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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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寄り道

『姉さん、元気だった?』

と、トキニルは姉のロッティナに声を掛けた。




初夏のダーニーズウッド辺境伯領土は、街道筋と何処を見ても青々とした自然と大河川シーガネ川の澄んだきれいな水が止まること無くゆっくり波立ちを付けて王都に向かって流れていく。


ダーニーズウッド辺境伯領土の街の中、街道筋を一本中に入ったら、飲食宿や土産屋と違い生活に比重を置いたお店や専門職業の建物が並んでいる。

その中にはノーマン医院が、隣の警備警護3団隊の施設と並んで住居と並び建つ。


ノーマン医院では、お昼からの午後診察が始まっていたが、患者の出入りは少なく、出入り口に馬車を停めても文句は言われまい。


待合室で女の人と話していた、看護婦の姉を見つける。


『あら! トキニルわざわざ寄ってくれたの?』

と、ロッティナがジャスパード語で話せば、旅装束の男性がロッティナの身内だと周りの患者や職員も理解する。


『もう暫くすると義兄さんも、帰って来るみたいだけど、手紙を預かってる』

と、トキニルは荷物の鞄を下ろし掛けると、


『何もここで渡さなくてもいいでしょう? 奥で待ってなさいよ。今日は忙しく無いから時間を作るわ』

と、医院の職員に指示を出して振り返る。


『いや、でも姉さん僕だけじゃ無いんだ。手紙を渡すだけだからと表に馬車とアキバ達を待たせている』

と、トキニルは遠慮すると断ってきた。


『アキバ……は、サッチの旦那だったわね。ルナーからは聞いていたけど、私は会っていないわよ。

さぁさぁ、トキニル会わせてくれる。タニロ兄さんが寄ってくれてた時は留守にしていたから』

と、ロッティナは弟のトキニルを連れて表に出る。


『いらっしゃい。貴方がサッチの旦那さん?』

と、馬車から降りて御者と話している青年にロッティナは声を掛けた。


急にジャスパード語で話し掛けられた2人は驚いて振り返ったが、看護婦姿の女性とトキニルを見て、繕った笑顔で挨拶をしてきた。


『ロッティナ叔母さんですね。サッチの旦那のアキバです。オレの弟とマーガル商会をしていて義父さんと一緒にカーディナル王国に行商しています。たまに寄りますのでよろしくお願いしますね』

と、照れ臭そうに頭を掻いて挨拶をしてきた。

御者台にはアキバの弟 メッシが頭をちょこんと下げてニッコリ顔で、


『弟です』

と、一言言ってきた。

ロッティナがお茶に誘ったが、辺りを見て回るとトキニル叔父さんとゆっくりで良いと言ってきた。


『あら、そうなの。じゃぁ、トキニルとお茶にするわ。今日は馬車で来る人は無いと思うけど、来たらこの前を空けてね。お客様より患者さんが優先だから』

と、馬車に残ると言ったマーガル商会2人に言って、トキニルを隣の住居に連れて入る。


『姉さん、義兄さんの手紙を読んでよ。何やら分厚い手紙になってるから』

と、ソファーに腰かけて荷物を降ろすなりトキニルは姉に手紙を渡す。


『ディービスからはトキニルとスキールに会えたことや手続きの事を手紙で知らせて来たわよ。ダーニーズウッド家の依頼の件で滞在が延びていることも』

と、ちゃんと旦那のディービスから知らせが届いて知っていると答えながら、手紙に目を落として読んでいく。


『姉さん? どうしたの? 顔が怖いよ』

と、トキニルは姉の表情が変わったことに、からかい気味に言って話を振る。


『ディービスったら、私に黙ってルナーの婿探しをしていたらしいの、帰ってから相談するって!』

と、ロッティナは弟に愚痴る。


『義兄さんも心配なんだよ。一人娘じゃ心配しない方が可笑しいと思うよ。

姉さんと相談するって連絡してくるんだから、そんなに怖い顔で義兄さんを出迎えないでよ。王都では義兄さんに良くして貰ったんだから』

と、笑いながらトキニルは姉を宥める。


『あぁ、そうだ。ダーニーズウッド家からトキニル宛にお金を預かっているのよ。貴方が寄ってくれると思わなくて、次回のタニロ兄さんが来た時で良いかと思っていたけど、渡せるわね』

と、ソファーから腰を上げて奥に取りに行く。


開いた手紙にトキニルは、無意識に目で追った。カーディナル語で書かれている内容に、ルナーの婿候補を探して王都の診療所を回ったと書いてある。義兄さんには良いと思える医師が居たこと、ルナーが気に入らなくても養子にしたい青年で有ることが、綴られていた。

その後に、医師会館にダーニーズウッド家の依頼をしてから帰領すると書かれて終わりの手紙に続きか書いてある。

慌てて追加した文章には、アイが生死を彷徨、強心剤を使用した。帰領は未定。


……義兄さんが、手紙を宿屋の主人に言付けと預けた手紙だったが、それまでも伝言や待ち合わせも宿屋の主人に言付けだったから、気にしていなかったが、姉さん以外の人が読むと駄目な手紙だった?


気にしていなかったから、アキバ達がいても義兄さんから姉さん宛の手紙を預かったから、帰国の途中でノーマン医院に寄れるかと相談したぐらいだ。

何回かあった義兄さんとの伝言に、アキバ達も深く聞いて来なかったが、スキールにはさりげなく聞いていたことは知っていた。


『トキニル、お金はカーディナル紙幣で良いの? 都合が悪ければタニロ兄さんに両替して貰いなさいね』

と、姉が奥から戻って封筒を渡してくるが、中身が厚い?


不思議に思い中を確かめると、こちらも手紙が入っている。


三枚の紙に、各々違う字で書かれた手紙は、一番目にダーニーズウッド家の執事ニックさんからの支払明細書だった。


二番目に前領主カール様からの、礼状でミカエル様から情報がダーニーズウッド領地に来ているという事と、王都からの手紙を付けるという内容だった。


三番目はお茶が美味しかったから、無事に王都に着けたと、短い文章が書いてある。


各々検閲に問題ない文書にしてあるが、姉の目は読んだら返せと訴えていた。


『えっと、姉さんは何処まで知っているの?』

と、トキニルは読み終わった手紙の一枚目だけを封筒に入れて、後の二枚はそのまま姉に手渡す。


『何処まで? カール様からはミカエル様からの報告を全て教えて頂いたから、トキニルが何故? 接触する事になったかも、何を渡してどんな小細工をしたかも、その理由も聞いたわよ』

と、ロッティナはカップに口を付けて言ってきた。


『それは凄いね。信用されているんだね姉さんは』


『トキニルは、その信用を壊すような事はしないでしょう』


『僕はしないよ。細心の注意をしていたけど、ごめんこの手紙は迂闊だったかも』

と、義兄さんの手紙を指で差す。


『あの人も余程慌てたようね、国境を越える訳ではないから』

と、姉は手紙を畳んでしまう。


トキニルは、王都での滞在の話や息子スキールをロッティナを知っている教師に紹介出来た話をして、帰国すると立ち上がった。


『タニロ兄さんは、どう考えているか分からないけど、これからは僕が代わりに行商に来るつもりだよ』


『そうね、王都に行って直接スキールとも会えるしね。バールナにも宜しく言っておいて』

と、トキニルの妻 バールナの名前を出して、弟夫婦を気遣う。


医院前には、荷馬車が止まっていてトキニル達の馬車は移動していた。


ロッティナがトキニルと移動した馬車に向かうと、男性が妊婦を気にしながら医院出口から出てくる。


「あら、お迎えですか? 診察が終わったのね」

と、ロッティナは男性に挨拶をすれば、


「義妹がお世話になります。弟の代わりに迎えに来ました」

と、男性がロッティナに説明して、妊婦を荷馬車にのせて帰っていった。


荷馬車が動いくと、移動していたトキニル達の馬車が目の前に止まる。


『メッシ待たせたな』


『いいすよ、トキニルの旦那。帰りましょうか』

と、御者台からマーガル商会の弟が返事をすると、馬車の扉が開きアキバが顔出す。


『トキニル叔父さん、もう良いのか?』


『あぁ、義兄さんの手紙を渡せたし、そうだアキバ急ぎじゃないけど、カーディナル紙幣の両替をタニロ兄さんに頼んでくれるか?』

と、ロッティナから渡された封筒をアキバに渡す。


『あぁ、検閲を1回で終わらせたいのか』


『硬貨は検閲に問題ないけど、紙幣は検閲されるだろう。マーガル商会のお金と一緒に検閲を通してくれ。お金は用事がある時で良いから』


『わかった。預かっておくよ』


『気を付けてね』

と、ロッティナが見送ると、馬車は国境の第2団隊の検問がある領境に向かって走る。

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