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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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ロットエアール子爵家 兄弟

「ルカ悪いが、ザエーカルとウルーナミを呼んで来てくれるか」

と、ミカエル様が指示する。



ザエーカル·ロットエアール子爵、現ロットエアール子爵家の次男で、ダーニーズウッド辺境伯領土内の貴族だ。

現当主 ギーベル·ロットエアールは父だが武術的な才能は無く、ここ王都に近い領地をサッチルド伯爵閣下に次いで、領主ロビン様から任されている。

父の補佐には次期当主である兄 ドルードウが担っているが、私と末弟のウルーナミは叔父に継いで警護第5団隊所属となった。

もう一人の弟は、文官資格を取り今は東側 ボドール辺境伯領土内の役所に勤めている。

それぞれの領地内には王都からの伝令や税収に領民の移動を記録するお役所があるが、その地の文官が任に付くと里心があるのと、癒着や身内の柵で犯罪に巻き込まれやすい。

お役所には、地元文官が1/3他領地文官が1/3

領地外の文官が1/3で構成されている。

このダーニーズウッド辺境伯領土内のお役所でも同じだ。


朝一にシアン国王陛下が、ダーニーズウッド辺境伯領地から王都へと関所を抜けられた。

定例会議を王太子ダニエル陛下に委ねられ、精気を養われたのだろうか?


次期領主 ミカエル様と4の1月の終わりに帰領される時には、シアン国王陛下の齢を感じておられるように見えたのだが。


長きに国政に尽力されて、王太子ダニエル陛下の成長を嘱目されていたが、目処がたたれたのだろうな。

昨日のシアン国王陛下は、齢を感じさせない若々しさも感じられたことは、何よりも喜ばしいことだ。


ザエーカルは執務室で、各部所の報告書が机の上に置かれているのを、手に取り思案に暮れる。

隊長は何もしなくていいと言うことは無い。一般の隊員の方が、自分の仕事の範囲が決まっていて専念出来ると思う。


特に第2団隊と第5団隊は、隊員の人数と団隊舎で働く所属員も多い。人選は厳密にされているが、入れ替わりは何処にでもあり得る。

各部所からの報告書が後回しに成っていたのも人の入れ替わりが続いたからだ。

今は4の3月で1の1月に向けての予算や人事などを事務があげてきたものに、目を通し確認する。副隊長のウルーナミもよく手伝ってくれるが、あれも事務事を進んで出来る方ではないからな。

と、ウルーナミが持って来ただろう報告書に目を通す。


……デーク、カリオン、マーズがこの前の関所当番だったのか。

交代前に領主邸まで走れば、キニルが休めと指示する筈だな。

あぁ……成る程……預かりになった経緯は分かったが、これは内の問題でもあるな。

例え、メアリー·ダーニーズウッド辺境伯令嬢であっても、手続き無しで通過させたとなっては、問題だ…………

今、ミカエル様が団隊舎にいらっしゃるが、ウルーナミがミカエル様の伝を加えているが、隊員の三人の責は無くても、経緯は口頭すべき事だな。

どう指導していくべきか…………関所門前でいたはずの隊員は誰だ?……追加報告書有で戻すしかないのか。


なんだ? ウルーナミの昨日の報告書が下になっているじゃないか、別に問題なかった筈だが? ……? ……?! …………??? 三人?

部屋への案内が三人?……後にミカエル様より報告書の件は、隊員達の責を問わない様に指示される……指示される……何を……指示される?



執務室のドアにノック音がした。ザエーカルの机上には、両端に書類の山と目の前の意味不明の報告書に手が止まっていた時だ。


「入れ」

と、簡単に返事をしたが、思考が止まっていたようだ。


……危ない。シアン国王陛下が立たれた後だから、良いと言えるが国王陛下に仕える侍従や騎士の中には子爵以上の身分の方々だ。

ダーニーズウッド領地内の伯爵閣下達は、前領主カール様や現領主ロビン様並みに気さくにされるが、他領地の方々はそうではない。

気を引き締めなくては、ミカエル様が王都に向かわれる準備を確認しなくてはと、椅子から腰を上げる。


許可が出てドアから入ってきたのは、ミカエル様に付いて王都に向かう筈のルカだった。


「ザエーカル隊長、ミカエル様がお呼びです」

と、ルカが言ってくる。


……なんだ? ルカは表情を出したりしないが、何か怒りが込もってないか?


警護第5団隊長をしているザエーカルだが、領主邸を護っている警護第1団隊の隊長は実力選抜であるが、本当の長はアートムだ。侍従という立場だが今までの実績と技術で、不動と言える。

その息子 ルカ。


「どうかされたのか?」

と、隊服の上着を持って、ルカに近付くと


「ウルーナミ副隊長はどちらですか? お二人にお話があります」

と、表情は相変わらずのまま聞いてくる。


「ウルーナミは、関所控えにいる筈だ。別邸から馬車が来る筈だからな」

と、ザエーカルが指示したことだから間違いはない。


「別邸からの馬車はもう着いています。私が行った方が早ければ、呼びに行きますが、他に方法があればお願い出来ますか?」

と、ルカが言ってくる。


「えっ? 分かった。直ぐに呼べるから少し待ってくれ」

と、持っていた上着をルカに渡す。


窓側に行けば、隊長執務室から関所がよく見える。関所には、二人の隊員が交代で立っている。ザエーカルが指笛で指示を出せば、返事が戻ってきた。


「待たせたな。ミカエル様の所に先に向かう。ウルーナミは後から来るから」

と、ルカから上着を受け取ると、着ながら2階の客室に足を向けた。





シアン国王陛下の出立が早まり厩舎に、馬車や馬の準備を急がせ関所で、お出迎えお見送りすることは年間そうは無い。


ミカエル様は団隊舎前で、シアン国王陛下と挨拶されれば、陛下が出立間際まで話をされている。

お見送りが終われば、今度はルカと話し込まれているが、私は関所まで共に行き別邸からの馬車が到着するまで、関所控えで待機する。


の筈が、王都側にはダーニーズウッド別邸からの馬車が到着している。

関所の隊員には、昨日からの指示でシアン国王陛下が入都されるまで、関所は開いていない。


関所には、必ず隊員が控えている。夜関所門が閉まっても関所控えには交代制で隊員が待機しているが、いつからダーニーズウッド別邸からの馬車は待っていたんだ?


王宮からの馬車を関所から見送れば、今度は領主ダーニーズウッド家紋の付いた馬車の入領手続きだ。


警護第5団隊の関所では、ダーニーズウッド領土から王都とユールチードゲ侯爵領土に行く、分岐点にある。

関所門が開くまでに待機している馬車は珍しくないが、王宮馬車が通過する時には待たされることが、一度でも通ったことがあれば説明される話だ。


商人や旅人などは、王宮馬車の前にも後ろにも付きたくはない。初めての者は仕方ないがダーニーズウッド領土に入るつもりなら知っていて当たり前の話だ。領主様の家紋が付いた馬車であればそこまで厳しくは無いが、痛くもない腹を探られるようなことは、誰もしたがらない。


警護第2、4、5団隊には、伝が回っている。朝一にシアン国王陛下が出立されることに変更になれば、王宮馬車より早く関所を通る予定にしていた商人や旅人が、列をなして待機している。

王宮馬車が通過して直ぐに、一般人を通す訳には行かない。王都行きには、一刻待ってもらい、ユールチードゲ侯爵領土に向かう者達の手続きをする。


色々変更があったが、一過性の事で何時もの事では無い。お昼前には落ち着く筈だと、関所控えに戻ろうとしたら、隊員が呼びに来た。


……ダーニーズウッド別邸の馬車がもう着いてるだと? 何でこんなに早くに?

ミカエル様はそんなことは仰らなかったが…………


「ケビン様、この時間でお間違いないですか? 私共が聞いていた時間ではないですが」

と、ウルーナミは聞く。


……この前と同じ事をされては堪らない。


「早くに着いただけだよ。王宮馬車が入都するまでは、待つつもりだったから、この前みたいな事はしないよ」

と、ケビン様が仰る。


「承知致しました。私は他の手続きがございますので、後は隊員に任せます。従って頂きます様にお願い致します」

と、言ってウルーナミは、関所控えに戻て幾ら程もたたぬ間に、直ぐに隊員が呼びに来た。


……今度は何なんだ!


「ウルーナミ副隊長、ミカエル様がお呼びです。ザエーカル隊長からの伝言です」

と、隊員が説明してきた。


……報告書の件か? そうだろうなぁ……


「直ぐに向かう。後は頼んだ」

と、関所を後にした。

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