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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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依頼

「ロビン様!」

と、執事のルクールが慌てて領主であるロビン様に取り次ぐ。


「どうした?」

と、ダートル様が先に返事をされ、ミカエル様とロビン様はその奥で話をされていた。


「警護第5団隊からの知らせになります」


「父からか?」

と、ロビン様は書簡を受けとる。


「何か有りましたか?」

と、ミカエル様は父 ロビンに詰め寄ると、父は溜め息をついて答える。


「兄上はいつまでこちらに? 私は一旦領土に帰らなければなりません」


「流石に明日には、研究所に帰らないとバーストにも何も言っておらぬし、アカデミーにも行かねばならぬな」

と、思い付きで別邸に帰ってきたが、研究所所長でアカデミーの臨時教師を引き受けている立場上今日までが許される日である。


何も藍の事で話し合われてもいないが、藍が生死を彷徨っている時に話すことでも無い。


「お祖母様に何か有ったのでは無いのですね」

と、ミカエル様は案じていたことを口にした。


「あぁ、母上は床に臥せることも無くなったそうだ。お元気に散策をされているらしいが、父からの知らせは隣国から先触れが有ったのだ」

と、ロビン様は国境境であるダーニーズウッド辺境伯領主として隣国ジャスパード国王子の受け入れ用意をしなければならない。


「ウチに先触れがあったのなら、王宮宛にも信書が同じ様に届いていますね」

と、ミカエル様も理解する。


「兄上はアイの容態がどうなるか分からぬが、陛下の依頼を受けられるのであれば、根廻しや準備をお願いできますか?」


「分かった。僕から陛下に提案したことだからね。アカデミーの事は出来る事はしておくよ」

と、ダートル様はお答えになる。


「ミカエル、カリーナと子供達を呼んでくれ、色々してもらわなくてはならぬし、曖昧にしておくと暴走されても困る」

と、ロビン様は側で待機しているルクールに談話室を整えるように指示する。




ダートル様はご自分の馬車をお呼びになり、普段の生活をされておられる研究所の部屋に向かわれた。ルクールには時間を作って帰って来るつもりだから部屋はそのままで良いと伝えて。


ロビン様とミカエル様は、先に談話室に入り後の家族が揃うのを待つ。


「父上……アイは…………」


「何か有ったか分からぬが、目の前で人形の様に生気なく倒れるところを見ては、肝が冷えた。

それにな……人の体温が冷えていく所はもう勘弁して欲しい……初めてでは無いからな…………」


「…………そうですね」

と、ミカエル様が言葉にしてから、ロビン様も考え事があるように黙り込む。


談話室にノック音がしてルクールが声を掛けてくる。

カリーナ様を筆頭にメアリー様、ダニー様、ケビン様が入室すれば、ルクールがお茶を用意をしてくると言い掛けたが、


「ルクール、お茶はよい。ソナタも話があるそのまま部屋におるように」

と、ロビン様がミカエル様の隣を指示する。


談話室の1人掛けソファーにロビン様で、向かい合わせに4人掛けのソファーに、大人が3人子供が3人と腰を降ろす。


「状況が分からないままでは、話が出来ぬから説明をするから聞くように」

と、ロビン様は6人に向かって言ってから口を開く。


「本日はシアン国王陛下にアイのご相談とご報告をしに王宮に出向き、シアン陛下と面会に相成ったが、兄 ダートルの提案通りにアイの文官見習いの補助を兄に頼むことになった。

これからの事をアイと相談をしたくて執務室に呼んだが、その場でアイは倒れた」

と、ロビン様が言えばメアリー様とダニー様、ケビン様はアカデミーから帰ったばかりで事情は分かっていない。


ただダーニーズウッド家の馬車でない馬車が厩舎でなく、玄関前に停めてあり御者が馬の手入れをしているのを横目で見ながら館に入ったて来た。

内心ではアイの事かも知れないと思ってはいても客人も多く、訪問されることは珍しくない。


メアリー様が何か言い掛けて最後まで聞かねばと口を引き締められた所を、ロビン様は続けて話される。


「その場に居たのは私とアイとルカだけだが、アイの変化に一番に気付く筈のルカにも分からなかったようだ。

崩れる様に倒れたアイの頭をルカが何とか手を入れて頭は打ってはおらぬ。が、意識が無く聞いておった高熱のせいではないらしい。

アイの身体が冷えていくのを私が抱えていたが、館内とはいえ体裁が悪くてな、カリーナを呼んで一緒に抱えてミカエルが連れてくる医師を待っていた」


そこで3人の子供達は見慣れない馬車が医師の者だと思い付く。


「ミカエルが医師会館でグローに紹介された医師を頼りに行ったが生憎の不在でな、アカデミーで医療科を受け持っておられる医師二人に往診をお願いした。

運良くディービスとの親交ある医師でなアイの事情は概ね理解して協力してくれることになった。

アイの容態やこれからの事は、医師ではない私が説明のしようが無いが、非常に危なかったようだ」

と、ロビン様が説明をすれば、今回はケビン様が思わず腰を浮かせて前屈みになったが、声を出さずに踏みとどまった。


「心配であろう。私と兄上それにカリーナと医師を連れてきたミカエルは医師の処置を部屋で見ていたが、処置の内容も薬の話しも専門外で分からぬ。分かることは何とか持ちこたえてくれたということだ。後から来てくれたディービスと二人の医師に託すしかない」

と、ロビン様の説明にダニー様も大きく息を吐き出す。メアリー様の瞳にはプルプルと水が揺れているが必死に目頭から落ちないように見開いている。


「そこで頼みたいことがあるのだ」

と、ロビン様は側にいるカリーナ様とメアリー様に向かって仰る。


「カリーナ、メアリー、アイの看護を頼みたい」


「はい。ここにはロッティナがいませんもの」

と、カリーナ様が答えた。


ロビン様は反対側に座っている娘メアリー様に視線を向けると、メアリー様の瞳からは水が溢れ落ちている。


「………………」


何も返事が無いが、嗚咽になりそうな口許を引き締めて我慢している娘の反応に了承だと判断した。


「ダニー、ケビンにも頼みたいことが有る」

と、ロビン様は息子2人にも役割を与えると言う。


「それはなんでしょうか?」


「私は領土に戻らねばならぬ」


「「「はぁ?!」」」

と、ミカエル様とルクールは領土からの書簡で分かっていたが、他は何事かと驚きに声が出る。


「噂で知っておるかも知れぬが、隣国ジャスパード国から王族が来賓される。

勿論、ダーニーズウッド辺境伯領土を通過しての来賓であれば、領主として出迎えの用意や対応はせねばなるまい。

そして来賓の目的がカーディナル王国の王太子ダニエル殿下との交流で有るならば、ミカエルはダニエル殿下の側近で有ることを示さないといけない」


「えっ? 僕ですか?」

今度はミカエル様がお一人で驚いた反応をする。


「異母兄上も領土にお帰りになると?」

と、ダニー様は確認を取る。


「そうだ、それに関しては王太子ダニエル殿下からも依頼を受けている」

と、ロビン様は定例会義後の側近懇談会や面談で次期予定が決まっているものは、王太子ダニエル殿下共交流と場の経験を宰相殿下からも依頼が有った。


「あの父上、アカデミーでは王子の来賓はお妃を探しに来るのではないかと……噂に成っております。姉上は迎賓会に出席させるのですか?」

と、ケビン様は他のご令嬢達が噂話をしているのを耳にした。


「その事はまだ決めてはおらぬ。ただ国境境のダーニーズウッド辺境伯の情報は知られておるであろう。メアリーの事も知られておると思う」

と、ロビン様は娘 メアリーに視線を向けると、


「ダニーとケビンは他のご令嬢やご子息の動向を無理の無いように探って欲しい。

それからアイは元気になれば文官見習いとして兄 ダートルに付ける。他の者に託すより安心であるし、兄から協力の申し出があったからなのだが、2人とも分かるな」

と、ロビン様は2人の息子に向かって問う。

ダニー様ケビン様共に頷き返事にした。


「カリーナ、私もミカエルも王都を離れる。ソナタに館での権限を委ねる。アイの事私の代わりに守ってくれるか?」

と、ロビン様は心配そうに妻 カリーナ様に問う。


「勿論です。ロビン様は領主のお仕事に専念なさいませ。当分私がアイを独り占めさせて頂きます」

と、カリーナ様が仰るが、


「お母様、私もおりますので……独り占めは出来ませんよ」

と、メアリー様が仰れば、


「耐えられるかしら? アイは今お人形の様に固くて冷たいのよ」

と、カリーナ様が藍が処置されるまでの事を娘に教える。


「すまんカリーナ、今のアイは物凄く……臭いんだ……」


「「「「????」」」」


「義母上、メアリー……本当に臭いんだ……」

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