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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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寂寞 2

「お帰りなさいませ」

と、執事のルクールが玄関口で、出迎えてくれている。


「今帰った。ルクール、アイと話がしたいのだが……」

と、ロビン様は後から降りてくる兄 ダートルを見ながら言うと。


「アイ様ですか、朝からお部屋で裁縫をなさっておられます。たまに洗濯室にいかれては部屋にお戻りを繰り返しておられますよ。

アイ様は器用な方ですね。ご自分で何でもなさろうとなさいますが、ルカが止めるのを難儀しております」

と、ルクールさんは藍の行動を知らせてくれた。


「そうか、ルカとミカエルがいるのなら二人にも話がある」


「ミカエル様は、事業の事でお出掛けでございます。アイ様とルカをどちらにお呼びしますか?」

と、ルクールはロビン様に付き添い、他の侍従はダートル様の荷物を降ろす作業をしている。


「兄上は、私が話が終るまでお待ち下さい。後で時間はお取りしますから」

と、兄 ダートルに告げて2階へと足を進める。




「ルクール、そなたが驚いて騒ぎになっては困るので言っておく事がある」


「何で御座いましょうか?」

と、ロビン様の外出着からの着替えを手伝いながらルクールは顔色の悪い領主を気遣う。


「シアン陛下から預かり者のアイに、庇護者の証として持たせる物を陛下より預かってきた」


「はい、それが?」


「父上と母上の考えも参考にされたシアン陛下よりアイには青い石を持たせる」


「…………………………はぁいぃ?」


「指輪だと誤解されると言うことで、ペンダントの型になっているが、私からアイに渡すが要らぬ誤解も憶測もするで無いぞ。シアン陛下の文官にアイがなる証だからな」


「…………分かりました。守りを強化致します」

と、ルクールさんは返事をした。




「アイ様、侍女達が困っております。少しは控えて下さいませ」

と、侍女長 メグさんに注意された。


「ごめんなさい、メグさん。どうしてもアイ……こて? 熱で形を整えたいの」

と、藍はアイロンを掛けたいと訴える。


火熨斗アイロンですか? 確かにお部屋にお待ちするわけにはいきませんが、火傷などが心配ですし指示を頂けるとこちらで致しますよ」

と、侍女長 メグさんは言ってくれる。


……有り難いが、口で説明出来るならしてるし、説明している間に出来てしまう……


「私の語彙力では、説明のしようが無いのです……」

と、藍は洗濯室を占領していることに気が付いた。


……侍女さん達の仕事の邪魔になっているんだ。


「すみません、これからは気を付けます。どの時間なら皆さんの邪魔になりませんか?」


「アイ様は悪くは御座いませんが、出来たらお昼からは洗濯物を取り込み仕上げをする者がおります。午前中であれば、支障は無いかと」


「ごめんなさい、そうします。皆さんのお仕事を遅らせてしまいました」


「分かって頂けたのなら良いのです。

でも、ルカはアイ様に言わなかったのでしょうか?」

と、不思議そうに聞いてくる。


「えっと……多分陰では見ていると思うのですが、言って来ないですね……」

と、藍はメグさんに答えた。


……ルカは、わたしの死角になるように動いているみたい。


「あら! 子供みたいな事をなさっているのですね。

それともアイ様にルカが何かしたのでしょうか?」

と、侍女長 メグさんは心配顔して聞いてくる。


「あっ! ルカは何もしていません。していませんが少し私が素直にルカの話を聞いてあげれなかったから、気まずいのです」

と、藍は説明する。


「どういう意味でしょうか? ルカはアイ様に付ける侍従で護衛だとルクールから聞いております。アイ様にどのような話でも、聞かせる必要はございませんよ」

と、メグさんは言ってくる。


「それも違うのですメグさん。

私はこの国の民ではありません。言葉も通じずダーニーズウッド辺境伯領土で一人でいるところに初めて出会ったのはルカでした。ルカが私をどう判断をしたのか分かりませんが、ルカが私を助けてくれたのです。

今でこそこの国の言葉を話せますが、全く話が通じない私に寄り添ってくれました。

ダーニーズウッド家の侍従であっても私が、勝手に友達のような関係をルカに求めていたのです」

と、藍は領地の人なら知っていることでも、別邸では一番大変な出会いの頃を知らないメグさんに説明するが、


「それがアイ様の希望であれ、侍従としてお仕えするのがルカの仕事です」

と、メグさんは言ってくる。


「…………お仕事は……そうなんですね」


……わたしは、ルカに甘えていた自覚がある。この世界の常識が違う事は分かっていたのに……


「あくまで、ルカはダーニーズウッド家の使用人です。アイ様が心を開いて信用される事は使用人として誇れる事では有りますが、お立場は違います。アイ様はこのダーニーズウッド辺境伯王都でお預かりしている方です」

と、メグさんに尤もな事を言われる。


……なんだろう。メグさんの話しは理解できるけど、心が拒否をしているのはわたしの我儘なの?

ルカにターチちゃんの事を注意されて、メグさんにルカの対応を指摘されて、わたしの常識はここでは非常識なんて、考えたくなくて気をそらしていたのに……


「アイ様? どうかなさいましたか? 顔色が悪いように見えます……」

と、メグさんが心配して近付いて来てくれたが、


「いえ、大丈夫です。片付けをしたら部屋に戻ります。洗濯場を占領してすみませんでした。担当の方に謝っていたとお伝え下さい」

と、藍は作業台の上を片付ける。


「アイ様……片付けは担当の者が致しますので、お部屋でお休み下さい」

と、メグさんは藍の顔を覗きに来るが、


「私が使った道具です。自分で出来ることは自分でしますね。出来ないことはお願いするかも知れませんが」

と、メグさんの手を避けるように道具の片付けを終らせる。


巫女衣装の衿は縫い代の片方だけアイロン掛けがされ、中途半端は状態で藍の手の中にある。

……まるでわたしと同じ状態ね。元の世界でも生命維持が出来そうに無くて、正式な巫女となる筈だったのに、浅葱兄が手続きが有るからと言っていたのは本庁の登録だった筈。

こちらの世界では、言葉を覚えても常識はすぐには変えれない。変えたくないと拒否しているわたしがいる。


わたしって頑固だったんだ。理解してるのに嫌だと思っている…………


1階の洗濯場を出て2階に上がり掛けたが、そのまま使用人達の通路を通り裏口から館を出る。

領土のダーニーズウッド家とは違い、林は見えない。このまま進んでもいつもの散歩道では無いところに出そうだ。

朝の散歩道はルカに任せて歩いている。方向音痴のわたしでも館を目指せば、迷子になっても帰れるだろう。

と、足を踏み出せば急に手を取られた。


……えっ? 何?


「アイ!どこに行くつもりなんだ!」

と、いつのまにか藍の手を掴んだルカが必死な声で言ってくる。


「……別に、散歩するだげだよ」


「今しないといけないのか。手に縫いかけの巫女衣装を持って」


「部屋に置きに行くのが面倒でね。館の周りを見て歩くだけだよ。

何処にも行けないのを知ってるでしょう」


「…………ロビン様がアイに話があるそうだ……だけど時間を待ってもらおうか?」


……ぬっ? ルカは何を言ってるの? ロビン様を待たせるなんて。わたしの事で忙がしいくして頂いているのに……


「どこでロビン様はお待ちなの? 部屋に戻って直ぐに向かうわ」

と、藍は館の裏口に身体の向きを変え進む。


ルカの後ろを付いて歩くが、一歩が重い感じがする。


……あれ? 大して身体は疲れていないし意識すれば動けるのに、軋みがある?


執務室でのお話なら、これからの打ち合わせになるのだろう……


「ロビン様、お待たせして申し訳ないです……」

と、藍いつもの様に礼を取ろうと頭を下げたが、床が近付いて来た。


……えっ? 受け身が取れない。ロビン様が驚いた顔で立ち上がって……


「アイ!!」

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