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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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不穏な話

「お帰りなさいませ、ロビン様、ミカエル様」

と、ダーニーズウッド辺境伯領主邸を護る執事 ニックは玄関口で、第5警護団隊警護で帰領された領主と次期領主予定を出迎え挨拶をする。


「ニック、今帰った。長く留守にしたな」

と、ロビン様が言葉を掛けると、隣のミカエルが辺りを見回している。


「行くぞ」

と、ロビン様は、息子 ミカエル様に声を掛けて玄関ホールに入っていく。


「ミカエル様、大丈夫ですよ。最近暖かくなって虫がで出来たのです。さぁ奥にお入り下さい」

と、父の対応より砕けてニックはミカエル様を促す。



「ニック、父上と話は出来るか?」


「早速ですか? ひと息付かれてからでも、よろしいかと」


「馬車で揺れていただけだ。話はウンザリする程ある」


「そうですか、承知致しました。手配いたします。アートムが出ておりますが……」


「アートム……の采配に任す。出ておる理由があるのだろう」

と、ロビン様は2階の自分の部屋に向かって廊下を進むんで、ニックに懐から手紙を2通差し出す。

王都を出る前に、別邸の執事 ルクールと侍女長 メグから預かっていた。

どちらの手紙も厚みがあり、ニックは予想通りと好々爺の様に笑顔で受け取る。


「アイ様は、いかがお過ごしでしょか?」

と、ニックには珍しく問うてきた。


「…………後で説明するが、大変だったのは分かるな」

と、ロビン様は着替えながら答えた。


「はい、勿論でございます。ミカエル様は分かりやすくお成りになられて」


「母上の容態は?」


「ローマの話では、波はあるようですがお元気に過ごされております」


「…………良かった」

と、ロビン様は部屋で休むことなく執務室に向かう。





執務室では思ったよりも執務の書類は、机の上を占領していなかった。


……三月も領土を留守にしていたのに、いつもこうであれば……

と、片付いていく書類に向き合う。

書類は始めこそミカエルの字で処理や決算済のサインをされていたが、父 カールの字へと変化していき、分かりやすく整えたのはニックであることが分かる。


……私には父という先達者がいて、後を任せられる息子がいる。恵まれている実感出来るが、これは何か違う大変事が私には起きるのでは……無いだろうか? 嫌な予感しかせぬな……


執務室での思考が彷徨っているときに、ノック音が響いた。


「父上、お祖父様が別館でお会いするそうです。一緒に移動出来そうですか?」

と、ミカエルが迎えに来た。

どちらであっても構わないが、母上も参加されるということだな。




領主邸の隣、前領主夫婦が住んでいる別館は部屋数こそ本館より少ないが造りは同じである。

1階の談話室にミカエルと入室すれば、父上と母上はサンルームに腰掛けルッツが手入れする庭園を見ていた。

母付きの侍女 ローマが気が付きニックと入れ違うように退室していく。


ニックがテーブルにお茶の用意をすれば、ミカエルがサンルームに迎えに行く。


「父上、母上、先程王都より帰領致しました。留守の間統治ありがとうございました」

と、ロビン様は両親に挨拶をする。


「無事に帰れて良かったわ。さぞ問題だらけで文句を言いたそうな顔だ事」

と、母 メリアーナは王都に向かう前に挨拶した時と違い笑顔で皮肉ってくる。


「母上、本当にお元気に過ごされているのですね、見違えました」

と、ロビン様は安堵顔を隠さず伝える。


「ふむぅ、臥せる事は無くなったな。これから気候も良くなるし、廻りの慌ただしさも刺激になるようだ」

と、父 カールは言ってくる。


……平穏で静養されるより、問題がある方が母に取っては良いのか?


「ミカエル、えらく疲れているようだが?」


「お祖父様……分かってて仰いますか? ご報告は沢山ございます。ニックも掛けたらどうだ」

と、ミカエル様はサイドソファーを勧める。

兎に角、話題なら沢山あるし、報告に相談と盛り沢山だ。


「ニック、座らないと長くなりそうだ」

と、ロビン様も勧める。それではとニックも腰を下ろせば、


「まず、シアン陛下からアイに身に付けるようにと、ペンダントを預かりました。この経緯は母上ですよね。ダーニーズウッド家の青い石のペンダントです。

ある事情でアイにはまだ見せてはおりませんが、確認のために持ち帰りました」

と、ロビン様はテーブルにシアン陛下から預かった装飾された木箱を開けて見せる。


「シアン陛下には、宰相殿下や側近が側にいる場所でアイに渡すように差し出されました。父上から青い石の提供があり、宮廷細工師長が加工したと説明され、渡されたものです」


「凄いですね」

「あの原石が?」

「想像以上な出来ですね」

「…………」


「一緒に接見の場に居たものが、どれ程驚いた分かりますか? シアン陛下はアイにこれを身に付けさすのです、母上の提案ですよね」


「アイに似合うでしょうね。細工師さんの腕も流石ですね」

と、メリアーナは事もなく仰る。


「アイが危険に巻き込まれるとは? お考えにならないのですか?」


「周知させる事が、アイを危険から護ることになると考えたのだけど?」


「陛下も母上と同じ考えでおられました。

それから、アイは文官試験をアカデミーで受験して最高得点を出して資格を取得しました。

が、兄上がアカデミーの臨時教師をすることになってアイの試験に立ち会ったのです」


「ダートルは何をしておるのだ?」

「それは、良かったわね」

「…………」


「兄上からは、王宮研究所所長就任やアカデミー教育科臨時教師を受けたことを後から私は知りました。直接お会いして話したことなど……久し振り過ぎて定かではありません!」

と、本当に珍しくロビン様は身内に対して不服を述べだした。


「王宮での王太子ダニエル殿下御前会議こと定例会議が何事もなく、宰相殿下指導で事なきに終われば、領土からは父上、母上にミカエルとニックまで報告書と苦情連絡!

内容が領土や身内事情であるなら然程私も苦慮せずとも…………十分苦慮いたしますが、家宝といえ国宝を持ち出されては、私は惑乱いたします情けないことですが……」


「ロビン、済まなかったな。厳重だといえ書類の内容が漏れては困る。差し支え無い程度にいたした報告であるが、ソナタの任せるに信頼と信用の上、稀にみる多くの事をミカエルと判断した。

細かい事はソナタの範疇内で、私と差異は無いと思うが、ロビンの考えと違うのは青い石の事か?」

と、カール様は腕組をした状態から、腕を解いて問う。


「青い石の重要さは私より御存知ですよね。ダーニーズウッド領土からしか採掘採取されぬ青い石のせいで領民だけでなく、我がダーニーズウッド家の者が巻き込まれて血が流れたのか……採掘しつくされ原石も発見されることも無くなり周りも青い石への執着が薄れてきたというところで……何故ですか?」

と、ロビン様は怒りは隠っているが静かに両親に問われる。


「ロビンは青い石の執着が薄れているというが、それは違うと判断する。

薄れる処か、巧妙な潜伏や長期の斥候が居るようだ。今もアートムが動いているのはその事でだ。

その事が露見したのは、アイのお陰だともケビンの浅はかさだとも言えなくはないが、アイが動いた事で見えなかった事や、潜んでいたものが動き出した事になるのか?

アイが知らぬ事で繋いだ見えない意図が、色を付けて浮き出させているのだ」

と、カール様はロビン様とミカエル様に答える。


「えっ? 僕が居た時にはそんな話は有りませんでしたよね?」

と、ミカエル様は確認の為、向かいに腰掛けるニックに目線を合わせる。


「ミカエル様が王都に向かわれる少し前に、商人達の探りがございました。その中に青い石の原石を見付けた者がおります。極小で青い石だと判断出来たか分かりませんが、アギルとアギルの実弟が掴んで来たことです」

と、ニックは領主と次期領主に伝える。


「ルカをアイに付けるためにアギルを鍛えていたところ、アギルの実弟から情報が入ってきた。巧妙な斥候達がアイの出現で予想できぬ行動になっているようだ。

それもそうであろうて、我々でも予想できぬ事ばかりなのだからな。

不純物入りと鑑定され加工されておらぬし、加工してみないと中の状態が分からぬ原石を陛下に託した。


他の物をお考えなら、青い石をお使い下さいと」


「アイを囮にする気ですか?」

と、ミカエル様は言葉に出した。

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