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謁見 2

カーディナル王国第174代ヘンリー前国王陛下異母兄の元、異母兄サイニー前宰相殿下とシアン王弟殿下の時代。


ヘンリー前国王陛下は、姉と異母妹を内政を押さえるために四大側近 公爵侯爵家へともう1人の異母妹とご自分の姫様お二人を他国へと嫁がせ、外国への友好はシアン王弟殿下が赴き異母姉と姪姫ともに交流を深められた。


国政は異母兄達に任されて王宮内に留まること無く数人の側近を連れて外国を回られた。何度も危ない橋を渡る事があった筈だが、何事も無かったように帰都されていた。


我が父 カール·ダーニーズウッド辺境伯前領主は次期領主となるまでは、シアン王弟殿下に仕え、国境境であるジャスパード国とセラードグリ国へは、シアン王弟殿下と共に赴いている。父が外国語が出来ることに次期領主には必要事項だと思ったが、現地学習だったようだ。


異母姉と姪姫が不当に扱われてないかと、度々足を向けられては、内政まで意識は向いてなかったようだ。実の弟 アース王弟殿下とリオン王弟殿下は役職無く与えられた側妃殿で大人しくしていれば異母兄達も恩情深く見守っておられたのに、内政の中不穏分子に唆され情報漏洩を軽い罪と認識して犯してしまう。

裏で操られたとしても、あまりにもお粗末な行動に反対に危険視され、シアン王弟殿下が外国に赴いている最中に処分された。

後に二人の側近達の横領や大小な罪が暴かれ側妃殿は、シアン王弟殿下だけになってしまわれた。


ロビン·ダーニーズウッド辺境伯現領主は、領地内で初めてシアン王弟殿下にお会いしたのは、まだ王立アカデミーにも行っていない7歳になるかならないかだった。兄のダートルも同じで父 カールが始めこそ挨拶に膝を付き礼を取れば父 カールに揉みくちゃにされたシアン殿下が、祖父 セガールと祖母 シモーヌに挨拶をしていた。


父 カールが次期領主としてシアン王弟殿下付きから祖父 セガールの意向で王都の別邸で暮らす前年でもあった。

父が別邸での仕事と王宮に領主代理の仕事をしている間、シアン王弟殿下は恒例のダーニーズウッド領地に赴き、祖父祖母との時間を過ごしていた。

シアン王弟殿下は、父 カールが居る別邸にも足を運ぶが、回りの貴族の手前頻繁ではない。


あくまで、ダーニーズウッド辺境伯領地を逗留の場とされた。

それはヘンリー国王陛下から、譲位を受けられ王都から離れる事がなくなったお立場になっても変わらなかった。

ダーニーズウッド領地内では、父 カールの弟として振る舞われたが、回りはお立場に合う対応に変化すれば、お寂しそうにされた顔を知っている。






王太子ダニエル殿下の謁見が終わり部屋にたどり着けば、シアン国王陛下付き侍従 ルトーニが扉前で待っている。


「ダーニーズウッド辺境伯閣下、お疲れのところ申し訳ないのですが、シアン国王陛下が接見依頼がございます」

と、侍従 ルトーニが言う。


「シアン国王陛下は、ご無事に帰都されたのだな。私共よりシアン国王陛下がお疲れではないのですか? お時間でしたら後でも私は参上致しますが」

と、ロビンはお疲れの陛下を気遣う。


「私はお止めしたのですが、シアン国王陛下のご意向でしたので、伺いました」

と、ルトーニが言ってくる。


「シアン国王陛下のご意向であるなら、御前に参ります」

と、返事をして先程とは違う王宮殿に向かう。




人払いされた部屋に、シアン国王陛下がソファーに腰掛け口元に指をかけ、悪戯っ子の様に私に視線も向けている。


……たとえ重鎮側近であっても、シアン国王陛下だけで私と会うとは、侍従長をはじめ後で嫌みを言われそうだ。


「久しいなロビン。元気そうでなりよりだ」

と、シアン国王陛下からお声を掛けられる。


「シアン国王陛下の接見依頼と伺い、御前に参りました」

と、ロビン·ダーニーズウッド辺境伯領主として、御挨拶をする。


「ロビンが留守の領地で好き勝手にしてきたぞ。いつも場の提供に感謝する。領主邸にて、ニックをはじめ使用人達にも世話になった。ロビンが帰領の際には、労って欲しい」


「承りました。邸の者達に伝えましょう」

と、ロビンが返事をすれば、


「定例会議は、リックに周りもダニエルを導いてくれたようだな。全部の報告書に目を通してはおらぬが、問題なく終えたようだ」

と、帰都直ぐに書類に目を通された様子。


「シアン国王陛下。ダーニーズウッド領地からの帰都でお疲れではないですか?

急ぎ私に何かございますか? 父 カールとミカエルの判断で私が異を唱えるとは思いませんが?」

と、ロビンはシアン陛下を気遣う。


「まぁそういうな、ロビンを煩わしくさせたい訳ではない。

しかし、煩わしくさせることを謝っておく」


「えっ? はぁいぃ?」


「カール、ミカエルから報告がロビンに行っておるな」

と、シアン陛下は言ってくる。


「はい。勿論愚息の行いも聞いております。諸々、問題が発起しだいで、親としても反省しております」

と、ロビンは父やミカエルの報告書を読み、差し支えがないことは、妻のカリーナとも共通している。


「では、私からカールとミカエルに依頼をしたことは、どこまで理解している?」


「始めの報告書は不備だらけで、よく分かりませんでしたが、後のミカエルの報告書に経緯が記してありましたから、粗方は理解しております」


「では、ロビンが理解している範囲で言ってみてくれるか? 訂正があれば後で答えよう」


「では、シアン国王陛下が外国での知己である命の恩人より孫娘を託された。

我がダーニーズウッド家でその娘を庇護するで、間違いはございませんか?」


「簡単に言えば、その通りだ。だが、庇護をするのは私個人だ。国も領地も関係が無い。

私が昔世話になった者からの預かり者だからな。

だか、私が庇護者ではあるが、ずっと側には置けぬ、それは分かるな」


「それは……そうですね。思い付く事が幾つがございますね」


「私が何も背負っておらぬ、一般人であれば良かったが、そうではない。

そこで、ロビンには悪いが、ダーニーズウッド家を巻き込む事にした。

その娘の庇護地としてダーニーズウッド家を指名したのだ」

と、シアン国王陛下が仰る。


「はい。その件に関しても父上からもミカエルからもシアン陛下に了承済みで報告が来ております」


「本来ならば、領主であるロビンの許可無く判断すべき事ではないが、私から謝罪することで許して欲しい。その娘に掛かる費用は私の私財で賄うので、ダーニーズウッド家に負担分はニックに計上してもらっておる」

と、シアン陛下が低姿勢で仰る意味が分からない。


「シアン陛下、何故?そこまで個人様でなさるのですか?」


……水くさい話だ。家臣としては表に出さないが、幼い頃からの馴染みのお方に隔たりを張られた感じがする。


「この二月で、ロビン宛に報告書はどれくらい手元に届いた。全てその預かり者所以だが」


「えっ? はぁいぃ?」


「ケビンの話は? カールとミカエルに叱られてはおるが」


「ケビンだけの話では、ございません。メアリーの行動も問題が多々ございます。ダニーは分かっていても、口にせず姉弟に流されていてはこれも問題しかございません。

今回陛下の預かり者の事が発端だとしても、もっと早く露見するなりして修正しなければ、我が家は恥を表に晒す事になったでしょう」


「ふむ、ロビンがそのように理解している様であれば問題は解決するだろ。メアリーとダニーーは堪えておったがな」


「メアリーとダニーは? ですか?」


「ケビンは、理解している様に見えなんだ。今の子らしいと言えるが、修正はした方が良いぞ。カールも呆れておったが」


「承知致しました。ケビンの事は私から指導致します。

シアン国王陛下、先程ダニエル殿下と謁見の場がございました」


「そうらしいな。だがらロビンに無理に接見を頼んだ」


「それは、預かり者の事を秘匿しなければ、いけなかったという事でしょうか?」


「いや、ダニエルには私から説明するつもりだったから、ロビンが先に言っても構わない」


「ダニエル殿下には、陛下が外国で知り合った命の恩人の孫娘をダーニーズウッド家で預かることになったと報告致しましたが、問題でしたか?」


「そのままだから、ロビンはそれで良い。

でもなこの場に呼んだのは、他に知って欲しいことがあるからだが」


「他にですか?」


「その預かり者の名は、タツミ アイ。私の孫娘だ」


「………………う、えっ? 血の繋がりのある?」


「本当に私の、ま、ご、だ」


「それが……本当でしたら…………大事なのでは?」


「だから、煩わしく巻き込むと言ったであろう」


「仰いました。それを父と息子は了承したという事ですね」


「そうだ、カールもミカエルも協力すると言ってくれた」


「でしたら……」


「ロビン、アイが私の本当の孫だと知っているのは、カール、ミカエル、メリアーナ、アートム、ルカ、ニックと、ロビンだけだ」


「だけと仰いますと? ダニエル殿下には?」


「私の知己の孫娘だと伝えたのだろう」


「はい。そのように報告がありましたから……」


「メリアーナが、ロビンには私から後で伝えた方が良いと助言されたのだ。嘘が下手だからと」

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