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続・虚弱体質巫女ですが 異世界を生き抜いてみせます ~何もないと諦めないでマイナスからゼロになるまで~  作者: 緖篠 みよ


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杞憂

「ガルソール、少し休む。部屋には1人にしてくれないか?」

と、シアン国王陛下が侍従長 ガルソールに告げる。


「お邪魔にならないように致しますが」


「頼む。数刻でいいから1人にしてくれ」


「承知致しました。扉前におります」

と、ガルソールが部屋を退室していく。部屋前には、他の侍従も控えて居るが配置はガルソールが指示するだろう。


二月ぶりの王都王宮殿、側妃殿は誰も居住者はいない。自分が生まれて育った場所だが、異母兄ヘンリー国王陛下から譲位されるまでは、そこがシアン国王陛下の居住の場だった。シアン陛下の異母兄姉達は他界し、傍系である宰相職のリックは姪の入婿。サイニー王弟殿下は一人娘を女王陛下にすること無く王族の血を残す為に、婿を迎えダニエルまで繋いでくれた。


宰相 リックはブルーク異母兄の降家先オリゾラール大公爵の血筋。ダニエル王太子の実の祖父になる。サイニー異母兄との約束で養子となり愛情は注いだが、生まれで初めからの役目を背負わせ実の家族と引き離し引け目を感じなかった事は無い。


シアン国王陛下が頑なに妃殿下を迎えなかったと、周りが言うが本人の意思だけではどうにも成らないこともある。ダニエルとの血筋で言えばセルリアート公爵家とジェイクリート侯爵家は同等である。

しかし異母兄ヘンリーとサイニーの二人の兄との約束に沿うならばダニエルが無事に育ってくれたことが随喜である。


幼き頃から王太子として教育され、疑うこと無く遂行しているが、ダニエルの希望とを今さら聞くとなると時間が無い。

周りの側近達が沿うってくれることを願うだけだ。


その一員となるダーニーズウッド家のミカエル。次期ダーニーズウッド辺境伯として真に値する者では有るが、本当に良い意味で変わっていった。この二月でその変貌を間近で感じ頼もしくも有る。

どの側近達も代替わりをするが、ロビン、アニール、ヒューズの所は教育熱心で安心出来るが、後は跡取り問題や女性しか居ないところも動いてもらわないとな。


後の事を考えれば心配ではあるが、異母兄ヘンリー国王陛下に仕え国政や内政に身を置き、息が出来るようになったこの頃、ダニエルの成長を有り難く思うが、今はこれからの時間が楽しみでならない。


藍を側に置く。自覚が無かったが飢えて居たのだろう。初めて礼拝堂で見た時には痛くもない心の臓が暴れた。

懐かしい白衣に緋袴着で、白粉を塗らぬ肌はあそこまで白くなるのか。少し乾いた唇は本来の色ではなく青紫に成っていた。

私をはじめ見知らぬ男達に囲まれても動じず要求を述べる豪胆。

草履も無く足袋で歩く仕草。浮き立つ気持ちを押さえて話せる段取りをつければ、倒れたと伝わった。

病かと己の心配より、初めて会った娘が気掛かりで心が騒ぐ。


長年の王位歴に取り繕った表情は得意だが、心底心配したことは久しくなかった。


気が付いた娘と話せると期待が大き過ぎた。聞き馴染みの無い名前に落胆の表情は隠せたか? 身体の虚弱と反対に意欲的な思考に好感は持てた。


夢にしか出て来なかった日本語を音として出したのは何年ぶりだろう? 正しく言葉になっているのか? 日本語を話せば寂寥に胸が痛む。愛しい人が目蓋の裏に浮かび上がる。


歳を取り身体の衰えを自覚し、激務に慣れとは遠く楽しみであるダーニーズウッド辺境伯領土の道のりも遠く感じて、そろそろ王都の中に終の場を探そうかと思考を巡らせば、今までの褒美が降ってきた。

一緒におれる時間を作ると、ダーニーズウッド家を巻き込めば、ロビンは事情も知れぬのに了承してくる。


この王宮に私の思考が分かる者は居ない。長年仕えてくれているガルソールにも深層部は打ち明けれぬ。


藍が馬車で、酔いのために素直に横になれば、撫でた髪質が懐かしい。冷たく艶やかな黒髪に己と同じ赤髪が横顔に映える。

顎のから耳の形、見覚えがある鼻筋探せばある似たところが。早く側に置きたいな。




数刻、自分の時間が持てたシアン国王陛下の元にダニエル王太子の侍従がお伺いを立てる。

了承の返事をすれば、執務室で面会とした。


「義父上、御無事にお戻り心から嬉しく思います」

と、ダニエル王太子殿下が挨拶すれば、


「留守の采配何事も無く、終えることが出来たようだな」

と、シアン国王陛下は義息子ダニエルを労う。


「今のカーディナル王国は、内政も安定しておりますし、外交も問題は起きていません。皆も協力してくれました」

と、ダニエルが報告してくる。


「その様だな。詳細は明日以降目を通すが、何か確認事項でも有るのか?」

と、ダニエル王太子殿下の行動に指摘する。


「まだ、正式要請ではないですが要望伺いの信書が届きました。義父上のダーニーズウッド滞在延長の信書と同時に届いたものです。

会議の途中で側近達の意見を聞いて、概ねお受けできると返事を致しました」

と、ダニエル王太子が書簡を開けて信書をシアン国王陛下に渡す。



「ジャスパード国次期国王が、カーディナル王国に遊びに来たいと言っているのか?」

と、シアン国王陛下はダニエル王太子に問う。


「義父上の叔母様が嫁がれて姻戚で友好を繋いで来た国でもあるし、私とも交流を持つ事は悪いことではないと思いました」

と、ダニエル王太子が答える。


「側近達は、賛成したのか?」

と、シアン国王陛下は問う。


「強くは反対はされませんでしたが、カムデン·スマールート大公爵が杞憂するところが有ると言ってはおりましたが」

と、ダニエル王太子は答える。


「カムデンが杞憂することな。だいたい想像は付くが」

と、シアン国王陛下が言葉にすれば、


「カムデンは、次期国王王子が来賓される場合は社交を控えたいと言っておりました」


「それはカムデン自身ではなく、年頃の令嬢令息の事を言っておるのか?」

と、シアン国王陛下は問う。


「そうです。今カーディナル王国は婚姻で友好を結ばなくても産業や技術で交流は可能です。カムデンの杞憂することは、断れる内容ですから私は大丈夫だと判断しました」

と、ダニエル王太子は答える。


「そうだな。リックは何と?」


「リックは義父上は承諾されるだろうと」

と、ダニエル王太子は答えた。


……そうだろうな。アイの事がなければ私は隣国の王子を迎えるのにカムデンの様に杞憂しなかった。

婚姻は王族以外ならば、市民でも貴族でも当人同士が希望すれば移住は出来る。

私の側近の中には、外国で見初めた娘を連れて帰った者。外国に女性と添い遂げる者。

問題は有るが、出来なくはない。審査は有るが何処の国でも、有ることだ。


「リックが調べてくれたことですが、ジャスパード国の王子と姫はまだ、未婚らしく王子の姉二人の姫は国から離れたくないと婚姻を拒んでいるそうで。王子は姉二人が嫁ぐを待っているようですね」

と、ダニエル王太子は追加で答える。


「カムデンが杞憂することは、一昔なら娘を持つ親ならば思うことだ。カーディナル王国でもとっていた政策の一つだからな」

と、義親であるシアン国王陛下は答える。


「そうでした。側近の危惧を軽くは観ておりませんが、役目有るものは自分の気持ちだけで相手を選べたりは出来ません。私は義父上の後カーディナル王国を引き継ぐ者です。

私と一緒に国を民の事を考えて支えてくれる女性を妃に迎えたいと、思っています」

と、ダニエル王太子が言ってくる。


「ダニエルの中には、思う女性がいるのか? ダニエルの側で支えてくれそうな」

と、義親であるシアン国王陛下は問う。


「いえ、まだ。私の年廻りで合いそうな女性は、出会えてはおりません。王宮で働いている令嬢もいますが、リックの目に止まっていないようです」

と、宰相としてか祖父としてか、孫の伴侶探しにリックの目が彷徨っているようだ。


「そうか。私も義父としてダニエルの行く末を案じておる」

と、義息子ダニエルに言葉をかける。


「そう言えば、先程ロビンから聞いたのですが、義父上が庇護される娘がいるそうですね」


「あぁ、昔 外国で側近達とはぐれて彷徨っていたところ助けてもらった恩人の孫娘だ」

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