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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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見解 1

「ティベリ女史? ティベリ·ベルーナルト伯爵?」

と、ロビン様も声に出た。


「兎に角休憩したい。アルバンどうする?」

と、ダーニーズウッド辺境伯兄弟と面識がありそうなティベリ医師は、気にせずに同僚のアルバン医師に問う。


「いや、こんな症例どうするも目を離す訳にはいかないけど、僕達は医師会館の医師だからね」

と、アルバン医師は天蓋のカーテンを開けながら言ってくる。


「どうとは?」

と、ロビン様が聞けば、


「医師会館の医師は専属医師では有りません。予約診療や指名診療は有りますが、基本当番制で患者を診る事になっています」

と、藍が横たわっているベット横に椅子を持って来て腰を下ろした、アルバン医師が答える。


「ダーニーズウッド家を領土で専属主治医として診ているのはノーマン医院ですよね。その地で診察診療している医師と違い、私達は派遣医師です」

と、ティベリ医師が付け加える。


「僕と彼女は医師会館での診察とアカデミーの医療科の教師を兼ねています。普段なら往診は他の医師に任せているのです。

しかし、僕も彼女もディービス·ノーマン医師とは同期で親交も深い、ミカエル様の話振りで信頼出来る医師でないといけないと感じた彼女が往診を受けた訳なんですが……」


「問題はこの後よね」

と、ティベリ医師も言ってくる。


部屋のドアが開きミカエル様が入ってきた。後から執事のルクールさんとルカがワゴンを押して入ってくる。


「ルカ、アイの様子を見ててくれるか」

と、ロビン様が指示すれば、


「いえ、僕が観ているので軽食と飲み物を此方に下さい」

と、アルバン医師が言ってくる。


「何? 説明は私がするの?」


「ティベリ、僕もここで聞いてるから」

と、アルバン医師はベット側から動かない。仕方ないとティベリ医師は、ソファーに移動してテーブルに置かれたカップに砂糖を山盛り入れて掻き回している。ロビン様とダートル様にミカエル様がそれを見ながらソファーに移動すれば、ティベリ医師は立ったままグビグビと飲み干した。

空になったカッブにルクールさんはお茶を足せば、徐にソファーに腰を降ろして周りを見回す。


「説明しますね。私達の事は後で相談としますが、あの患者を先程から“アイ”と呼んでおられるのでお名前はアイでいいんですね」

と、ティベリ医師が聞いてくる。


「タツミ アイだ。彼女の名はアイだ」

と、ロビン様は答えた。


「今回の経緯の説明は誰がしてくれますか?」


「夕刻前に私がアイと話や打ち合わせが有ったので、ルカをアイに付けている専属の侍従に呼びに行かせた。

執務室に呼んだアイはそのまま挨拶の途中で意識を無くしたんだ」


「どの様に卒倒したのでしょう? 頭を打ったのですか?」


「頭は打っていないと思う。ルカが顔を打つ前に手をいれていたから」

と、ロビン様が答えるとベット横でアルバン医師が藍の頭部を確認している。


「その後は執務室からこの部屋に移動させたのですね。私達が来た時に部屋が暑かったのはアイの体温が低いと感じたからですか?」


「低いというより冷たいと感じた。段々冷たく熱が感じる事が出来なくなったのだが……何と説明すれば……例えが悪いが亡くなって直ぐから冷たくなっていく死体を抱いていると同じだと感じた」

と、ロビン様が答えると、医師の二人以外がギョッ!とした顔をする。


「確かに例えは悪いですが、その感じ方は的確な表現だと思います」

と、ティベリ医師は答えた。


「ロビン様はずっとアイを抱えて体温が下がるのを防いでいたと?」

と、ベット脇からアルバン医師が問う。


「私には医療知識は無いが、体裁を考えて妻に変わって貰うつもりで呼んだが、二人がかりでもアイの体温を維持出来ずにいたんだ。部屋を暖めてルカが石を熱くした物をアイのお腹に当てて私と妻がアイを抱えて医師が来るのを待っていた」


「なるほど、石を温めるのはいい考えだわ。それもお腹に当てたのね」

と、ティベリ医師が言っていると、


「これの事か?」

と、アルバン医師がベット下の巾着に気がつく。


「君が考えたのか?」

と、アルバン医師は巾着を持ち上げてルカに問う。


「いいえ、元々アイが障りの時に侍女に頼んでしていた事です」

と、ルカは答えた。


「えっ? 君まで障りの事を知ってるの?」

と、アルバン医師は何やらティベリ医師に目で訴える。


「はい。始めは恥ずかしくて避けていたのですが、アイは身体からの信号だから報告すると言ってきます」

と、ルカは説明する。


「ぬぅ?……報告?……ミカエル様と君はアイと……」


「アルバン! 多分……違うでしょう、多分。

障りの話は夫婦の間位しか話さないし、医師が妊娠の確認でしか聞かない内容なのですが……身体の信号とかミカエル様からの医療知識は有るとの話からすると、普通に会話に入っている……の?」

と、ティベリ医師は信じられないという顔をしてロビン様に問う。


「診察に必要な情報か分からぬが、アイは自分のお小水や便の状態も身体の不調詳細も報告してくる」

と、ロビン様は答えた。

それを知らなかったダートル様やルクールさんは驚いているが、ミカエル様とルカは平気そうだ。


「だから、ミカエル様は知識は凄く持っていると仰ったのね。

通りで診察記録の内容が二人の医師の見解というより三人に見えたのは本人の見解も入っているからなのね」

と、ティベリ医師は納得しながら姿勢を正す。


「はっきり言えることは、ロビン様の対処がなければ私達は間に合っていませんでした。それも際どい状態だったと推測致します」

と、ティベリ医師が言ったところで、


「ティベリ、熱が出てきた。これ以上薬の投与は避けたいよな」

と、ベット脇のアルバン医師は言ってくる。


「そうね。もう少し様子を観ましょう。お湯も有るしシーツの代えや着替えを用意してもらって沢山ね」

と、ティベリ医師はルカに言って聞かせる。


「ティベリ嬢、間に合っていなかったとはどういう事なんだ?」

と、ダートル様が話に入ってきたが、


「ティベリ嬢?」

と、ミカエル様が声に出した。


「言葉の通りです、命が尽きていたという意味です」

と、ミカエル様の声には反応も示さず答える。


「実際に私達が処置している最中でも心停止しました。専門用語ですから死にかけてます。

ロビン様がどの様にして持たせたのか私には疑問ですが?……医療知識は無いと仰るし」

と、ティベリ医師は説明した。


「グロー先生の診察記録には今までの処置や投薬の記録が詳細に書いてあります。

確かに非常に生命維持の難しい患者さんでは有りますが、ここまで危機的な事は無かったようですね」

と、アルバン医師は聞いてくる。


「領土ではアイは寝込んでいることが多かったのが、ここ最近です元気な顔で起きているのは」

と、ミカエル様は答える。


「問題はまだ安心できる状態ではないのです。これから患者は高熱を出すでしょう。診察記録から高熱には耐性があるようなので、様子を観て解熱剤で済むのですが、今回のように体温が下がりすぎると耐性が無いことと同じ処置で済むか分かりません」

と、ティベリ医師は思案顔して言ってくる。


「お二人にこのまま診て貰うことが出来ないのですか?」

と、ミカエル様が言ってくる。


「この時期は新人医師の育成期で、派遣している王都の診療所5ヶ所に新人医師が2人から3人に指導医師が1人つきます。医師会館には予備体制として数人いますが、急患があれば夜勤当番でも往診や診察に出るのです。私やアルバンのようなアカデミーの教師と会館診察を兼ねた医師があと3人。

それも今回は私とアルバンの独断に近い診察ですので、後を頼める医師がね……」

と、ティベリ医師は説明してくる。


「…………………………」


誰もどう発言していいのかとの空気の中。


「僕達も患者を一番に考えて動きたいけれど、これからの医師を育てなければ後の事を考えるとね……もう1つ問題なのは」

と、アルバン医師が言っていると、部屋にノック音がした。

ルカがドアを開け用事を聞いている。直ぐ様ロビン様に耳打ちすれば、


「ティベリ女史、アルバン医師、ディービスがお二人に会いに邸宅に来ているそうだが、呼んでも良いか?」

と、確認すると


「ええ、呼んで下さい。相談したいことが有ります私達も」

と、ティベリ医師が返事をする。

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