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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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来客 5

「ティベリ先生、僕は命を粗末にするような患者には、指名されたくは有りません」

と、ダミアン医師に思いもしない言葉で拒絶された藍は、驚くより悲しかった。


……命を……粗末に……粗末に……この前の事なら、反論出来ない……今までなら、この身体で申し訳ないと思っていたけど……あの時は……違った。


「貴方、何を言っているの!!」

と、メアリー様が固まっている藍を庇うようにルカと並ぶ。


「お貴族の方は御存知無いでしょうが、自ら自傷して庇護されるように詐病する者がいるのです」


「それがアイだと言うの!」


「現にそこの花は毒ですよ。あまり知られていませんが、猛毒です。それも手に届く側に置いているなんて、お嬢様は騙されていますよ」

と、ダミアン医師は目の前にいるメアリー様に訴える。


ティベリ医師とアルバン医師は、慌てて近付くが、ダミアン医師の発言に2人の医師は止まる。

毒だと聞いたカリーナ様は、手を口に当てて驚いているが、隣に立つ義兄ダートル様が溜め息を付くのを見て、他の人達が驚いていないことに瞠目する。


「あぁ、その花が毒なのは知っているわよ」


「…………毒だと、知っているのですか?」


「勿論、私以外の人も知ってるわよ。教えてもらったもの。口にしなければ良いのでしょう?」

と、メアリー様は答える。


「メアリー様、誰に教えてもらったのですか?」

と、ティベリ医師は問うと、


「アイが、花を飾ると言ってこの花の毒で命が助かったと言っておったが」

と、ガルソール様は藍に近付き、答える。


「アイ、僕はどの花だか分からないのだけど……どれなんだい?」

と、アルバン医師もガルソール様の横に並び花を見る。


「あの、ここでの花の名前が同じか分かりませんが、ジギタリスは中央に有ります」

と、藍が花の名前を言って答える。


「えっと? ジギタリスは確かに毒だけど、ティベリ花を使うのか?」

と、アルバン医師はティベリ医師とダミアン医師に視線を送る。


「多分、効果が高いのは葉ですので、先生方が薬としてご使用になるのは調剤された乾燥葉だと思います」

と、藍が答える。


「君は何故? そんなことを知っている? 薬学を学んでいるのか?!」

と、ダミアン医師は驚愕に聞いてくる。


「教本で見た絵より、感じが違うのね。これがジギタリスの花なのね」

と、ティベリ先生はダミアン医師の言葉を気にせず花を見に近付く。


「この花は毒を持っているので、虫が付きやすい他の花と一緒に植えるのです。今の時期ならばバラと一緒に植えるとバラに虫は付きにくく、ジギタリスの持つ毒より虫に食べられて枯れる被害が少ないのです。私は鑑賞花だけでなく、植物は見るのも触るのも好きです。触るのには無知では危ないので、勉強はします」

と、藍は説明する。


「アルバン、学生達には本物を見せた方が良いわね。教本の絵で薬草の名前や形を覚えたけど、実際に実物を見た記憶は無いから、分からなかった。乾燥した薬草しか扱わないと咲いている時期も知らなかったし」

と、まじまじとジギタリスと他の花を見比べている。


「ティベリ先生が分からなかったのは、ジギタリスの花がまだ咲き切っていないので、絵とは違うのかもしれません。それに危険な葉っぱは、庭師さんが落としてくれてましたから」

と、藍は説明する。


「花が咲き切っていないとは?」

と、バースト様が聞いてくる。


「窓から見える庭園に、バラとジギタリスが並んで咲いていますよね。バラよりもジギタリスの高さは低いです。咲き始めの花を庭師さんは彩り良く揃えてくれたのでしょう。品種によりますが、バラよりも主張するように伸びて来ます」

と、藍の説明は続く。


「それだけ知識が有るのなら、自分の体調をどの様にも出来るのでは?」

と、毒だと指摘したダミアン医師は告げる。


「健やかになれるのなら、どのような勉強でもします。

私の処置に強心剤を使ったとお聞きしたので、ジギタリスを使用されたのかと思ったのですが、違うのでしょうか?」

と、藍は確認のためにティベリ医師とアルバン医師に視線を向けた。


「えぇ、アイの言う通りよ。まだ公には広まっていないから研究中といったところかしら。

長年グロー先生が、循環系心の臓の薬を研究されているのよ。強心薬はジギタリスの毒を使うの。効果が強くても弱くても患者は助からない」


「アイが助かったのは、グロー先生とディービスが薬の完成度をあげていたのと、僕達にも情報を共有して現物が側に合ったこと」


「ディービスのアイの診察記録が有ったから、処置に使えた」

と、ティベリ医師とアルバン医師は交互に説明してくれる。


「でも、異常です。ディービス先生に見せられた診察記録は……」

と、ダミアン医師が呟けば、


「ダミアンの気持ちはよーく分かるよ。ディービスが診ている患者じゃなければ、僕達も同じ様に疑っていただろうからね」

と、アルバン医師は卒直に伝える。


「申し訳ございません……知識だけ有っても口にする勇気は私にはありません。医師の処方であっても副作用や後遺症は、薬にはありますから」

と、藍も率直に答えた。


……服薬だけではないけど、塗り薬や点眼点鼻、薬はイコール毒。身体に必要な分量が足りても足らなくても。


「はぁーっ……ダミアン先生。ティベリ先生にアルバン先生、ディービス先生が私の事で無理な提案をされたようですが、お断りして下さい。

ダミアン先生が不信を持たれたのも、私への特別扱いに対してなら、こちらのやり方に添うのが筋です。

不調に対して医師会館に向かうのか、診療所に向かうのかは、分かりませんがなるべく自己監理出来るようにしますから」

と、藍は三人の医師に頭を下げた。


「アイ、今まで自己監理してきても駄目だったから僕達がいるんだろう?」


「それにアイの診察記録を診て、的確に処置出来る医師が私達以外に要るとは思えない」

と、アルバン医師とティベリ医師が言ってくる。


「だか、流石に不信がられたのはこちらの態度が悪かったからだろう。

アイが言った特別扱いに特別待遇なのが」

と、ダートル様が指摘する。


「伯父様!!」

と、メアリー様の声が響く。


「特別扱い、特別待遇の何がいけないの?」

と、一番奥で静かに佇んで見ておられたカリーナ様が言葉にする。


「カリーナ、火に油を注ぐ様なことを……実際にダーニーズウッド家ではそうなっているだろう」

と、ダートル様が答える。


「当たり前です。メアリー共々ダーニーズウッド家の娘ですもの」


「「「えっ??」」」


「あら! 娘みたいなものと、しなといけないかしら? 私がそう認識しているのなら特別な扱いを受けるのは問題ではないでしょう、義兄様」

と、カリーナ様は仰る。


「それはそうだが、アイが特別待遇を良しとしないのだから、仕方ないだろう」

と、ダートル様が言っている側で、ルカはダミアン医師に近付き何か告げた。


周りの騒動に藍は自分の発言で義兄妹の意見の食違いにオロオロと狼狽えていると、ガルソール様が前に進み出る。


「成る程な、アイの事ではダーニーズウッド家では各々思いが違うようだな。

先程アイは面白いことを言っておったな。

親の心子知らずだったか、ここでもそれは当てはまるのではないのか。

されど特別扱いや待遇で言うならば、医師達は気を引き締めてアイに当たってもらわなくてはならぬな、シアン国王陛下の私設文官であるのだから、アイは」

と、ガルソール様は告げた。


「「「「………………えっ!!!!」」」」

と、ダーニーズウッド家の者以外は、驚き藍を見る。


「イヤイヤ、ダートルの文官見習いなんだろう?」

と、バースト様はダートル様に聞く。


「カリーナ様? アイはダーニーズウッド家の庇護対象者なんですよね? ディービスは知っているのですか?」

と、ティベリ医師とアルバン医師はカリーナ様に問う。


「あら? 誰か言ったのかしら? ディービスはダーニーズウッド家の主治医なんだし、私達が庇護するのなら、一緒でしょう」

と、カリーナ様は驚く医師達に答えた。

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