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192  作者: Nora_
9/10

09

「まりんさあ、恋愛ってむずくない?」

「吉柳君と一緒にいませんよね」

「だって忙しいもん! それに時間があっても来てもらうのは違うしさ……」

「乙女ですね」

「そりゃまあ私も女だからね」


 学校で会えるというのはかなり大きなことだった。

 中学生と高校生でも差に少しもどかしくなるぐらいなのに社会人と高校生ということならもっと大変だろう。


「ちなみにあのとき無理やり頼んで連絡先は交換できたんだけどさー、まだ一回も送れていないんだよ」

「絵を描くことが大好きな人ですからね、絵関連の話をしてみたらどうですか?」

「絵かあ、可愛いとかぶさいくとかそのまま感じたことしか言えないよ私は」


 いやまあ、その点については私だって変わらない、モデルが私ではなかったら可愛いと褒めまくっているところだ。

 いやでも、男の人ですら可愛く描けてしまえる吉柳君は本当にすごい。


「それと本気で一緒にいたいならメッセージを送るべきですね」

「だよね~、今回に限って言えばまりんの方が正しいね」

「……別に今回だけじゃないですけどね……」


 そりゃ間違ったことも言っているだろうけど対みさこさんやたいきのときに重ねているつもりはなかった、それどころか暴走しかかっている二人を冷静に止めることができていたと思う。


「まあいいや、いますぐに変わるわけでもないから若い子と遊ぶことに集中するよ」

「みさこさんも若いじゃないですか」

「自分と遊んでいたらやばいやつでしょうが」

「いまからご飯を作るので食べてください、それではっきりと言ってくださいね」


 これは逃げるためではなくお昼ご飯を作ろうとしたタイミングで彼女が来てしまっただけだった。

 動こうとしたタイミングでこれだと本当に困るからせめて連絡をしてからにしてほしいところだけど、残念ながら私相手にも送ってきたことがないのだ。

 

「おいおい、そんなにたいきじゃないと嫌なのかい?」

「違いますよ、吉柳君を呼んでおいたので待っていてください」


 で、これまた手を洗って動こうとしたところで吉柳君が到着……。


「ひ、久し……ぶりだね」

「そんなことはないですよ」

「そ、そっかな? あ、まりんはいまからご飯を作るみたいだから私の相手をしてほしいんだけど」


 い、いやいや、一人で相手をしたくないからって結局利用した結果がこれだからこれも感謝こそすれというやつだ。


「それならみさこさんも絵を描きませんか?」

「ええ!? わ、私に絵はちょっと……」

「大丈夫ですよ、楽しく描ければそれでいいんです」


 だ、誰だよこの人、なんか中高生の女の人に見えてくるんだけど……。

 このことは絶対にたいきに報告をしようと決めた。


「まりんも作り終えたら描いてくれよ?」

「うん」


 で、彼は年上が相手だろうが平常運転で安心できたのだった。

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