直後、僕のお弁当箱からハンバーグは消えた。え?顔を上げるとおいしそうに咀嚼を繰り返しているさっきの名もなき女子生徒がいた。あーそうだ。斎藤君はこのクラスに一人だけだったわ。てか、よく全くしゃべったことない異性のお弁当食えるな。やべぇやつじゃん。

 

 「ん-!おいし!これ、やっぱり冷凍食品じゃないね。私の見る目は間違ってなかったね。」

 「あ、う、うん。僕が作ってるから…。」

 「え?がち!?やばーー」

 

 そうだろう、そうだろう。気持ち悪いよな。陰キャが料理するなんて。


 「すっごいじゃん!私全然できないのに!」

 「やっぱり、君はすごいと思ってたんだよね。私の見る目は間違ってなかったね。」

 

 なんだろう。自分の見る目にすっごい自信をお持ちの方で。尊敬するなぁ。明るくて、かわいくって、自信まで持ってる。僕とは真反対だ。

 

 「もっと、自信もっていいと思うよ!ほら、下ばっか向いてないで!」

 

 それができたら、苦労しないだろう。今までの人生、下を向き続けてきた。アスファルトを見続けてきたんだ。

 

 「もう、下向かないでって言ってるのに。ほら、私を見て?」

 

 顔を上げて見たのは、さっきの名もなき女子生徒の顔で、それはアスファルトにはない輝きを持っていて。青空みたいな、太陽みたいな、夜空の星みたいな。

 

 「上向けるじゃん。そのほうがいいよ。じゃーね。」

 

 そう言い前野君の席を運んで行った。




 それからというもの、僕の人生は変わったんだと思う。いや、運命はもとからこうだったんだ。そう思う。彼女のことがあってから、僕は自分磨きをはじめた。勉強だってがんばったし、容姿だって気を遣うようになった。それから、出会いのきっかけだった料理も。前を向いて生きることができるようにもなった。人生って、ちょっとのきかっけが必要なんだな。好きになることは別に特別なんかじゃない。けど、このきかっけは特別だったんだと信じたい。


 あ、名もなき女子生徒の名前だって?もちろん、名前はわかった。ん?知りたい?そうだな、今の名前は。さいt――

 

 「よーくんー!ハンバーグ食べたいなー」


 あぁ、呼ばれちゃったよ。幸せそう?もちろん幸せだよ。でも、きっと今逃げてしまっている人にも、きかっけは必ず訪れるから。そう信じてたほうがいいから。

 

 「ねぇーってばー」

 「おう!ハンバーグだろ?」

 「うん!」

 「あのお弁当のハンバーグをおもいだしちゃって(笑)。」


 

 

 

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