薬草採取!
依頼を受けて、街の外に出た。
街から少し離れた森に薬草は生えている。ただ、街の近くは孤児が生活費を稼ぐために取りに来るのがどこの街でも通例だ。だから戦闘能力のある人は森の中に入る。
ここの森は街の兵士が定期的に管理と称して魔物の駆除を行っているので魔物との接敵率は少ない。
それでも、ここは町の外。何があっても不思議では無いので短剣を構えておく。
「あ、あった」
少し森に入るとすぐに薬草を見つけた。直ぐに近づこうとして違和感に気がつく。
ここは『綺麗すぎる』
普通、ここまで街に近い所は誰かが来てとっていくはずだ。それがこうも綺麗に生えているのは違和感がある・・・。
少し離れたところから拾った石を投げると薬草のある場所から網が現れた!!
このまま行けば確実に捕まっていた・・・。どう考えても罠。狙いはなんだ?落ち着け、魔物の可能性もある。ただそんな知能の高い魔物がいたら大問題だ。
「・・・」
一先ず、気配を消して近くで見守る。
「ぐぎ?」
現れたのは3匹のゴブリン。
ゴブリンとは高い生殖能力を持ち、例え異種族でも子を成すことが出来る。知能は5歳児程度だが、群れるので定期的な駆除を行い、管理することが必須の魔物だ。過去には過度な繁殖により飢餓状態になり共食いを起こして特殊個体を生み出した例もある。
(ゴブリンに罠を作るほどの知能は無いはず・・・人間の真似をしている?いや、それにしては確実に人間を捕まえるための罠だった・・・まさか!)
可能性としてひとつの考えが浮かぶ。
(特殊個体がいる?ゴブリンに罠を教えれるほどの個体・・・まずは報告が先か・・・)
ガサッ
「ぐぎっ!?」「ぎゃっ!」「ぐぎゃぁ!」
下がる時に葉を揺らしてしまいゴブリンに気づかれた。
「・・・くそ、仕方ないか」
武器持ちのゴブリンは2体・・・最速で仕留める必要があるのは・・・武器を持っていないゴブリン!!
冒険者ギルドでリオがAランク冒険者でも見えないほど早く動けた理由。それは『身体強化』の魔法によるものだ。本来ならば身体能力を向上させて動きやすくするものだがリオは魔力を局所的に使うことで異次元の速さ、火力を得ている。
「シッ!!」
強化した部位は足。
一気に距離を詰めて、強化部位を腕に変更。
「ぐきぃぃぃ!!」「ぐぎゃぎゃ!?」
武器を持っていなかったゴブリンの首を描き切った。武器を持っていないゴブリンの多くは鳴き声で付近のゴブリンを呼ぶ性質がある。
「これでよし・・・」
増援の可能性は限りなく減った。残りのゴブリンは怒りに身を任せて近づいてきている。
「これくらいなら問題ないよな」
2体を処理したあと、急いで街に戻る。
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街に戻り、ゴブリンのことを報告するとギルド内が大混乱した。
「すぐに斥候を派遣します!」
受付嬢は緊急依頼として酒場にいた先輩冒険者に依頼をしていた。
俺は参考人として個室に通されることになった。