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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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悪戯

「シアン国王陛下、ジャスパード国より信書が届いております。今目を通されますか?」

と、侍従長ガルソールが執務室で書類を見ているシアン陛下に声を掛けながら近付いて来る。


「そうか? ガルソールが今読めと言うのなら目を通すが、今でなくても良いのならリックとダニエルがいる時でも良いであろう?」

と、頬杖を付いて目線は書類のままで、シアン陛下は答える。


「ダニエル殿下と宰相殿下が御一緒されるのはいいのですが、お二人はお忙しく動かれております。先に用件をお読みなるのが良いかと」

と、侍従長が勧める。


シアン国王陛下は侍従長の言っている事が分からず、目線を上げて机の上に置かれた書簡を見る。信書としての丸めた書類と三つ折にされた手紙が入っている。


……なんだ? 信書というより手紙に目を通せと言う意味か?


ジャスパード国の信書には、現王カルート陛下の署名入りで、今回のカーディナル王国受け入れの礼言と王子達の友好交流が目的であることの理解の旨が記されていた。


セントール王子の側近達にもカーディナル語を習得させているが、文官職は粗方心配ではないが、護衛騎士になると外国語を理解習得に至っておらず、出来ればジャスパード語を理解出来る騎士を派遣して欲しいと依頼内容であった。


……ガルソールが、読めと言った訳は分かった。信書の依頼内容にも不備らしいことでの謝罪だが、手紙に目を通して呆れを通り越して、慮外に思う。


王族の移動に対して準備も対応も出来ておらぬ。隣国であれば文官職は当たり前だが、側に置く護衛騎士も外国語を理解しなければ、友好の会話も危険も対応出来るものではない。


それを受け入れる国に要請する。相手国の人間を側に置くという懐柔策かも知れぬが、世間を知らぬのか?

セントール王子に対して此方からは侍従も騎士も鼻から付けるに決まっておるではないか。

勿論、ジャスパード語を理解してどのような事態になっても対応出来るものを付ける予定だ。


……それにしても、どういうつもりで手紙を寄越したのだ? あちらの文官達は信書を言付けを頼む位にしか思っておらぬのか?


「いかがなされますか? そのままダニエル殿下にお伝えしますか?」

と、ガルソールが聞いてくる。


「いや、リックには伝えた方が良いが、ダニエルには事が終わり次第で良かろう。自分の目で感じた事や此方からの後からの情報に相違が無いか勉強になるだろう」

と、シアン陛下は答える。


「シアン陛下はご立腹されないのですか? 私を始めお側におるものは憤っておりますのに」

と、侍従長 ガルソールは言ってくる。


「それがな、よく分からぬのだ。正確な情報も無しに手紙を寄越して、あたかも正しい情報を得ているから嬉しいだろうと伝えようとする王妃の心境が。


作為的な事が潜んでいるのか、憶測をそのまま鵜呑みにして行動に移すのか、意図とするものがどちらにもあるようで掴めぬ。まるで子供の悪戯みたいだな」

と、シアン陛下は面白そうに答えた。


「王妃モネ様の手紙が本当であれば、此方の対応も変わってくるのですよ」

と、ガルソールは落ち着かないように言う。


「意外だな、ガルソールが苛つくのは私と同じで分からぬからではないか?」


「正直、私も陛下と同じなのです。シアン陛下がよく使われていた手ですよね。

愚かだと見せ掛けて油断させて近付くやり方を外遊時にされておりました。女性の側近は連れて行かぬのは男色家であるように振る舞っておられましたし、異母姉様や姪姫様に近付いて話されても大丈夫だと、弱々しくされているのを始めは驚いたものです」


「それもやり過ぎると大変でな、相手方の姫や令嬢避けで始めたが本当に男色だと思われて、男娼を寝所に送り込まれた事もあったな。年配の下手物好きに求愛されたこともある」

と、シアン陛下は思い出しながら答える。


「聞いたことがあります前任者から、陛下の演技がお上手で王位に付かれた後もその噂が隣国では消えなかったと」


「と、なると40年以上前の情報を得たのか?


セントール王子の側近を見目麗しい者に揃えると学力的に足らぬ者になるとな、王子付きには優秀な者を付けてくれ。見目麗しい男も女も要らぬ。

王子の姉姫の姿絵を持たせるので見てくれとは、どういう意味なのか?。ダニエルよりも六つも七つも上の姉の絵姿はお断りしろ。

と、 ぐらいは今から伝達しても良いと思うのだが、信書で出すか?」

と、シアン国王陛下が仰る。


「あからさまにセントール王子は妃を探しに来賓されると言っているようなものですよね。ダニエル殿下にセントール王子の姉姫を勧めるとは……本当なのでしょうか? 一国の王妃がすることでしょうか?」

と、ガルソールは本気で悩んでいる。


「手紙には見聞を広めるために子息令嬢を伴うとなっているが、此方にも地位的に合う子息令嬢を引き合わせろと言っているよな」

と、シアン国王陛下は笑って手紙を弾いた。


「どうなさるのですか?」


「手紙はそのまま返す。信書にはセントール王子の本当の側近のみお連れくださいとし、見聞を広めたい子息令嬢がいるのならば、アカデミーの編入をお勧めしろ。勉強し直すお手伝いは受けてやる。前例が有るのだから試験は受けてもらうがな」

と、シアン国王陛下は侍従長に答えた。


「承知致しました。此方の手紙は写しをとりまして宰相殿下にお伝え致します」

と、侍従長は目配せをして行動に移している。





「宰相殿下、シアン国王陛下よりご指示がございます。お手配をお願いしてもよろしいですか?」

と、国王陛下付き侍従長が、隣国から来賓される王子のお部屋の調度品を見比べているところにわざわざやって来た。


「シアン陛下から? 珍しいですね。私からお願いすることは在りますが、陛下からと言うことは側近に御触れを出すことになりそうですね」

と、リック宰相殿下は沢山の木箱の中から部屋に合いそうな白磁の透かしが入った花瓶を取り出して答える。


「宰相殿下には、ジャスパード国の王妃モネ様の情報は入っておりますか?」


「王妃モネ様ですか……公爵令嬢で三姉妹の次女であること。モネ様の姉君が現王カルート陛下と同じ歳で許嫁だったのが、何故か? 次女のモネ様にお相手を替えて王妃となったぐらいでしょうかね」

と、持ち出しだ花瓶を侍従に預けて指示をして、ガルソールと話を続ける。


「お人柄などは分かりませんか?」


「お人柄ね……公爵三姉妹は仲の良い姉妹だと知られておりますよ。公爵家自体が王家に忠臣的にお仕えをしている家柄だと、周知されているとも……何か? 不都合な事でも起きましたか?」

と、宰相殿下は手を止めて向き直る。


「ジャスパード国からの信書の中に王妃モネ様から手紙が忍ばせてありました。

それが……あまりにもお粗末で真偽に思案しております。

シアン陛下とダニエル殿下に見目麗しい男性と女性を伴うので、お楽しみ下さいと……後此方からの子息令嬢のお相手を期待していると……」


「はぁ?! 本当に?」


「此方が信書に入っていたものです。写しは私が控えております」


「これは……王妃ではないだろう。セントール王子の姉姫は悪戯好きだと聞いた事がある。質が悪いとも……大袈裟な悪評だろうと思っていたが」

と、宰相殿下は苦虫を噛み潰したような顔で答えている。


「シアン陛下は手紙は王妃に送り返せと、王妃で無いならジャスパード国の問題ですよね。国益に関わることですので、信書で真偽はといたそうかと宰相殿下にお尋ねしたところです」

と、ガルソールは手紙の全容を見せる。後に続く文章はシアン陛下が絵姿のところで悪戯だと気付かれたと思われる。


「これを王妃宛に……シアン陛下は王妃モネ様がどうするのかを見たいと」


「これを信書に入れた人間もいる筈ですし、王妃の名前を騙っているのであれば、それは問題にしかなりません」


「シアン陛下は悪戯だと見抜かれているのでしょう?」


「はい。鼻で笑っておられました。が、私共は赦しがたく……宰相殿下にも共有して頂きたく」


「確かに……信書で送り返そう。馬鹿丁寧に文章は私が記します」

と、リック宰相殿下は悪そうな顔で答えた。

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