情報 2
「父上は、現王カルート様とは交流面識はございますか?」
と、ロビン様は父 カールに問う。
「嫌、無い。前王ロダント陛下から現王カルート陛下に譲位され戴冠式にロビンを連れて行ったが覚えておるか?」
「はい、カムデン · スマールート大公爵がお優しく接して下さったので覚えております。でもあの式典と御挨拶の謁見のみですか?」
「そうだ、カルート陛下とはその場だけだが、リズリー叔母上には、ロダント陛下に最後に合わせて貰った。亡き母 シモーヌから伝言があったからな出席参加のお返事の連絡の時に一筆啓上していた」
「では、ロダント陛下はそれに報いる形で接見の場を設けられたと」
「そうだな、だがロダント陛下も私と従兄弟だからというだけでの行動ではない。早い退位はロダント陛下の体調不良にある。
リズリー叔母上にはロダント陛下しかお子はいなかったが、ロダント陛下自体あまり丈夫ではなかったのだ。シアン陛下と比べるのは不敬では有るが、聡明でいらっしゃるが世間を知らぬまま王位に付かれて側近達の思惑通り政に成りつつなるのを、陰ながら助言と助力してきたのが我が母 シモーヌだ」
と、カール様は告げる。
「通りで、我がダーニーズウッド家が狙われる筈ですよね。隣国ジャスパード国としたら王妃を操っているように思われます。ましてや当時の王子ロダント様までとなると」
と、ロビン様は納得顔になる。
「別に大した助言などしていないと、母上は言っていたぞ。
リズリー叔母上は愚痴を姉 シモーヌに聞いてもらっていただけで、采配は当時の王とロダント王子によるもの。
問題はロダント陛下のお子だ」
「現王カルート陛下ですか?」
と、ミカエル様は思わず口を出す。
「そうですね。あまり良い噂はお聞きしませんね」
と、メリアーナ様も加わる。
「王位に付かれたのが若い年なのは、前王ロダント陛下が丈夫ではなくカルート陛下しかお子が居なかったからだが、2代続けての1人王子で、叔母上はご自分の息子には身体が丈夫でなくとも甘やかさず厳しく導き為されたことが、孫までには至らなかった。
ロダント陛下もご自分の息子を溺愛して可愛がられたようだが…………至って傍若無人な性格で在らせられるようだな」
と、カール様は淡々と仰る。
「そうでしょうか?
戴冠式での振る舞いや式典でのお姿には、そのような様子はございませんでしたが?」
と、ロビン様は疑う。
「どういう事ですか?」
と、ミカエル様は問うと、
「持論ではあるが、姿勢はその者を写す。ただの我が儘王子が、近隣諸国の代表を前にしてあれ程毅然な立ち振舞いはそう出来るものではない。
大叔母上様に甘やかされたとはいえ、教育や指導は周りがすることだ。仕える者によるが全部噂通りでは在るまい」
と、ロビン様は答える。
「その通りだ。噂が本当であれ嘘であれ現王カルート様は若くして王位に付き経験豊富な権力者だ。気を付けるしかない……が、そのカルート陛下の王子の話なのだが…………」
と、カール様は渋る。
「…………?」
「…………?」
ロビン様とミカエル様は渋る前領主を待つが、
「ロビン、宰相殿下の情報ではカルート陛下と王妃の間に問題がと仰ったのか?
それとも王妃とカルート陛下の愛妾との問題だと仰ったのか?」
「…………確か……カルート陛下と王妃のモネ様との間にと仰っりましたが、王妃のお子と陛下の愛妾とのお子との内政に関する事だとお聞きしました」
と、ロビン様は宰相殿下からの言葉を思い出しながら伝える。
「そうか、ジャスパード国次期国王予定は、勿論だが王妃モネ様のお子になる。
今度 カーディナル王国に来賓されるセントール王子なんだが……モネ様を妃に向かえる前にカルート陛下はお子を設けている。
それが、叔母上がジャスパード国に嫁ぐ時に連れていた侍女の孫になる」
「それは、ダーニーズウッド家と縁有る者ですか?」
と、ロビン様は問うが、心当たりが無いのか思案顔になる。
「叔母上は、当時のアラン陛下の妹君の三番目だ、我が母とも年は離れて外には嫁がれる予定ではなかった。
が、隣国ジャスパード国の第2王子に見初められて友好を約定に第2王子に嫁がれることになった。
王族の姫が嫁ぐに中り、側近は今までと違い女性側近のみに選別され、その中にダーニーズウッド辺境伯領土に在する貴族が数人いたのだ」
と、カール様は説明されたが、
「いえば、その側近は斥候扱いなのですか?」
と、ミカエル様は問う。
「いや、叔母上に付いてジャスパード国に入ったダーニーズウッド家の縁者は斥候ではないが、その側近にも侍女は付く」
王族の姫の側近であるなら、子爵や男爵の子息令嬢ではない。伯爵家以上の子息令嬢であるならその者にも側近は付いている。
「あのー、リズリー様はジャスパード国の第2王子に嫁がれたのですよね。何故? 王妃に?」
と、極普通に疑問をミカエル様は問う
「勿論、第1王子が亡くなったからだ。第1王子も隣国から姫を娶られる予定だったのだが、その姫は第1王子を嫌っておられ約束の日時まで嫁がれていなかった。
第1王子の婚姻を待っての第2王子の婚姻であったが、式の用意をされての延期では示しがつがず、婚約をしていた第2王子の婚姻を先にすることになった」
「確か直ぐ後ですよね。第1王子が暗殺されたのは、シモーヌ様がリズリー様に離縁して帰るように強く諭されていました」
と、ニックが思い出しながら言う。
「何故だ? 危ないからか?」
と、ミカエル様は問うと、
「いや、第2王子が王位に向かないお人柄だからだ。第1王子は押しも強く行動的で、攻撃的な人柄で強い国を望まれ目指したお方だったが、第2王子は正反対な性格の穏やかなお方だったのだ。母 シモーヌは第2王子が王位に付けば、リズリー叔母上が王妃となって苦労するからと何回も信書を出して離縁するように言っていたが、お優しい第2王子を支えるとリズリー叔母上は留まれた」
「誰が? 第1王子を暗殺したのですか?」
と、ミカエル様は昔の話だが、ダーニーズウッド家に縁有るものが一緒にいたならばと、思い当たり問う。
「噂では、第1王子に嫁ぐ予定だった姫様の差し金ではないかと……言われていましたね」
と、ニックが答える。
「ダーニーズウッド家はと、カーディナル王国は疑われていないのですか?」
と、ミカエル様が祖父 カールに問う。
「疑われてはいたが、母上の離婚離縁催促に国民が怒ってしまったのだ。
第2王子は、お優しいだけで妹を護れない優男だと貶したものだから、母上はジャスパード国には入国出来なかった」
「「……………………」」
「それは、わざとですよね。信書ならば側近は先に目を通しますし、王子の側近ならば黙って見逃す筈有りませんもの」
と、メリアーナ様は仰った。
「えっ!」
「…………」
「まぁ、カーディナル王国は、第1王子が国王になればやりにくいが、第2王子ならば攻められることもなく、やり易いからカーディナル王国の仕業だとも憶測を言われたが、今に至るのだから問題でも在るまい」
と、カール様は仰った。
「お祖母様は恐ろしい方ですね……私達にはお優しい方でしたが、身内になると……容赦ない」
と、ロビン様は呟く。
「愛情を溢れるほど、ロビンもダートルも注がれてきたのに?」
「愛情深い所以だからです。父上の話を伺って思ったのは、第1王子を暗殺したのはお祖母様の指示ですよね」
「「「……………………」」」
「返事が無いのはそうだと認めているようなものです。
ご自分はジャスパード国民に嫌われるように持っていき、妹可愛さから姉馬鹿を装い妹を護るために王子を煽る。
それなのに、妹からは愚痴と言う連絡は姉に届く…………可笑しくないですか?」
「あっ!!」
と、ミカエル様も思い付く。
「カーディナル王国の姫が嫁げば、側近は付いていく最低限にされたとしても、その中にはお祖母様の側近もいたのではないですか?」
と、ロビン様は父 カールに問うと、
「いや、母上の側近ではない。父上の側近がリズリー叔母上に付いて隣国ジャスパード国に入ったのだ」
「えっ?!」




