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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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協働

「アイ、体調はどう?」

と、メアリー様が藍の部屋に入るなり、ルカに視線を向けて聞いてくる。


「大丈夫よ?」

と、藍は机で裁縫をしていた手を止めて答えた。


「裁縫なんかして! 先生の許可は出ているの?」

と、メアリー様は藍の側まで来て言ってくる。


「ふっふっぅ……出てますよ。ねぇ! ルカ」

と、藍は得意気に言い普段は表情を出さないルカが、渋顔をして頷いた。


「ダートル伯父様と一緒にアカデミーに行くのでしょ? 何を考えて一緒に行くと言い出したのやら……」


「ダートル様は今日からお館に戻られるようです」

と、ルカは答える。


「いくらシアン陛下から依頼されたとしても、ご自分の任は研究所なのよ。伯父様に付いている方々は大変でしょうに」

と、不服を正直に言ってくるメアリー様が、かわいい。


「ダートル様の仰る事も、一理有りますもの。だからロビン様も許可を出されましたし、ねぇっ! メアリー様、協力して下さいね」

と、藍はメアリー様の扱い方を修得しつつある。


「アイ、貴女。ミカエル異母兄様やダニーみたいな言い方をしているわよ」

と、何かを察したような表情でメアリー様は言ってくる。


「ダーニーズウッド家以外の方にアイを任せる事は出来ません」

と、ルカが主張してくる。


「たしかにね、それは分かっているわよ。お母様からアイが働く理由を聞いた時には、驚いたもの。

あっ! そうだったわ。

アイ、お母様から相談があると仰っていたの。体調が良いのなら時間をくれない?」

と、メアリー様は言ってきた。


「カリーナ様が?」

と、藍はルカと顔を見合わせて、ルカの思案顔に問う視線を送れば、


「午後に診察があります。それまででしたら大丈夫だと……」

と、ルカの判断だ。


……最近のルカは、ハッキリ意見を言うようになったよね。前は言いたいことが合っても黙っていることが多かったのに。

ますます司君と被る気がするが……この前の事何も言わないし、聞かない。

聞かれても困るけど……生命放棄しそうになったなんて……


ほぼ完成に近い巫女衣裳を、糸から針を抜いて針山に戻したら立ち上がり、身形を整える。


……カリーナ様の相談とは? 何だろう?



メアリー様と並んで廊下を歩けば、メアリー様付きの侍女が後ろから付いてくる。


なにやらソワソワして付いてくるが、ルカに視線で問うたがルカも分かっていない仕草をした。


カリーナ様のお部屋ではなく、一階の執務室に案内された。


「貴女達、アイに話したいことが有るようだけど後になさい」

と、メアリー様が振り向き、侍女三人に言って聞かせる。


……何なんだろう? ウキナさんは侍女長メグさんより少し年下のメアリー様付きで領土にも付いて来ていたが、後の三人は年はメアリー様と変わらないだろう。


「アイ様、申し訳ございません。先日のメアリー様との湯浴みから騒がしくしておりますが、お気になさいませぬように」

と、メアリー様の後ろからウキナさんが言ってくる。



「ねぇっ!アイ。私と手を組んで商売を始めない?」

と、カリーナ様は執務室の机で座ったままで言ってきた。


メアリー様とソファーに腰かけていた藍は、突然な領主夫人の提案に返事をする間もなく、メアリー様に却下される。


「お母様、突飛も無いことを仰らないで、アイが文官仕事をしながら、お母様と商売が出来るわけがないでしょう!

これからアイは王宮に上がるために、ダートル伯父様に付くのよ、アイの無理になることを何故、提案なさるの?」

と、メアリー様はご自分の事の様に、カリーナ様に食って掛かる。


「あら、メアリーが言ったのよ。アイの知識を上手く使えばシアン陛下からの借金は直ぐに返せると、私も同意見だから提案しているのだけど」

と、カリーナ様は普段なら見せることのない、魂胆ありげな顔で言ってくる。


「そ、そ、それは……アイが私の様に元気にならの話です。それにシアン陛下は無理な返済を要求されないのでしょう、アイの出来る範囲だと仰ったではないですか」

と、藍の知らないところで色々な話が出ているようだ。


「すみません、カリーナ様 メアリー様。

私の負債という借金のお話は、どのように伝わっているのでしょうか?」

と、藍が親子の話に割って入るが、正確に伝わっているのだろうか?


「私がロビン様やミカエルから聞いた話は、ダーニーズウッド家でアイに係った金銭的な事は、全てシアン国王陛下の私財で賄われると、その支払われた金額はアイの借金として無期限無利子でアイがシアン陛下の側で働いて返済していく、だったかしら?」

と、ほぼほぼ正確にダーニーズウッド家には伝わっているようだ。


「えぇ、カリーナ様がお聞きになったことはそのまま合っているようです。

では、私とシアン陛下の関係性はどのようにお聞きですか?」

と、藍がカリーナ様とメアリー様に問うと、カリーナ様の側にいるルクールさんと、メアリー様の後ろに控えているウキナさんが、狼狽えている。


……何? 変に勘ぐられるよりは、主だった人には知らせて広めてもらう方がいい。


「そうね、私が聞いたのはシアン国王陛下が即位される前の外遊の時に、側近達と別になった時の恩人が、アイの親族だと聞いたわ」


「はい、シアン陛下を助けたのは、私の祖父母や親しくしていた者だと私も聞きました。

勿論、私は当時の事は知りませんし、話も教えてもらっておりません。

ただ今回は私がこちらで彷徨うことになったのをダーニーズウッド領内で保護されました。

唯一の救いはシアン陛下が私の国の言葉を理解されたこと、後に私の祖父母を御存知で合ったことが縁で、私を庇護されることになりました」

と、藍の説明にカリーナ様もメアリー様も本人からの言葉に納得してくれているようだ。


「でも、それならシアン陛下はアイに借金と言わずに、肩替わりされてもいいのでは?

恩人の孫ですものアイは」

と、メアリー様は仰る。


「それに関しては誤解有るようですね。金銭的な事は私から申し出ました。

お借りした部屋や係った医療費に、身の回りの物まで肩替わりの範疇ではないと思います」

と、藍が言ったけれど、


「シアン陛下は金銭的な事より、アイを側に置きたかっただけでしょう?」

と、カリーナ様は核心を付いてくる。


「それは、ミカエル異母兄様も仰っていたけれど、お祖父様やお祖母様もだと言ってたわよ」

と、メアリー様も領土での事を言ってくる。


「あの、肝心な事をお忘れなのでお伝え致しますが、シアン陛下に返済するのは私の意思といつか分からない帰還の事があるからで、シアン陛下は返済出来なくても良いと約束しております」

と、藍が説明したらルカ以外は、固まった。


「アイ? 帰還って? 本当に?」

と、メアリー様は藍が帰ると言っていることを信じていなかった。


「はい。帰ります」


「それは、アイの帰る場所が在るってこと?」

と、カリーナ様も聞いてくる。


「そうですね。今なら待ってくれていると思います。両親も私の護り手も。

ですので、シアン陛下は無理難題を私に仰っておられません。私が返済できる範囲で無期限無利子を提案されたのは、ご自分の庇護であることで、他者の干渉や横槍を防ぐ方法なのです。

この国の最高権力者であるシアン国王陛下に逆らうことは、謀反ですから恩人の孫を全力で護って下さってますよ」

と、藍は説明をした。


「シアン陛下らしいと言えるけど、もしかしてアイのお祖母様の事が陛下はお好きだったのかしら?」

と、女性らしい勘でカリーナ様が言ってくる。


……お好きどころか恋愛結婚しておりました……


「それなら、シアン陛下がアイを側に置きたい気持ちも分かるわ」

と、メアリー様が言ってくるが、


「私は父親似ですよ、祖母は母方です」


「でも、アイはシアン陛下の側で返済をするのでしょう。

だったら私と商売を始めても問題ないでしょう。自慢ではないけど商才はあるのよ私は」

と、カリーナ様がニッコリと言ってくる。


……なんで? わたしと? 何をしたいのだろう?

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