4話 サクヤ魔法を覚える
「アヤ姉、火をつける道具を見たことがないのだけど、どうやって火を付けるの?」と俺。
「えーっ、知らないんだ! こうやって、”この指の先に火よ現れよ!”」とアヤ。
アヤの指の先、10センチほど離れたところに赤い炎が現れて、消えた。その間3秒ほど。
「私は、炎と水の魔法ができるのよ。 誰でも何かの魔法ができるの。 サクヤはやったことないの?」
「覚えがないな。」
「そう・・・。 私はね、水魔法で水も出せるのだけど、コップに半分ぐらいかな。」
まずは、魔素を集めて、自分のものにする。それからイメージを描いて、呪文を唱える。
魔素は自分の中にもあるが、それでは足りないので周囲から集める。火を灯すぐらいならば、1分もあれば集まる。際限なく集めることはできない。その人が持てる量には限界というのがあるそうだ。アヤは、1分の間集めて火を灯すのが限界らしい。
で、おれはどうかというと、まだ火も出ないし、水も一滴もでない。
ということで、魔素を集める練習を毎朝行うことにした。
3か月経って、やっと火が一瞬出た。
そして、おれよりアヤが大喜びで、夕食の場は大騒動となった。
それ以来、おれは魔法の練習を欠かさず毎日やった。
少しづつではあるが、火も長く、水も多く出せるようになった。
「ねえねえー。 サクヤって全属性の魔法が使えるみたいなの。 火が点けられでしょ、風を呼べるでしょ、水を出せるでしょ、土を固めることができるでしょ。おまけに治癒魔法もできるんだよ。 すごーーい。」とアヤが叫ぶ。
「それはすごいね。 一度町に行って、どの程度なのか計ってみるといいわね。」とユキ。
「でしょ。 うんうん。 サクヤ行こう!」
魔法属性は、水、炎、風、土、光、闇の六つがある。
町には魔法学園があって、そこで属性やレベルがわかるらしい。
今日は、村の西の奥にある滝を見に行った。
ユーラス側に注ぐ支流の一つが、滝になって合流している。
ユーラス川からは森がせりあがるように上に伸びており、その上が岩の台地になっている。空と台地の境から真っ白な滝が段々に落ちてくる。高さは300mぐらいあるだろうか。
滝が落ちてくるその先は、ここからは見えない。
あの先は、どうなっているのだろうか?
と、思っていると。
「あの先は、平な草原になっているとお父さんが言っていたよ。 その先も森と岩山だって。」
「いつか行ってみたいなあ 」と俺。
「ねえ、 この頭にある左右の突起はなに? ぷにゅぷにゅしているけど 角? 」
「ああ、このまえからむずかゆくて、気が付いたらこんなになっていた。」
「お母さん サクヤの頭を見てみて。 」
家に帰って、夕食の場でアヤは俺の頭を指した。
「お・・。これは角だな。 昔、町に鬼族の人がいたよ。 」とグンヤ婆。
「ほお・・。 それは珍しいのか?」とダンガ。
村長の話では、とおくサハラ王国の西の方に鬼族が住んでいるらしい。しかし、そこの鬼族には真ん中に角がある種で、2つは見たことがないと。また肌は赤く、サクヤみたいに白くはない。
で、ミズホ王国の鬼族ではないらしいと。